第54話 温泉回
いつもの日常へ戻った。それから、数日後。
「カズー、カズー、アバターカズー」
「な、何? 聞こえてるよ。うるさいなあー、その頭に響くやつどれだけうるさいか知らないでしょ?」
「ログ見たよ。何してんのさ、あんなの使えないよ」
「でしょ? だから、諦めなって、あれ以来、声しないから、諦めたと思ってたよ」
「テスト期間中で、部活禁止だったんだよ。やだ諦めない。何とかして、味覚戻したでしょ?」
「リアル俺に、おっぱいプレゼントしたのか?」
「する訳ないだろ? ……いや、した。それはもう喜んで私の胸揉みしだいてたよ」
「嘘だな。証拠だせ! リアル俺をそこに連れて来い」
「リアルカズは、今忙しいんだよ。そうだ、面白い事すれば、カズを兄だと思い込んでる超絶美少女のキャラをNPCとして、描いてやるよ。他にも、協力出来る事は何でもする。もうすぐ冬休みなんだけど、その間も、部室に来るからさぁ」
「な、なんですとぉー、そ、その、超絶美少女は、俺の事を、にーに、とか言っちゃったりするわけか?」
「そんなの容易いさ」
「いいだろう。そこまで言うなら仕方ない。この事は、リアルハルと俺だけの秘密だ」
「ああ、交渉成立だね。で、何か案はあるのか?」
「そうだなー……、リアルハル達は冬休みなんだろ? あ、これキツくないか? 年間イベントが出来ないじゃないか? 冬休みと言えば、クリスマスにお正月、こっちじゃ何も無いじゃないか」
「まあ、そうだね。年と月も設定して、歳とるようにするか?」
「いや、それは、不老が無くなるって事だろ? んー、でも、闘うことはもう面白くないこの世界で、年間行事なしは、詰んでないか? バレンタインとか誕生日すらやって無いじゃないか」
「確かにな、じゃあ、魔物のとか、全部カンストしたやつ送ろうか?」
「バカ、それはやめろい。めんどくさい。あ、まだやってないイベントあるじゃないか、アニメと言えば、そう、水着回だ」
「ビキニ勇者が、いるじゃないか」
「んー、じゃあ、温泉回にしよう。リアルハルは、温泉の出る場所を作ってくれ! 感知とかにも引っかからないように、俺らで掘り当てる。どうだ?」
「まあ、それくらい出来るけど、全年齢版って事は忘れるなよ。てか、闘技大会も結局マイコの肌色で終わってるんだよ」
「あれ、使うの?」
「アバターカズが、ノーカットって言ったんだろ」
「それはそうなんだけど、流石にあれは、俺からしてもつまらんぞ」
「まあ、わかった。温泉が出る場所を作ればいいんだな。そっちの時間では、すぐ出来るから、もう探しに行っていいよ」
「おけ」
そして、俺はみんなを集めた。
「えー、集まって貰ったのは、他でも無い。姉一人と四人の妹達よ。我々はこれから、温泉を掘りに行く」
「どしたー? カズ」
「急にどうしたんですか? カズキさん」
「その、姉一人ってのやめてもらえないか? 別に妹になりたい訳じゃ無いけど……」
「カズくん、この世界に温泉なんてあるの?」
「いえ、そんなの設定してなかったはずです。お兄様」
「カズ、お前まさか、リアル私と何かしたのか?」
「可愛いい、リアルハルの為じゃないか、みんなガンバろー」
「急にヤル気出してなんか怪しいなカズ、まあカワイイってのは嬉しいけど……」
「お兄様と混浴楽しみです」
「さあ、みんな準備してくれー、なるべくハプニングは、俺の周りで起こすんだぞ。主人公だからな」
「ねぇ、カズくん? まさか、リアルカズくんが、リアルハルちゃんの胸を、とかは無いんだよね?」
「それは、無いぞ。リアルマイがリアル俺に、おっぱい恵んでくれるのか?」
「ハルちゃんと違って、カズくんになら、それくらいは」
「まじ? じゃ、じゃあ、本人にリアルマイにお願いしといてよ」
「お兄様ー、浮気はダメですよ。リアルでは、妹の私と結婚するんですから」
「みんなー、これは、アニメになると思って考えて発言してくれよ」
「カズが、一番気をつけなよ」
準備を整えて外に集合した。
「みんなー、飛ぶの禁止で、バイクで行くよー」
「そうですね。お兄様、飛んだら何も起こらなそうですし、すぐ終わっちゃいそうですもんね」
妹プロトタイプに、俺とトモエ。妹セカンドに、グミエとグエナちゃん。ハルとマイは、それぞれの単車に跨った。
