第1章
第1話 幕開け
体育館の屋根を雨が叩いている。
「もうそろやむと思うんやけどな~」
小田の隣に座っている
「今朝見たニュースのお天気おじさんは、昼頃やむって言ってたんやけどな~、予報を外したか~?」
「少しは教官の話、聞いてあげたら?」
松本の後ろに座っている
「俺はちゃんと聞いてるけどな」
「え、小田は人の話聞くタチやないやろ」
小田は松本に馬鹿にされることがいかに腹が立つかを理解した。
「いいじゃなですか、生徒会。」
艶間が心のこもってない声で言った。
「なんや艶間、生徒会狙っとんか」
松本が驚いた顔をすると、艶間も驚いた顔で
「なんや松本こんなことにも騙されとんのか」
艶間が松本の口調をまねて言い返した。
「なんや喧嘩うっとんのか」
松本がとびかかろうとしたので、小田が2人の間に割り込んだ。
「まあまあ、でも生徒会に入れば大学とか就職とか楽になるじゃん。」
小田は大野山教官が説明しているスクリーンを指さした。
「小田は分かっとらんな~。ええか、生徒会ってもんはな、その名目のもと教官たちの雑用にされるだけやねん。」
「そうそう。去年の会長たちだって、めちゃくちゃ忙しそうだったし。」
松本と艶間は言った。
「うーん、そんなものなのかなぁ、、、」
と、落ち込んだように言い、
「でも、俺はやりたいけどな。生徒会。」
と続けた。すると、2人は驚き、
「まじか」 「意外や」 「ま、どうせ無理だけどな。」 「せやせや」 「そんなことより、腹減ったな。」 「せやな。おっ、ちょうど雨もやんできたみたいやし、なんか食いに行くか」 「そうだな」 と好き勝手話していた。
「おまえらなぁ、、、」
雨がすこしずつあがってきているからか、大野山教官の声は幾分か聞きやすくなっていた。
「生徒会長立候補者は、生徒会執行部の人事を決め、3人以上の教官から推薦状をもらって、来週の水曜までに私のところまで持ってくるように。以上、解散」
これを聞いた小田が
「ふーん、この学校は生徒会役員は会長が決めれるのかー。じゃあ、お前らは確定な」
と呟くと、
「え、俺は絶対にやりたくないぞ。」
艶間が全力で拒否した。
その時だ、
「もちろん小田は会長だよね~」
「まぁ、一応立候補はしようかなと。」
「やっぱりねぇ。教官が1枚推薦状出すからね。でも、あんなことがあったばかりだし、くれぐれも無理はしないようにねぇ。」
すると、多懸教官は艶間と松本のほうを見て、
「君たちも手伝ってくれるのか。ありがとね。小田のことよろしくね」
と言った。
「終わった俺の青春、、、」
「もとからそんなもんはないがな。」
「しかも、推薦状が1枚集まってしまった、、、」
「せやな。なにがなんでも阻止せな」
「お前ら、どんだけやりたくないんだよ」
小田は少し嬉しそうな顔で言った。
猫はいつの間にかいなくなっていた。
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