トラウマ児童文学の本棚

松田夕記子

1「クロイヌ家具店」大海赫

このペンネームは「おおうみ あかし」と読みます。

まあトラウマ児童文学作家といえば、この人を外すわけにはいかないでしょう。


「ビビを見た!」「ドコカの国にようこそ!」でも書きまくってくれています。


「クロイヌ家具店」は、子どもたちが家具にされてしまう話なんです。


あやしい家具屋さん。

子どもたちが次々と消えていく。

主人公は家具店に忍び込み……。


子どもが椅子にされるというのは、教育虐待・角を矯めて牛を殺すようなことを風刺しているのでしょう。


でもそれだけじゃないんですねェ……。


この家具と家具店はァ……児童への性的搾取も風刺してるんですよ。


家具屋のオヤジは、地下で美少年を追いかけ回してます。

舌を出しながら。

この作者さまにとって、舌はファルスの象徴です。


いやホントですもん。

作者さまは、昔、自分のこだわりまくってすさまじく読みにくいホームページの最下層で、舌の象徴について、そういうこと言ってましたから!


家具店は児童買春組織で、椅子は売られたのちに死んだ子どもたちの魂です。

――だと、私は思いますね。


「チミモーリョーの町」でも、主人公が怪しい男に写真を撮られてたりとか、そういうシーンがありましたし。


とにかくこの作者はわかってるし、やってくれる人なんです。

素晴らしい児童文学ですよね。


===

「クロイヌ家具店」大海赫(おおうみあかし)

初版は1972年、理論社。

2004年にブッキングから復刻されたものの、またプレミアがつくように……。

図書館がオススメですね。

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