第22話
影が次々と湧いて出る。
影が湧き出る速さより速く、影を倒していった。
交錯する刃。同時攻撃。お互いの死角からくる攻撃を弾く。最後は息を合わせて同時に斬る。
もう影は湧きでてこなかった。全てを倒した。
楓は床に剣を突き立てる。
二人で背中合わせで座わりこんだ。
「や、やった」
「疲れたー、もう死んだほうがましー」
その言葉がなんだかおかしかった。
「ふ、あは、あははははははは――」
「そんなにおかしいかな」
「別におかしくないよ」
私は堪えきれずにまた笑いだした。
「笑いすぎじゃん?」
「ごめんね、くくくく」
楓は笑いながら涙をふいた。
「ねえ、あの男子、助けに行かなくていいの?」
「大丈夫、大丈夫、あいつ、殺してもしなないから」
「なにそれ」
彼女が言うのなら本当に大丈夫なのだろう。そういえばもう一つ気になっていたことがあった。忘れずに訊いておこう。
「ねえ、名前、なんていうの? 聞きそびれてたね。私、楓」
「あたし、律。よろしくね、かえちゃん」
楓は振り返って律の背中を見つめた。
「りっ……ちゃん?」
幼い頃の律の顔と今の律の顔が視界の中で重なりあった。
「うそ」
また、会うことができた。もう会えないと思っていた死んでしまった親友に。
言葉にならないくらい嬉しさが溢れかえった。
突然ぐらぐらと身体が揺れた。
「なに!?」
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