第3話
────────ある日の仕事終わり。(通話中)
『お疲れ。』
『お疲れ様。』
澄んだ声が耳を通り抜け脳内に優しく染み込んで行く。
『麗沙お前さ、結婚する気ない?』
『誰と?』
『…誰とがいい?』
『なにそれ。あたしに嫁に行けって?』
『違う。』
『行ってあげてもいいけど?』
『行くな。』
『何勘違いしてんの?』
『…え?』
『いいや。どうせわかってないから。』
『…
『本当は?』
『今すぐ会いたい。どこでもいいから触らせろ。』
『可愛い事言うのね。』
『僕は、お姉さんが大好きです』
『今どこ?行ってあげる。』
『襲ったら困るからちょっとだけ出しとくね。』
と僕が言うと
『ちょっとだけってなに。』
と彼女が吹き出す。
『……麗沙』
『なに?』
『やっぱり早く会いたい。会って触りたい。』
『…あったらまずどこに触れたい?』
『首。』
と僕が即答すると、また笑う。
『そう。わかった。』
『気を付けて。』
『ありがとう。』
『迎えに行く。』
『じゃあ改札まで来て。』
『行く。お前電車で立つなよ。ちゃんと座れよ。』
『わかった。本当に心配性なんだから。』
『うるせぇ。…俺の物だろ?』
『そうですよ。』
『なら言うこと聞け。』
『承知しました。』
『…抱きしめたい。』
『大人しく待ってて』
『はい…』
────────────。
駅まで早足で行き、彼女を待っていた。
────────────。
10分ほどすると、彼女が見えたので手を振ると早足で改札を出てきて僕に抱き着いた。
少し驚いたが、彼女の優しくて柔らかい匂いが即、安心に変わった。
「おかえり。」
「ただいま。」
「おつかれ。」
「お疲れ様。」
「麗沙。」
「ん?なに?」
「お前、明日から俺のとこ帰って来いよ。」
「縛り付けたい?」
「本当は家から出したくない。」
「それでもいいですよ。」
「俺から離れんな」
「承知しました。」
彼女は人目もはばからず僕にキスした。
「…お前は俺だけのものだから。」
「そうですよ。」
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