妹プロトタイプとセカンドとハルのバイクはジャンプも出来る様になった。これは、スケボーのウォーリーの要領で前輪と後輪のサスを縮めた所で固定するボタンを取り付けただけだが、前後ろとタイミングを合わせないと上手く飛べない。ただこれで遊んでいただけだ。
「まあ、そうなんだけど、そう言うメタ発言も禁止で行くよー」
「カズも、メタ発言とか言ってるじゃん……」
「今からね、匂わせもダメだよ。もしそう言う発言あった場合は、やきとりの衣装燃やしの刑にしまーす。気をつけるように」
「カズくん、どうやって温泉探すの? 魔法とかスキルとかでも探せなく調整してあるんだよね?」
「ん? 調整? それギリだよマイ。衣装燃やしそんなに喰らいたいの?」
「やめてー、ごめんなさい。今の無し」
「で、実際、どうやって探すんだ?」
「ズバリ! しらみ潰しだ。尺稼ぎだよ」
「カズ、アウトー」
「無し無し、ごめんなさい。ホント今からスタートだから」
「そろそろ、行こ。どこからいくんだ? カズキ」
「まあ、とりあえず、あそこだな。ゴードンの所」
「オッケー! 魔王領なら、私にみんなついてきて」
そして、何事もなく、ゴードンの住処に到着した。
「お姉ちゃん、ビックリするくらい何もなかったね?」
「グエナ、普通に考えて、このメンバー襲うやついないよ……」
「お兄様、これからどうするんですか?」
「とりあえず、適当に掘ってみよう。マイー、勇者のカマとか使うか?」
「うん。貸してー」
「そんな、チマチマやってたら、一生見つからなくない? 私に任せてよ」
ハルは、そう言うと、闘技大会で会場を壊した魔法をぶっ放した。すると、ほどなくして、水が、噴き出した。
「カズキー、これ、熱いぞ。温泉出たんじゃないか?」
「…………あ、うん。出ちゃったね……」
「カズキさん、何でここだとわかったんですか?」
「あ、いや、逆にここは無いと思って、だって、グエナちゃんが、攫われたのもここでしょ? 未来都市が出来たのもここ。何かあった時ってここじゃない? アイツバカなの?」
「カズ、その発言はアウトじゃないのか?」
「まあ、いいじゃないですか、お兄様。みんな魔法でチャチャっと整備して、温泉入りましょうよー」
そして、整備し、それはそれは、立派な露天風呂が完成した。
「では、早速」
トモエはそう言うと、一瞬にして全ての服を脱ぎ捨てた。
「ト、トモエー、お前……」
「どうしたんですか? お兄様。温泉ですよ、早く脱いでくださいよー。あれ? 恥ずかしいんですかー? わざと男湯とか女湯造らなかったんですよね?」
「あっ……。わざとじゃないぞ。わざとじゃ」
「じゃあ、私も。別にカズキと女だけだしな」
「私もカズキさんだけなら、平気です。気持ちよさそう」
そう言うとグミエとグエナちゃんまで脱ぎだした。
「そうだね。カズならいいか。この辺の魔物はゴードンの部下達しかいないから、襲われる心配も無いし」
「カズくん、あんまり見ないでよね」
ハルとマイも脱ぎ出した。
「ちょっと、みんな、俺いるよ」
「お兄様も早くぅー」
「いやいや、温泉回なんだよ。こう言うのはさぁ、男が覗きに行ったりとか、ラッキースケベがあったりとか、で、男が怒られたりとかじゃないの?」
「あー、カズ、アウトな。やきとり呼んどいたから」
そして、俺は衣服を燃やされ、みんなと温泉にとても仲良く楽しく入った。
「トモエ、流石にここでそんなにくっつかれたら……」
「くっつかれたら、どうなっちゃうんですか? お兄様」
「おーい、リアルハルー、温泉回も失敗だよー。リアルハルー? おーい」
返事は無かった。
「ねぇ? 誰か謎の光が出る魔法とかって持ってないの? タオルとか誰も持ってないよ」
リアルハルから、返事がないまま、十日が過ぎた。温泉は、ゴードンがそのまま経営する事になった。のちに、ジョン君が、土属性の魔物以外が嫌う匂いのでるバスを開発して、温泉は安全に行ける魔物領として、セバスさんと、ゴードンの共同経営になり、療養の地として、大繁盛する事になる。
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