第48話 ネタバレ 1


「一つ目は、俺達が、未来都市でダッサい使徒を倒したら、あの土地を元に戻してくれ。ゴードン達の住む場所を返せ」


「……わかった。承諾しよう」


「二つ目の願いは、トモエの制限を全て解除してくれ」


「制限の解除?」


「言えない事が、あるって事と、嘘をつけないって事だ。お前なら出来るだろ? いや、こう呼ぼうか、作者さんよお。この願いは、今すぐ叶えて貰う」


「カズくん、作者って何? 神様とかじゃなくて?」


「んー、まあ神様ちゃあ、神様なんだけど、この世界は、俗に言う異世界じゃないんだ。物理法則がめちゃくちゃ過ぎる。俺達、この世界に来る時、スキルポイント振ったよな? その時、神らしき人に誰も会ってないし、トモエは、ほぼ自分の意思でここに来ただろ? そして、俺達が死んだのか? と言う質問には、答えられないって、これは、ほぼ生きてるって事。他にも理由は沢山あるけど、この世界は、たぶん、マンガだ。ゲームの中かな? とも思ったけど、主人公、沢山いるし、そうなると、トモエの答えに矛盾が沢山でてしまうんだ」


「私達、てっきり日本で死んだのかと思ってた。ハルちゃんと、同時にこの世界にきたし、レディース同士の何かの抗争で、相討ち的な」


「それも、たぶん違うぞ、そもそも、ハルもマイも暴走族なんかじゃ無かったんじゃないかな? だって、おかしいだろ? 西と東に分かれてるはず、なのに、どっちも、俺の知り合いで、妹の先輩なんて。それに、こんなかわいらしい二人が総長なんて……」


「カズ、かわいらしいなんて、照れちゃうよ」


「もー、カズくんったらぁ。でも何で、本当の事しか言えない事まで、解除なの?」


「ん? ああ、おそらく俺達は、ただの、AI、だ。でも、生きちゃってるだろ? 俺達。じゃあ嘘つけないなんて、トモエが、可哀想じゃない? 悪い嘘ばかりじゃ無いと思うし」


「お兄様ー。大好きです」


「トモエ、何か忘れてない? 俺の約束した魔法の事」


「カズが、針千本飲ますって、あれか。どうせ嘘つけないなら意味ないから、カズはバカになったのかと思ってたけど、この為か」


「お兄様、酷いです……」


「まあ、ほとんど、ゲームじゃなく、マンガだと、思ってたけど、最後のダークを使った作戦会議で、その事が漏れて無かった事で、確信したよ。暗くて、筆談の作戦会議が、マンガだったから見えなかったんだ。そもそもあんまり意味ない初級魔法のダークの値段だけが、高く設定されてたしな」


「確かに、私は貴族の人たちを奴隷にしてから、値段なんて気にしてなかったけど……」


「俺達の記憶が、イジられてるだろ? 覚えてる事があったり、無かったり、おそらく、日本の、AI技術で、誰かのそのままの性格を漫画に投映出来るシステムが開発された。その記憶を消されて、この世界に来ちゃったんだよ。そうなんだろ? この売れない漫画家さんよお」


「カズ、そこまで解ってるなら、何でトモの言えない事の制限解除?」


「俺達は、元の世界に戻れない。と言うより普通に生活してるんじゃないか? だから、色々納得の行かない事をトモエに聞こうと思って、トモエは何でも知ってるって言ってたのは、この世界に、AIとして反映される前の記憶が消されて無いって事なんじゃないかな? だから、反映された後の事は知らない。というかわからないから、腐れ漫画家が、何をしてくるかわからないって事。どうした? 早く願い叶えろ。クソ作者! つまらないとか、頭に声響かせやがって、自分で書けよ。おそらく〆切が近いんだろ?」


「カズの言う通りだ。このクソ作者!」


「お兄様。大変申し上げにくいのですが……、もう私の制限は解除されてるみたいです」


「えっマジ? じゃあ、今は何でも答えられるって事だよね? 嘘もつける様になったって事でもあるけど、魔法の事忘れちゃダメだよ。正直に話してトモエ。俺の言ってた事当たってるでしょ?」


「いえ、残念ながら、半分くらいでしょうか」


 ハルにもマイにも大笑いされた……。


「カズー、ダサッ、あんなにドヤってたのにー」


「カズくん、カッコ悪っ」


「は? えー! 漫画の世界じゃないの?」


「いえ、本当に凄い事ですよ。よくここまで。流石です。お兄様。どこから、話していいか……、その前に聞かせて貰えますか? 今までの話なら、かなり、自由度の高いVRMMOとかの推測になるのでは? と」


「もちろん、それも考えたけどさぁ、なんか、ほぼ同じの木とか有ったよね。これはまあ納得というかなんだけど、柵が、同じすぎたし、大量生産的な整った形じゃなかったし、それをグミエが、突っ込んで壊した事あったでしょ? それが、次の日壊れてなかった。俺も無言で何気なく壊したら、直ってたんだよね。モノレールも意識しないと、一瞬だったしさ、これって、漫画のコマにならないんじゃないかって思ってさ」


「なるほど、では、まず、先程からハルカ先輩やお兄様が、バカにしてる、作者ですが、ハルカ先輩と、お兄様です。そして、あの使徒は、お兄様が描いた物かと、見覚えのあるタッチです」


「はーーー!? どゆこと? ウソいくない! ウソだめ絶対! 俺達は何者なの?」


「えーと、私達は、ただの漫研部です。お兄様が、部長。ハルカ先輩が、副部長。私は後輩の一年生。マイコ先輩は、幽霊部員と言いますか、幼馴染みのお兄様に、頼まれて、名前だけ貸してる陸上部兼任です。三年生が卒業して、人数が足りなくなったからですね」


「カズ、お前、絵下手だな」


 …………。


「俺達は、高三って訳か。んで?」


「んー、じゃあ、初めから順を追って話しますね。今から、三ヶ月くらい、前ですかね? お兄様が、新作アプリを見つけてきて、それを、漫研部の文化祭の出し物にするって言いまして、みんなでそのアプリをやる事になったんですよ。まあ、みんなでって言っても、本当に漫画家志望のハルカ先輩と、ぶっちゃけ、ただのアニメオタクのお兄様だけですが……私はお兄様と一緒に居たいだけで、漫研部に入っただけですし」


「ちょっと、待てー、俺って、ただのオタクだったの?」


「あはは、カズー」


「カズくん……」


「トモエ、ウソいくない」


「そうして、二人は、アプリを始めました。そのアプリが、この世界です。このアプリの遊び方は、世界を創って、そこに、お兄様が言っていた様に、本人の、AIを主人公として、入れられるものです。なので、先程、お兄様がおっしゃられた事は、ほぼほぼ、正解なのですよ」


「ドヤー」

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