第51話 クソみたいな最終回
「ちょっと、バカやってないで、早く願い言いなさいよ。そもそも倒せるもんじゃないんだって」
「オーケー。じゃあ、最後の願いだ。あの使徒を一撃で倒せる武器をくれ! 出来るだろ? 課金が必要なら、そっちの俺にしてもらえ、まあ、おそらく何か描いて設定するだけだろ?」
しばらくの沈黙の後、
「きたないわよ、そんなのズルいじゃない」
「どうした? 願いが聞けなくても、そっちの負けだぜ? それに、これは最終回か何かなんだろ? 絵の下手な俺に手伝って貰うくらい時間が無いんじゃないのかなぁ? 未来都市とか言ってあんなに、描き込んじゃって、もう、どうせ、クソみたいな世界だろ? 作者と会話しちゃってるんだからさ、このまま、ボス倒さない方が、よりクソだぜ?」
また、沈黙してしまった……。
「トモエー、よく考えたら、お前何しに来たんだ? みんなを護る為って言ったじゃないですかー」
「んー、そうかなあ? だって、コロシアムへの攻撃だって、多分トモエが居なかったら、してないと思うんだよね。優しい世界とか創っちゃうハルがだよ、そんな事するかなぁ? 本当は?」
「お兄様の、貞操を護る為です。だって、久しぶりに、アプリ見たら、ハルカ先輩もマイコ先輩も、隣に住んじゃってますし、日本人は、性欲あるんですから、それに、いくら妹しか愛せないお兄様でも、グミエさんとグエナさんと、ずっと一緒に住んで、いつ狼になるか」
「……そか。パソコン封印してたんだよな? 何で封印解除したんだ? 俺にもバレちゃってるじゃないか?」
「それは、お兄様が、お一人で創った世界が、あまりにもクソだったからです」
「クソって、口が悪いぞ、妹よ」
「文化祭が近づいて、お兄様が、アプリがゲームオーバーしたって言い出したんですよ」
「このアプリ、ゲームオーバーなんてあるの?」
「はい。主人公が死ぬと世界を再設定です。でも、まあ、過去ログは見れますので、部員全員で観たんです」
「で、どうだった? 俺の世界は」
「だから、クソです。クソ。うんちですー。まず、絵が汚い、それで、この世界の教訓からか、自分の初期設定に、戦い好き、が、入っていて、ボッチのお兄様は、一人で闘い続けて、最後は全生命体皆殺しからの、星を消滅させて自殺です。どんどん敵を一人で倒して行くから、会話も無く、作画が、追いつかず、強い設定の敵を出しても、闘う前に、飛んできたら手足がもげてたりするんですよ」
「控え目に言って、クソだな……」
「そうなんですよ。お兄様のやつで文化祭出ようみたいになってたのに、急遽、こっちのがマシみたいな感じで、封印解除したんですよ。でも、お兄様には、内緒で、私もその時は、知りませんでした。文化祭は諦めるのかなって」
「なるほど、でも、文化祭に出したらバレるのでは?」
「そこは、カットする予定だったみたいです」
「それで、実は、寂しがりのお兄様は、私に、ハルカ先輩とマイコ先輩に無視されてる助けてー愛しの我が妹ーみたいな感じで私に泣きついてきたんです」
「えっ? それマジ?」
「いえ、まあ、少し盛りましたけど、そんな、感じです。まあ、コソコソ先輩たちが、部室のパソコン弄ってるの知ってましたから、部活終わりにパソコン覗いたら、先輩達が隣に住んでて、そのパソコン覗いてるのをハルカ先輩に見つかっちゃって、でも、お兄様の世界みたいに、滅ぼすんじゃないかってほどの描き込みだったんです。それが未来都市です」
「なるほど」
「だから、私もこっちに来て、お兄様を護ろうとしたんです。みんなは、つまらないって言ってましたけど、私は、この優しい世界、結構好きだったんです。それで、部室のパソコン親機の設定を少しイジってのコピーをしてもらおうとしたら、ハルカ先輩に反対されて、コピーは、ムリやりして、帰ったんですけど、もう夜中まで、ハルカ先輩に邪魔されて、本体の方に、制限とかかけられちゃって、朝方こっちに来たんですよ」
「あ、着いたばっかりの時、いきなり眠そうだったもんね。眠さも、反映するのか、凄っ!」
そんな話しをしていたら、空に、それはそれは、綺麗な、凄い描き込みの剣が、現れた。
