第52話 2期?
ダサロボを倒してから、約七年の時が流れた頃、俺達はみんなで、魔法研究所の横に何でも屋を始めていた。その店の名前は『妹ショップ』だ。ダンジョンは、全ての罠を取り外し、特別区画は無くして、普通に解放している。ダンジョン王である事は伏せたままだ。それぞれが、個人依頼をこなしている、ごく普通の日に、突然、と言うか、久しぶりに、元日本人全員に頭に声が響いた。
「優しい世界のみんな、大変な事になった」
たまたま、指名依頼が無かったので、店番をしていた俺の元へ、ハル、マイ、トモエが、駆けつけた。
「おお、リアルハルか? めちゃくちゃ久しぶりじゃん? どうしたの? もうアプリ辞めたと思ってたよ」
「ああ、そっちでは、凄い時間経ってるな、日本は文化祭終わってから、三ヶ月後くらいだよ」
「そうなのか? で、どうしたんだよ?」
「まさかの、優しい世界のアニメ化が、決まってしまったんだよ。文化祭に、カズのログで出したらさー、なんか、その世界の関係者みたいな人が来てて、トントン拍子に、私の作品のアニメ化が決まった」
「私の作品? リアル俺は、どうしてる?」
「カズは、文化祭始まる前にとっくに、辞めてる。この世界は、私のだ。それで、いきなりのアニメ化作家の私は、このチャンスを逃したく無い! だから、お前らは、アニメが、バズった時の為に、これから面白くしてくれ」
「はー? この世界が面白かったから評価されてアニメ化なんだろ? じゃあ、俺のおかげじゃん? お前ら、つまんねーって、いっつも声響かせてただろ?」
「つまんねー、って言ってたのは、ほとんど、カズだよー、まぁ、私も少しは言ったけど、謝るから頼むよ。バズったら、アニメ第二期とか、決まるかも知れないじゃん?」
「リアルハル、その前に、ちょっと、聞いていいか?俺らもうこの世界きてから、何年も経ってるはずなのに、全然歳取らないんだが……」
「日にちは、設定したけど、月は、設定してないからな。お前は、まだ17歳のままだ。リアルカズは、とっくに、誕生日迎えて、18歳になってるぞ。まあ、アニメ時間ってやつだと思って諦めてくれ」
「何だ、そりゃ? そういえば、グミエとグエナちゃんも出会った時から、変わって無いような……」
「お兄様、こんな話し断りましょう」
「私も断るに賛成、だって今の生活で楽しいもの」
「んー、私は、リアル私の頼みなら、聞いてやりたい気持ちはあるけど、面白くしろって何よ? リアル私、具体的に言ってよ」
「だそうだ。リアルハル。そういえば、もう昔の事で忘れてたんだけどさぁ、あのカッコいいロボ倒した後、リアル俺は、何をお前らにお願いしたんだ? どっちかと付き合ったとか? おっぱいでも揉みしだいたとかか?」
「付き合って無いわよ。到底受け入れられる願いじゃなかったから、却下したわよ。どう見てもダサロボだったでしょ、カズは今、文化祭で恥をかいたからって、絵の勉強を始めたわ。そんな事より、頼むよ、カズ」
「な、何だと! 約束が違うじゃないか」
「お兄様、おっぱいなら、私のをいくらでも」
「トモ、ちょっと、黙って。リアル私、実際何すればいいんだよ? とっくに敵無しだぞ。これ、バトル物キツくないか?」
「何でもいいのよ、アバター私。とにかく、面白くして、私の中村遙の人生がかかってると思ってお願い」
「リアルハル、条件がある。むちゃくちゃな設定変更は無しだ。カンスト四桁増やしとか、普通に無理だし、全力で闘うだけで、この世界滅びるぞ。あと、俺の味覚ちゃんとつけてくれ。あと、リアルハルの、おっぱいをリアル俺に揉ませてやってくれ。どうだ?」
「カズくん、何言ってるのよ」
「黙っていろ! 二番目の妹マイよ。どうなんだ? リアルハル、この条件が、飲めないなら、俺たちは何もしない」
「味覚は、わかったわよ。おっぱいはダメ。全年齢版って言ってるでしょ」
「何でだよー、お前らもうすぐ卒業だろ? リアル俺に高校時代の思い出の一つでも、やってくれよー」
「リアルハルカ先輩、リアルに可愛い後輩の私はそこにいますか? 居なかったら伝えてください。リアルお兄様に、自分のおっぱい、いや、全てを捧げなさいって」
「アバタートモ、リアルトモは、居ないが、言うまでもなくいつもそんな感じだぞ」
「なるほど、流石リアル私。じゃあ、毎日リアル私のおっぱいをリアルお兄様が揉みしだいてると言う事ですね」
「いや、単にお前が、胸押し付けてるだけだ、まあ、カズも、チラッと触ってるがな、周りにバレないように。……だからー、全年齢版だって言ってるだろ! まあ、ここはどうせカットだ、カット」
「よし、いいだろうリアルハル、味覚さえ戻してくれれば、何かしよう。ただし、この先、カット無しだ。全年齢版を心掛ける。どうだ?」
「本当かカズ。ありがとう期待してるよ」
リアルハルの声は消えた。
「それで、カズくん何するの?」
「そうだなあ、特には考えてないが、とりあえず第二妹、何か食べさせてくれないか? 味覚があるかチェックしたい」
「もー、誰が、第二妹よっ! いいよ。何か作ってあげる」
「どうするよ? 第一妹、第三妹」
「カズ、さっきから、何なんだ? その呼び方」
「いや、アニメだろ? みんなの自己紹介的なの初めにするだろ? 普通」
「お兄様、私が、第一妹ですわよね?」
「もちろんだ。我が妹、トモエ」
トモエは、抱きついてきた。
「お兄様、大好きです。結婚しましょう」
「トモ、お前、この世界では、一生結婚出来ないぞ」
「何でですか? 第三さん」
「第三言うな! だって、この世界歳とらないんだよね? トモお前まだ、15歳だろ?」
「お兄様、ただちに、法律を変えましょう」
「いや、ここ王都だし無理」
「ては、ダンジョンのやつを」
「トモエ、シッ! まだバレてないんだぞ」
「カズ、バレてないって、何の事だよ?」
「……はて? 何の事やら」
「カズくん、出来ましたよー」
「おおー、待っていたよ。愛する第二妹よ」
持って来られた料理はそれはそれは豪華なものであった。
「なぁ、マイ? お前すでに、アニメ意識してるだろ?」
「カズくん、何を言ってるのかしら? いつも通りじゃなくて?」
「いや、喋り方も……」
「嫌ですわ。ほほほ、そうだ、王都でもう少ししたら、闘技大会が、あるじゃなくて? カズくんが、初参加ってのは、どうかしらね?」
「マイコ、その喋りやめろ! 気持ち悪い」
「気持ち悪いですってー!」
「闘技大会かぁ、うーん……、やってみよか?」
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