第39話 ダンジョン経営
「どうしようかー? とりま、魔力だよね」
「そうですね」
「効率良すぎて、余る魔力が無いから、良いドロップしないって事だよね? いっそ、良いドロップ諦めちゃう?」
「カズキ、それは、ダメだよ。私あと風3、欲しい」
「確かに、俺も、勇者の指輪がなぁ、ここ来て、どれくらい経つ? 勇者の指輪、まだ一個しか落ちてないんだよ。魔王の指輪三個なのに、まぁ、ハルには秘密だけど」
「困りましたね。確か、カズキさんが、強い魔法をダンジョン内で使っても、魔力吸収の上限に引っかかるからあんまり、意味ないって言ってましたもんね」
「だね。長く使った方が良いって言ってたよな」
「最近、めっきり冒険者来ないですもんね。一階は、魔族出るのに……」
「じゃあ、特別依頼出すってのどう?ダンジョンにゴミ捨てに来て下さい。とか」
「わざわさ、こんな所まで、ゴミ捨てに来る人いませんよー」
「じゃあ、ダンジョンって、広げられないのかなあ? ウチと繋げちゃうとか、そうすれば、ウチで使う魔力がダンジョンに還元されるでしょ?」
「カズキ、それじゃあ、家ごと魔力になっちゃうよ」
「あ、そか。じゃあ、ダンジョンを騎士団の稽古場とかにしてもらうとかは?」
「それ、イイじゃん、カズキ」
「ダメですよー、それじゃあ、騎士団の人、みんな殺しあいになって、いなくなっちゃいます」
「あはは、そか、法律も決めないと、だもんな。何も決めなきゃ引き継ぎだよね。法律を決めなかった理由にダンジョンで殺しが、悪い事ってならない様にって、意味もあったのかな? ダンジョン内は殺し合いをしてほしいんだもんね?」
「そうですね。実は良く出来てる法律なのかなぁ? 言葉も決めなかったのも、勝手に出来る本が、白紙だから、図書館に送られても、ノートか不良品にしかならないですもんね? お母さんに、連絡して、白紙の本取っておいてもらえば」
「グエナ、結局、白紙なら読めないよ」
「あ、そうだった。じゃあ、カズキさんが、言葉を日本語に決めちゃえばいいんじゃないですか?」
「いやいや、それじゃあ、俺が王様になった事バレちゃうよ」
「なんだ、カズキ、バレたくないの?」
「うーん。バレてもいいけどー、俺あんまり目立ちたくないんだよね。シャイボーイだし」
「カズキさんは、もう目立ってると思いますけど……」
「でも、実際バレたら、ダメなんじゃないかなぁ? だって、今、無法地帯と思われてる場所で、人間と魔物が生存競争してる事が多々あるでしょ? バレたらバランス崩れちゃうよ」
「なるほど、それもそうだな。ダンジョンに王がいるってのが知られてないから、成り立ってる感じもあるよね」
「そそ。ヤバい。なんか何も決まってなくない?」
「……そうですね」
「とりあえず、言葉を決めると全部バレるからダメで、人の国の法律を採用すると、生存競争が成り立たないし、ダンジョンで殺さなくなるからダメで、これって俺が王になった意味ある? 何も変わってない……」
「ないね。カズキ、ドンマイ」
「変えるとすると、ダンジョンの罠を全部取っ払うって事? それはやだなぁ。バーリエさんに、ダンジョンは俺の物だぁーみたいな事言って恥ずかしいし、まあ、本当に俺のになっちゃったんだけど……」
あーだ、こーだ、言って結局、何も決まらなかった。
翌日。俺達は、結局いつも通りとりあえず進める事にした。41階層に着いた頃、
「お姉ちゃん、この前、ハルカさんとマイコさんの、お祭りが、あったじゃない? その時、ギルマスさんも遊びに来てて、モヒカンになってたんだよ」
お祭りって……、ギルマス武道大会で髪の毛生やしたのに絶対またハゲるよな……。ん? 武道大会か。それだ。
「マスター何してんだ。はは」
「ごめん、グミエ、グエナちゃん、俺ダッシュで、マルに確認してくる。ちと、二人で、作業してて」
「カズキー、どうした?」
「武道大会だよ」
