8「クラバート」オトフリート・プロイスラー

孤児の少年、クラバートは食い扶持を稼ぐために、

親方のところで仕事をする。


だがその親方は悪い魔法使いで……。


プロイスラーは「大どろぼうホッツェンプロッツ」などで世界的に有名なドイツの作家です。


その彼がドイツの民話に取材して書いた作品で、

昔のドイツの貧しさ、児童労働の苦しさがめちゃリアルです。


さらに魔法もリアルで、おどろおどろしい邪法、みたいな雰囲気があります。

ダークファンタジーといえばこれですよ。


まあそんな名作なんですけど、ラストの奇跡って、

日本人には「ハァ?」だと思います。


どうも、この親方と弟子の関係は、キリストと弟子たちを模倣したものらしい……。

(えっ、それすごい罰当たりなオマージュじゃないの? 作者の「闇」を感じます)


かなりキリスト教の考えが入ってるらしくて、その基礎知識がないと、最後の奇跡がご都合主義に思えてしまいます。


まあ、私もそう思いました。


でも面白いですよ。


===

「クラバート」オトフリート・プロイスラー

ドイツでの初版の正確な年がわからないですね。1970年くらいだと思うんですが。

日本では、偕成社から1980年に出版。

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