第43話 聖女

 それから、約、三年の時が経ち、今では、いつものごとく、ハルやマイに、強引に言う事を、聞かさせられ、一緒に住むのは却下したが、隣に住んでいる。コロシアムも順調で、闘技大会での、ダンジョンへの魔力供給が異常に良かった事から、ちょくちょく開催している。観客の熱エネルギーも、ダンジョンの魔力になるのが凄いらしい。闘技大会では、ハルもグミエも優勝し、なぜか優勝出来ない、マイが、魔法のみの大会も開いてと言う事で開催した。が、その大会は、マイが一発目に、虹アタックを出し、ハル以外の他の選手達みんなが棄権して、なぜか、魔法が使えないハルも出場していた為、決勝は、ハル対マイ。マイが、魔法をぶっ放し続けて、キレたハルが殴って反則負け、マイの優勝だった。赤字の大会であった。その他では、ハル、マイ、グミエ、グエナが参加しない大会では、ほぼ、くじ運で、やきとりが優勝したり、天才少年ジョン君が、自作のロボットに乗り込み、優勝したりなどが、あった。ダンジョンのレア泥も、良い感じで、勇者の指輪も落ち、遂に俺は、全ステータスカンストした。

 素材集めに、みんなでツリーングしてた、とある日。


「ねえ、カズくん、あれ見て、レインボーはぐれスライムよ。『ゴールデンボール』」


「コラ、女の子が、そう言う事言うんじゃありません。はしたない」


「だから、カズ、キモいって」


「カズキさん、何ですか? あれ?」


 グエナちゃんが、指指す方を見上げると、青白く光るものが、見えた。


「カズキ、あれって、勇者か魔王が、現れるって言う光じゃないのか?」


「ああ、そう言えば、団長がそんな事言ってた様な……?」


「カズくん、いってみよ」


「カズキ、レインボーはぐれスライムの素材、忘れるなよ」


「もう、お姉ちゃん、こんな時まで……」


 俺達は、青白く、光った所へ向かった。そして、そこには、女の子が、倒れていた。


「おーい、大丈夫ー?」


 すると、女の子は、目を覚まして、一瞬辺りを見渡したが、俺に抱きついてきて、


「お兄様ー」

 

 みんなの顔が曇った。


「ちょっと、待って。とりあえず、離れてもらってもいい? 君は誰? 勇者なの? 魔王なの?」


「ああ、ちょっと待って下さいね、えーっと……あった。これで、わかりますよね?」


 そう言うと彼女は、ポケットにあった、指輪を二つはめた。すると、俺たち全員は、瞬時に分かってしまった。


「君は、聖女なの?」


「はい。そうですよ」


「君の事を、鑑定していい?」


「はい。お兄様。私の体、隅々まで、凝視して下さい」


「……じゃ『鑑定』」


 トモエ、聖女。


「きゃっ。お兄様に、覗かれちゃいました」


「えと、君は、日本人なの? 苗字は?」


「お兄様、君だなんて、やめて下さい。日本では、トモエとか、妹よーとか、いって可愛がってくれたじゃないですかー。苗字は、言えません」


「じゃあ、トモエ、言えないって言うのはどう言う事?」


「えーと、私は、全てを知っています。でも、言えない事も多いのです。でも、私は本当の事しか言いません。嘘はつけないんです」


「ちょっと、待ってトモエさん、本当の事しか、言えないって本当なの? じゃあ、カズの本当の妹って事?」


「聖女ですから、嘘はつけませんよ。それより、ハルカ先輩、トモエさんだなんて、日本では、トモって言って可愛がってくれたじゃないですかー?」


「ハルちゃんの事も、知ってるの?」


「全部知ってるって、言ってるじゃないですかー、マイコ先輩。ちなみに、私の事は、トモちゃんって呼んで可愛いがってくれてましたよ」


「トモエ、じゃあ、俺達は、日本で死んだって事か?」


「えーと、言えません。それより、こんな所で、立ち話も何ですから、お兄様のお家に行きましょ。大変なんですよー。あと、とりあえず、私、眠くって、お兄様のベッドで休ませて下さい」


「カズキのベッドだとー」


「そうですよ。グミエさんもグエナさんも、一体何してるんですかねー? まぁ、しょうがないけど……ハルカ先輩とマイコ先輩は、ヘタレだから、いいとしても」


「トモ、ヘタレって何だ? あ?」


「トモエ、ちょっと待って、私達の事も知っているのか?」


「全部知ってるって、言ってるじゃないですかー。それより早く行きましょうよー」


「じゃあ、とりあえず行こか、でも、トモが、乗れるとこないぞ」


「えー、私は、お兄様の前でいいですよー。抱っこしてくださーい。お兄様の国には、道交法なんて、無いじゃないですかー。それとも創ります?」


「トモちゃん? カズくんの国って?」


「あ、先輩たち、知らなかったんでしたっけ? ……聞かなかった事にしてくださーい」


「カズくん? 国って、どう言う事?」


「……とりあえず、行こう」


「カズーーー」


 自宅に到着。


「お兄様ー、ベッド借りますね」


「ちょっと、待ってよ。えと、トモエだっけか? ベッドなら、私の使っていいから」


「えー、嫌ですよー。これから、ここに住むのに、グミエさんのベッドだと、私とグミエさんと、クマのぬいぐるみで、狭いじゃないですかー」


「トモ、ここに住むって、どう言う事だよ?」


「そうだよ。カズくんが、そんな事許す訳ない」


「ヘタレ先輩たちは、黙っててください」


「ちょっ! おま……」


「お兄様ぁー。カワイイ妹を、追い出すなんてしないですよねー」


 トモは、抱きついてきた。みんなが睨んでいる。


「お兄様。先輩たち、怖いですー」


「まあまあ、みんな、とりあえず、ベッド貸すだけだし」


「でも、カズくん、一緒に住むって言ってるよ」


「まあ、妹なんだし、仕方ないんじゃないか? 行くとこ無いだろうし」


「カズキさん、妹なら、誰でも良いんですか?」


「いや、グエナ、お前は、私の妹だぞ」


「そーだ、そーだ、シスコン」


「カズくん、シスコンちゃんって、呼んじゃいますよ?」


「よせやい、そんな褒めるなって」


「とーにーかーくー、私は寝ます! 疲れてるんですぅ。質問は、後で受け付けますから」


「なあ、トモエ? 何で、この世界に来たばっかりなのに疲れてるんだ?」


「それは……言えません」


「じゃあ、俺の部屋は、そっちだから」


「知ってますよー」


 トモエは、俺の部屋に消えた。


「どうすんだ? カズ」


「とりあえず、王都行ってくるよ。図書館に聖女に関する本が、増えているはずだ」


「じゃあ、私も行きます」


「一人で、行ってくる。今の俺なら、飛んでいけば、5分かからないから。トモエが、さっき、大変とか言ってただろ? トモエが、いつ起きるかわからないから、すぐに帰ってくるよ」


 王都、図書館に到着。


 やっぱり、有った。聖女に関する本は、一冊だけか……。

 その本を、読み、帰宅した。


「ただいまー。まだ起きてこない?」


「ですね。マイコさんは、王都に呼ばれたみたいで、行っちゃいましたよ。会いませんでした?」


「やっぱ、あの光の事でかなぁ?」


「そうみたいですね」


 俺の部屋から、トモが、出てきた。


「みなさん、おはようございます。お兄様ぁー」


 また、抱きついてきた。


「おはよ。で、トモ? 話し聞かせてくれるかな?」


「はい。お兄様」

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