5「にんじん」ルナール

毒親×児童文学といえば、これしかないでしょう!


ルナールさんは、ふだんは非常に透明で純粋な作品を書いているのですが、

「にんじん」では、自分の闇をまきちらかしています。


家族構成はこう。


父親

母親

末の弟・にんじん(主人公)


母親は兄姉だけをかわいがり、にんじんには汚物を入れたスープを飲ませます。

汚物って、まあ、汚物ですよ。

兄姉もそれに同調。

父親はそんな事態を見て見ぬふり。


父はラスト近くでにんじんに優し気な(?)言葉をかけますが、それも卑怯者の言葉ってかんじがしますね~。


父よ、おまえなに息子を味方に引き入れようとしとんねん。おまえが妻を野放しにしとるから、家のなかがメチャクチャになっとるんやろうが。


そして、にんじん自身も歪みまくってて、かなりイヤなやつに育ってしまってます。

友だちの首を切って、校門に置いたとしてもおかしくないレベルです。


にんじんくんには、立派なサイコパスに育ってほしいと思います!


===

「にんじん」ジュール・ルナール

フランスでの初版は1894年。


岩波文庫赤、安心の岸田國士きしだくにお訳は1976年。


新潮文庫から高野優訳で2014年に出た本は「これって虐待だよね」という訳者の視点が取れ入れられているらしい。読みたくなりました。

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