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作者様の短編をすこし読ませていただきました。どの作品もSFの視点が取り組まれた不思議が、確かな筆力で描かれていて、読んでいて知的好奇心が満たされました。特にこの「イエローサブ」は、幼馴染ケイちゃんの手紙に魅せられて、いつの間にか濃霧に誘われる、ハニートラップのような作品で面白かったです。いけないものを読んでいるような、中毒性を感じました。
とにかくキャラクターが立っていたように感じます。ブランデーの注がれたグラスを傾け、イタズラに笑うケイちゃん。それに振り回されるナオくん。ふたりが織りなす軽妙でお洒落な会話が、楽しかったです。一推しはケイちゃんの「アルコールは置いちゃダメなんだって」から続く会話。ふたりの関係性や人間味が感じられる素敵なやりとりでした。
そしてなんと言っても、クライマックスのドライブシーン。半ば強制的に、濃霧を走る車がたどり着くのは、待ち合わせの電柱。そして実家。ナオくんが指示ではなく、自分の意思で角を曲がる様子が、パンドラの箱を開けるようで震えました。
最後にひとつ。前三話に改行が多くされた同話が投稿されていました。好みがわかれる部分であると思いますが、私は改行がされてない本作が好きです。文章の密度が、纏う霧の濃さを表現しているようで。
毒々しく素敵な作品をありがとうございました。
作者からの返信
細かなところまで読んでいただきありがとうございます。お褒めにあずかり光栄です。
日常の少し外れた世界を書くことは意識したところです。お楽しみいただけたのであれば、良かったです。
前三話は勢いで書いたもので、それを冷静に再編したものがこちらになっています。駄文を公開するなら、全部と思い残してありました。お目汚し失礼しました。
面白かったです。
黄色い麻薬のガスに沈む街というビジュアルが圧巻でした。
「イエローサブマリン」というネーミングにもセンスを感じます。
「鉄腕アトム」に「黄色い馬」という麻薬が出てきたのを思い出したりしました。
主人公とケイちゃんのやり取りも、それぞれのキャラクターがしっかり描写されていて楽しめました。
読者の勝手な欲ですが、ここで終わるのはもったいないような気がします。
中編か長編に膨らませたものをぜひ読んでみたいです。
作者からの返信
コメントありがとうございます。お楽しみいただけたのであれば、何よりです。
私ももう少し長く書いてみようとは思っております。暇すぎてしょうがない時は、またいらしてください。