4「おとうさんがいっぱい」三田村信行

すこしふしぎな短編がいっぱいつまっています。


しかしSFでもファンタジーでもなく、あえていえば悪夢的児童文学集成です。


この人の作品って、主人公が

「ああ、ぼくはいらない子なんだな。じゃあ、こんな世界おさらばするから」

といったような、家族・友情幻想へのテロリズムが感じられます。


主人公はべつに悲嘆するわけでもなく、淡々と自分の世界を求めて去るというところが、なんだかハードボイルド。


これたぶん、温かい家庭に育ち、幸せいっぱいな子どもには、何もひびかないでしょうね(笑)


そんな不穏で、印象深い児童文学です。


===

「おとうさんがいっぱい」三田村信行

初版は1975年、理論社から。

2003年の、理論社フォア文庫愛蔵版が入手しやすいです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る