第47話 聖女魔法
その翌日。
「ハル、起きろ。来るぞ」
巨大ロボは、ある程度、攻撃して行き帰って行った。テントは、跡形もなく消し飛んだ。
「早く倒しに来い」
「また、頭に……みんな聞こえた?」
「うん」
「まあ、ほぼほぼ、予定通りだな。テント張り直そう」
その日の、16時くらいと、翌日の12時すぎと、16時くらいに同じような事があった。そして、次の日の12時ちょっと過ぎの攻撃を、やり過ごし、
「じゃあ、行こう、マイ」
「えっ? どこ? あー、作戦の図書館か」
「バカ、声に出すな! 作戦を変える、俺は越竹の図書館に行ってから、王都の図書館に、すぐ向かう。トモエ、王都の図書館に先に、行ってくれ」
「何で? 私、行くよ」
「いや、攻撃されるかもしれないから、ここに、トモエを残すのは危険だ。未来都市と王都の中間に、あるここに、ハルとマイが残ってくれれば、ここを襲撃されても、王都に向かわれても時間を稼いでくれ」
「カズ、私が王都に行って、すぐ帰って来た方が、早くない?」
「ハルは、魔王だから目立つ。この前プラネタリウムに行った時は、たぶん俺らと一緒だから、平気だっただけだよ」
「一人で行って、騒ぎになっても困る」
「そか、わかった。ここで食い止めるよ」
「うん、お願い」
「トモエ、妹プロトタイプで、王都の図書館に行って、場所はもちろん分かるよな?」
「うん。もちろん。バイクも原付の免許の学科二回落ちたけど、大丈夫」
「ん? 大丈夫か? 原付乗った事は?」
「ない。けど、聖女が大丈夫って、行ったら大丈夫なのー」
「……急ごう」
越竹の図書館に到着。俺は未来都市や巨大ロボ的な単語に注目しながら、本を探したが、見つからず、王都へ向かった。その道中、ハルから、連絡がきて、感知に、引っかかったんだけど、見つからなくてコロシアムを通過して、やっと見つけたと思ったら、凄い上空を飛んで王都へ向かったと言う事だった。トモエをGPSで探すと、もうすぐ図書館に着くといった所だった。そして、俺が巨大ロボを見つけたのは王都上空だった。
ヤバい……。
俺はロボに向かうか、トモエに向かうか迷ったが、戦えば、被害が、王都中に広がると思い、トモエの方に向かった。
「トモエ、いざとなったら頼む」
「はい。お兄様」
ロボは、何の迷いもなくトモエや俺の方、いや図書館に突っ込んで来た。
「トモエー」
「聖女魔法『ATMフィールド』全開!」
図書館と、その周辺、30メートルくらいが、全ての本含めて消し飛んでしまった。トモエの魔法で人に被害は無かった。
あの魔法の名前……大丈夫なのか……?
「お兄様ぁー」
「良くやってくれたよ。トモエ。ヨシヨシ」
「へへーん。にしても、あの、使徒めー」
いや、使徒って、言ってしまったら……。
巨大ロボ(使徒)は、帰って行った。
「ガーテラさん、大丈夫でした?」
「カズキさん、はい。なんとか、でも」
「すいません。俺の責任です。図書館は、必ず何とかします」
とりあえず、セバスさんに、頼みに魔動車工場へ、向かう途中に、上空で、ハルとマイに会った。ここまで来ていたのだ。
「二人とも、とりあえず、コロシアムの所に帰ろう。俺は、セバスさんに、図書館の事、少し頼んでからすぐ行くから」
そうしてから、コロシアムのテントに戻った。
「ごめん、カズくん」
「しょうがないよ」
「巨大ロボ、見逃した事もなんだけど、図書館って、言っちゃって、作戦立ててたのに……」
「気にするな、マイ。でも、やっぱり知られたくない何かあったんだよ」
「ハル、魔物の国は、どうなってる? 何か被害あった?」
「んーん。たぶん平気。ゴードンの住むとこが無くなっちゃったくらい」
「そか。やっぱり、間違いなく、狙いは俺達、主人公だけだ」
「お兄様ー。お金下さい。さっきので、もう無くなっちゃいましたー」
「いや、もう、お金無いよ」
「えーっ、お兄様の甲斐性無しー」
「いやいや、こっちが、えーっだよ。それに、ツッコむタイミング無かったけど、さっきの魔法大丈夫なのか?」
「何がです?」
「いや、トモエは、知ってるはずだ。何がです? じゃない」
「お兄様。ちゃんと聞いてました? ATMですよ、ATM! お金を預かって、それを使う魔法。何か問題あります?」
「…………」
「それより、どうする? カズ、最終手段いっちゃう?」
「そうだね。本が読めなかったのは、痛いけど、ずっとここに居て、毎日攻撃され続けるのも嫌だし、みんなは覚悟いい?」
「カズくん、信じてるもん。もちろんいいよ」
「私はお兄様に、どこまでも着いて行きますよ。それにしても、あの使徒、ムカつきますね。キーッ」
「口が、悪いですよ。妹よ。しかし、ダッサいよな、あのロボ、あのダサさで空まで飛ぶか普通」
「なあ、カズ、たぶん明日の昼まで、攻撃して来ないよね? 最終手段は、明日の昼前に始めない?」
「なるほど、良いかも。一応、警戒はしよう」
翌日の朝。
「行こうか? 何度も聞くようだけど、本当に準備いい?」
「うん、もちろん」
「むしろ、楽しみだよ」
「トモエは? 俺の言う事聞くようには言ったけど、断ってもいいんだよ?」
「私は、お兄様とずっと一緒って、言ったじゃないですかー」
俺達は、ダイオウイカを倒した、その先、この世の果てと言われる、そのギリギリに、ダンジョンで使った罠の用に、浮遊させ海の上に地面を作り、そこに、住む事にした。家の真後ろには、何も無い空間だ。浮遊の為の魔力は、誰かが、充電すれば、永久的にここに居られる状態だ。そして、12時が少し過ぎた頃、全員、頭に、
「お前達、何をしている?」
「出たな、頭の声、なぜ、攻撃して来ない? 出来ないんじゃ無いのか? 俺達が、全員死んでしまうから、吹き飛ばし効果あるもんなぁ?」
しばらくして、頭の声が返ってきた。
「お前達は、そこで何をする気だ?」
「やっと、お前とまともに会話が出来そうだな。俺達はここで何もしない。ここに住むんだ。食料は、俺達、主人公には、いらないんだろ?」
「そんな事して、何の意味が、あるんだ?」
「簡単な事だよ。お前が、困るだろ?」
頭からの、声が消えた。それから、三日、何もして来ない。グミエからも、連絡が無いので、特に異常は起こってない様子だ。そして、12時が、少し過ぎた頃、
「いつまで、そうしてる気だ? お前達」
おっ、来たな。
「いつまででもだよ。これは、俺達と、お前との闘いだよ。でも、今日来たって事は、俺達の勝ちだな? 随分と根を上げるのが、早かったな?」
「何を言っている?」
「だってそうだろ? 俺達が、ずっと何もしたかったら、困る。つまらないから、違うか? 俺は、この世界の事が、だいたい解かっちゃったんだよね」
「…………」
「どうした? 言い返して来ないのか? お前は、未来都市で俺達と闘い負けたいんだろ? 俺の言う事、三つ叶えてくれたら、お前の望み通り、あの、ダッサい使徒、倒してやるよ。どうする? 大丈夫。お前には、叶えられる簡単な願いだよ」
沈黙ののち、
「例えば、どんな願いだ?」
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