「日本のハルー、ありがとう。早速倒してくるよ。ちゃんとハッピーエンドで、終わるね。文化祭ガンバってー」
「もう、カズ、嫌い! その剣で、せめて、マイコに倒させなさい。マイコのログで、文化祭出てやるんだから、カズのより全然面白いのよ。そっちの世界着いた時とか、モノマネとかして、お金稼いでたんだから、カズより全然戦ってるし」
「……だが、断る! 俺が倒すって言っちゃったし」
それだけ、言い残して、頭に響く声は、無くなった。
「じゃあ、みんな、離れて、妹達よ」
「イヤです。ずっと離れませんよ。お兄様」
「あれ? トモちゃん? カズくんの言う事聞かなかったら、針千本飲むのでは?」
「あはは、あの魔法に、そんなに効果時間無いよ。とっくに切れてる。魔法効果中は常時MP減るもん。今はMP減ってないもん」
「お兄様、騙したんですか? 酷いです」
「騙して無いよ。言わなかっただけ。サクッと倒して来るね」
そして、俺は、未来都市に行き、一刀両断した。その後は、グミエとグエナちゃんと合流した。
現代日本の漫研部部室にて。
ハルがパソコンを閉じた。
「カズ、これどうするのよ? 文化祭に出せるわけないでしょ? ラスボスが、一撃なんて」
「じゃあ、俺の、オレ無双の世界、出す?」
「カズくん、文化祭諦めよーよー」
ガラっ
「お疲れ様でーす。先輩方、どうなりました? 優しい世界」
「あ、トモ、おつかれー」
「トモちゃん、お疲れ様。ダメだよ、文化祭出れない」
「そんな事無いよ。優しい世界でいこ」
「そうですよー、私好きですよ。優しい世界。で、何でダメなんですか? お兄ちゃん?」
「トモ、いい加減、カズの事、お兄ちゃんって呼ぶのやめなさいよ」
「いーじゃないですかー、お兄ちゃんも、良いって言ってくれてますし」
「トモちゃん、部室意外では、カズキ先輩って呼んでるわよねぇ?」
「まぁ、そうですよ。私は常識ある人間ですから。それで何でダメなんですか? って」
「カズが、もうダサロボ、倒しちゃったんだよ。せめて、マイコが倒したなら、マイコのログで行くって線もあったのに……」
「ハルちゃん、私のは、イヤよ。恥ずかしいじゃない」
「えっ? どう言う事ですか? 倒せる訳ないじゃないですか、あんなバグ。流石、お兄ちゃん」
「でも、向こうのカズも、最後まで気づいてなかったね。なんか弱点とか覚醒とか言ってたし……」
「そうだね。図書館破壊したのも、私らのミスが載ってるの防いだだけだし」
「オレ無双の世界が、みんな、クソって言うけど、あの倒せないボス出しちゃうのもクソだよね?」
「カズのせいでも、あるだろアレは」
「カズくんと、ハルちゃんで、二人とも、カンスト数字から、二桁づつ増やしちゃったんだよね?」
「カズには、私が調整するからって言って置いたから、私は悪くないよ」
「それは、聞いてたけど、やって無かったから、俺が調整しといたんだけど、更に、そこから二桁増やしたのハルだろ? それを確認しないで、増やした方が悪い。な? 妹よ」
「はい。ハルカ先輩が、悪いです。でも、それを倒しちゃうなんて……、お兄ちゃん凄い」
「そうだろ、そうだろ」
「トモちゃん、あんまり凄くないよ。なんて言うかズル賢い。ログ見れば?」
「はい。お兄ちゃんの、勇士を目に焼き付けます」
「なあなあ、そんな事より、ハル、マイ、何か忘れてないかなぁ?」
「……何よ?」
「何の事でしょうか? あ、そろそろ陸上部行かないと」
「今、トモエが、ログを確認中だ。往生際が悪いぞ。俺は、オタクだけど、三次元もいけちゃうんだぜぃ」
「カズ、エッチなのは、無しだよ」
「カズくん、あんまり、酷いお願いだと、おばさんに言っちゃうよ」
「あれー? 二人ともー、俺の事が好きなんじゃなかったっけなあ?」
「だから、好きじゃないって言ってるでしょ」
「お友だちとしての、好きよ」
「もー、素直じゃないなぁ」
「ホントに、軽めの、ね? カズくん?」
「では、二人への願いを発表します。二人とも、俺の妹になれー」
「ちょっと、お兄ちゃん。妹は私だけー」
「おつかれー」
「おつかれっしたー」
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