2「レベル21」さとうまきこ

お次は、女の子が主人公のドロドロファンタジーを。


これ、設定・小道具はとてもきれいなんですよ。


女の子は、アンティークショップを経営する、アンジュさんのところを訪れて、いろいろと不思議体験をする……。


がしかし、

主人公は仲良しの友だちに無言電話かけまくってるわ、

母親は浮気してるだか男漁りしてるだかなんだかで、派手な下着を身につけるようになったわ、

不妊に悩む女の人のリアルで重たい悩みが語られるわ、

児童文学なのに「妊娠するためにはいつ性交すればいいですか」みたいなセリフが出てくるわ、


小学生版「女性自身」みたいなかんじ。


いやあ……よくこういうダークなテーマを入れましたね……。


まあでもこれ、女性作家にしか書けない作品でしょうね。


女性のイヤなところを煮詰めて、なおかつそれをシュガーコーティングして、ユニコーンの形につくってるんです。面白いですよ。


一度読んだら忘れられない児童文学ですね。


===

「レベル21」さとうまきこ 理論社 1992年。


ファンの多い名作なのに、なぜかどこからも復刻されていない。

この中で描写されているイギリス魔女の暮らし(ホワイト・マジック)は、かなりレベル高いので、今でも十分ウケると思う。

というか、今のほうが受け入れられるでしょう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る