第5話

────────────カーテンの隙間から朝陽が差し込む休日の朝。



「……」

「なんでそんなにやにやしてんの。」


希咲が腕の中で僕に聞く。


「夢じゃない?」

「うん。夢じゃないよ。」


希咲が僕の頬をつまんで微笑む。


…可愛い。何をされても何を言われても昔から希咲は可愛かった。たまに芯をつかれてイラッとすることもあったがでも、彼女の顔を見るとなんでも許せた。



「…きさ。」

「ん?…」

「…可愛い。」

「ありがとう。」

「Hするのが勿体無い。」

「なんで?」


真面目な顔でそう言うと同じ顔して返してきた。


「ずっとお前を見てたい。やり始めたら見てられなくなる。」

「そうかな。稜太、あたしとしてる時絶対目見てるよ。視線合わない時ないもん。」

「そんな見てる?」

「瞬きはしてる」

「……」


僕が目を見開いて瞬きをめると彼女が笑う。

「顔。おもしろすぎ。」

「だって、見てたいから。」

「大丈夫。あたしも見てるから。」


以前は何度も何度も希咲としていた。

寝させないくらい。

なんなら手もあげてた。


全て…愛情から。

でも今はそんなもの要らない。そんな物要らない。



──────────────────。

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