第4話
数日前、麗沙と先々何かありそうな会話をして一緒に家に帰ったが、その日は何も無く翌日からまたお互いの生活に戻った。
そんな時に連絡を入れたのが…。
────────────。
『今から家来れる?』
『先客居ないの?』
『居たらどうする?』
『3人なんて趣味ないから。』
『…あるわけねーだろ。』
『なんでまた私?』
『…お前今相手は?まぁね、居たところで引き離してやるけど。』
『そこまでする?』
『お前を先に食ったのは俺だから。』
『……どういうこと?』
『…もうわかんねーや。』
『りょうくん』
『ん?…』
『見えるの?』
『うん。』
『どんだけ見ないように目塞いでも見える。殺したくなる。』
『…それ、性癖?』
電話口の女性が笑う。
『それなら楽しめるのにな。』
『…あたしにもいるかもしれないよ?』
『お前を一番抱いたのは俺だ。』
『そうだね。りょうちゃん以上にした人はいないかも。』
『かも?『かも』なら今から数稼ぐぞ。』
『わざわざ稼ぐの?』
重ねて彼女が笑う。
『……俺だと思ったのにな。お前を最初から頂いたの。』
『…りょうちゃんだよ?それは嘘じゃない。』
『…なぁ。別にしなくていいからさ。会えないかな?』
『…どっちでもいいよ。してもしなくても。でも、それ以上にあたしと何か確かめたい事があるんでしょ?』
『……うちきて』
『わかった。』
─────────────「ごめん!」
「おそい。」
彼女が玄関の前で笑う。
「ほんっとにごめん!」
僕はアパートの階段を上がって自宅ドアの前に立つ彼女に気づいて平謝りしながら、大きな買い物袋をぶら下げて帰ってきた。
僕は急いでら鍵を開けて彼女を入れて、キッチンで聞いた。
「きさ、飯は?」
「まだ。りょうちゃんに呼ばれてすぐ来たからお腹ペコペコ。」
「ごめん。今作るからちょっとまってて!」
「……」
彼女が微笑みながら僕の横に来た。
「一緒に作ろ?何作る?」
「…いっぱい買ってきたんだけど、何作るか決めてなかった。」
彼女は少し微笑んで僕がテーブルの上にばらまいた食材や缶詰を見て少し呆れながら僕に言った。
「本当にりょうちゃんは1人じゃ生きてけないよね。0か100かしかない。……空っぽ水しかないし。どうやって生きてんの?」
「ん?…ヤドカリです」
「…最低。」
「何想像したのよ。」
「え?…」
彼女が少し顔を赤らめて僕の肩を叩いた。
僕は…すかさず抱き寄せた。
「そういうの覚えさせたのも俺だもんな。」
「そうだよ!りょうちゃんのせいだよ!」
「……可愛いな。もっと染めてやりたい。」
「……」
「お前がいいや。汚れてない…真っ白だ…誰にも触られてない…」
彼女の頬を撫でながら聞こえるか聞こえないかの声で囁く間、ずっと僕の目を見ていた。
「……」
「……」
「りょうちゃん。」
「ん?…」
「……」
彼女は僕に口付けてきた。
「あたし、りょうちゃん以外と無いからね。」
「わかってる…。本当にお前は可愛いな…。」
「りょうちゃん。戻ろうよ。。」
「……」
彼女の首筋のにおいをかいだ。
「匂いする?」
「お前のにおいする…。」
「…りょうちゃん大好きだよ。」
「俺も…。」
僕から彼女に唇を重ねると、
まるで魔法みたいに、彼女と出会った時から今日までの事が走馬灯の様に駆け巡った。
「…希咲。ごめんな。痛かったよな。」
彼女のほほを撫でながら謝ると、
「大丈夫。あたしにしかしないの知ってたから。それにあたしだけだったから。りょうちゃんが甘えられる相手。」
「…………。」
僕は彼女の肩に身を任せると、彼女が包み込んで頭を撫でてくれた。
「10個も上なのにね、たまに年下みたいに感じるんだ。」
「わりかったな。」
「いいの。りょうちゃんはそんなくらいが丁度いいの。全て出せる相手、あたしだけだから。」
そう…。
僕の可愛くて可愛いくてたまらない相手は
こいつが高校生の頃から知っていて好き勝手してきた。
でも、彼女だからはきだせて、彼女だから頼れた。
そして何よりこいつの初めては僕でその後も僕だけ。
それが何よりの『信頼』だった。
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