俺は、マルに、色々聞いてきた。その事をグミエとグエナちゃんに伝えた。結論は、コロシアムを作ることにしたのだ。ダンジョンの拡張は可能だが、色々なルールがあった。ダンジョン内に既にある、消えないものは魔力には、変わらない特別なものである事。これを使ってダンジョンの入り口から伸ばしてコロシアムを作る。この工事には、ギルドで依頼し、人を雇う事にしたのだ。家を作るレベルのものでは無い為と、工事中に、ダンジョン内と判定されれば、労力が魔力に変わるからだ。
あとは、法律の特別区画の設定について聞いてきた。王が特別区画のみの法律と定めればその範囲で有効に出来ると言う事だった。ダンジョン領の広さは変えられないので、一部の建設予定のコロシアム付近のみに対応する法律を決めた。要するにコロシアム付近以外は無法地帯という事だ。特別区画の法律は基本的に人間の国のを採用し、一部追加した。魔物も殺してはいけない事。選手はルールに法律に反しても従う事。忘れ物は決して戻らないので、自己責任である事。ゴミはコロシアム内で捨てる事だ。
俺達は、ダンジョン攻略を中断して、コロシアム作りに専念する事にした。俺はダンジョン内の土や壁を、広げる区域に、運ぶ。グミエとグエナちゃんは、作業員の監督と指示だ。これにより、ダンジョン付近は本当に新しい国の様なものになる事になる。人と魔物の共存する国だ。実際の国は、その周辺の無法地帯もである。
そして、一ヶ月が経った頃だろうか、新たな問題が発生してしまう。と言うより、当然の事だが、コロシアム周辺に、引っ越したいと言う者達だ。しかし、誰の土地かを明確にしていなかった為、どうすれば、良いのかと言う事。なので、俺が、ダンジョンを制覇して、ダンジョンを操作出来る権利を得て、ダンジョンを拡張して、ダンジョンのルールを変更した。と言う事にした。王様になった事は、伏せて、無法地帯に勝手にダンジョンを作っている。と言う事にしたのだ。特別区画は、コロシアム、ピタリの大きさと、ダンジョンの安全エリアを作ったという、体裁で、ダンジョン内の素材を使わず、ホテルなどを建設した。もちろん、そこは、特別区画である。その頃には、ハルにもマイにも、協力してもらい、コロシアム建設をしていた。最後に、安全エリアをコロシアムの外周、全てに作ったと言う事にし、露店などが、並べられるようにし、この安全エリアを買いたいと言う者も、現れたが、却下し、貸し出す事にした。更に、三ヶ月後、遂に、コロシアムは完成した。コロシアムでは、挑戦者、対、魔族という形をとった。ダンジョンの各フロアの罠を一つづつ外し、魔族の選定は、マルに任せた。コロシアムの運営は、ジョン君の家の貴族に、任せようと思っている。そして、オープンである。
「カズキー、王都での、ビラ配り終わったよー」
「カズキさん、越竹も大丈夫です」
観客も、集まって、最初の試合は、マイ対41階層の雑魚だ。41階層の雑魚と言っても、30階層のボスと同等のチカラを持つ。まず、一般の冒険者では倒せない。まあ、マイには、楽勝だが、華麗な闘い方なので、デモンストレーションである。そして、観客の盛り上がりも良く上々の滑り出しだった。魔族を倒した者には、賞金の出るシステムで、パーティーでの参加も認めた。もちろん、強い魔族のが、賞金は高い。ダンジョンでの戦いより、地形の不利や複数に囲まれる心配なく、レアドロップなどに挑戦出来るとして、高評だった。コロシアムの噂は王都中で広がり大盛況である。ハルやマイの協力もあり、イベントで、魔物対魔族、人間対魔物、人間対人間も、行うようになっていった。コロシアムから王都に、特別区画で、道を繋げようとも思ったが、今は魔動バスが走っているだけだ。これも、ジョン君の貴族が運営している。そして、半年後、コロシアムで、闘技大会を開催する事になった。以前から参加者希望者を募集していて、普通なら予選が行われるようだが、その中から、俺が、コロシアムでの成績なども、加味して、独断と偏見で選び、参加チームを決めた。トーナメント方式である。二日間開催である。参加者は、厳正なる、くじ引きで決めた。
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