第49話

 それでも二人は同じことを繰り返した。

 諦めずに。

 きっと倒せると信じて。

 十回ほど繰り返しただろうか。

「なんだか、回復するの遅くなってると思わない?」

「ああ、一応効果はあるみたいだな、倒せるかは別として」

「よーし、俄然やる気でてきたぞー」

「おい」

「ん」

 楽朗は見ていた、龍太郎の手が光りの粒になって宙を漂っているのを。

 龍太郎は光に変わっていく自分の手を見る。

「あれ、もう終わり? もっと遊んでたかったのに」

 渦が現れて、光は吸い込まれていく。

「楽しかったよ、楽朗。また来るね」

 龍太郎は笑顔だった。

「二度と来んな」

 その言葉を聞いて龍太郎は大きく笑った。

 龍太郎の身体が全て光となって消えていった。

 剣が音を立てて地面に落ちた。

「帰ったか」

 落ちている赤い玉を拾ってポケットに突っ込む。

 影はまだ再生の途中だった。

 龍太郎は影を一瞥してから、その場から離れることにした。正直かなり疲れていた。何処かで少し座って休もう。

  

 

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