第37話 勇者vs魔王
と、共に両軍の乱戦が始まった。しかし、凄い光景である。両軍が、みんなバイクか自転車か三輪車で集まったのである。アホみたいだ。特に魔王軍は、飛べるやつも沢山いるのにだ。四天王はわざわざ、部下共有の変化の魔法で、チャリに乗れる大きさになっているのだ。魔王軍の方はバイクの生産が追いついていなく、三輪車多めなのだ。マイの奴隷の貴族達は強い。金があるからだ。俺の想像する、貴族は自分では、あまり戦闘などはしないイメージだが、ここでは違う。装備で強さを盛れるからだ。
「あー、カズキさん、あれ見てくださいよー。初期のまだカラーしてない、自転車がありますよ。きゃー」
グエナちゃんは、楽しそうである。
ん? あれ? よく見るとギルマスじゃん。アフロがモヒカンになっていた……。
そして、小一時間が経った頃だろうか
「カズくーん、これ、カズくん何かしてるでしょ?」
そう、両軍の人たちは、誰一人怪我もしてないのだ。魔法中心で闘っていた人は、MPが切れ、肉弾戦に、もう、ごちゃごちゃである。俺が全員に、回復をしているからだ。なので、どちらも、怪我をする事なく、ただ戦い続けているのだ。即死するような技は弱体もしていた。今はMP切れで、魔法を使う者がいなくなったので、更に混沌としている。
「まあ、してるよ」
「何やってんの、カズー、酷いよ」
そして、両軍の動きが止まった。疲れてはいるのに、HPは全開なので、おそらく変な気分だろう。
「じゃあ、とりあえず、奴隷と部下達は引き分けでいいかな?」
「カズ、何したの? 私たち真剣なのに」
「だって、無法地帯なんだろ? 俺が何したっていいじゃん」
「じゃあ、大将戦いく?」
「私は構わないよ」
「ああ、私も。でもカズ、何もしないでよね?」
「うん。それは、約束するよ。その代わり、これが、終わったら恨みっこ無しだよ。みんなもそれでいいー?」
不満な者も、いそうだが、なんとか合意を得た。
「じゃあ、コレで勝った方が、カズくんに、何でも言う事を聞いてもらえるって事でいい?」
「いいよ。ぶりっ子が、私に勝てる訳ないじゃない」
「いや、何で俺が……」
「いいよね! カズくん」
「カズー」
「わかったよ。何でもじゃないよ。聞けるやつだけだよ」
「うん」
「じゃあ、始めー」
「やっと、タイマンで決着をつける時がきたな、マイコー」
「そうね。ボッコボコに、しちゃうんだから」
始まった。今回は俺は本当に何もしない。ただの観戦だ。
どれどれー? マイは、っと、『鑑定』うん。ホントに強くなったな。スキルも読み切れないほど、あるし、中には、貴族の遊びだろってようなスキルもあった。まあ、スキルマスターも、奴隷の奴隷だし。しかし、格好がな……ビキニに、ゴツいブーツは、笑ってしまう。お次は、ハル、武器はムチの様なものだ。『鑑定』っと、え? あのムチ鑑定出来ないって事は、妨害がMAXって事か、さしずめ魔王のムチってとこかな? んで、ステータスは、ゲッ……、筋力エグッ! 初期のポイントも基礎ステなんだもんな。筋力と全魔法と闇中心に振ったって言ってたしな……、闇カンストしてんじゃん……俺もカンストなんて無いのに……、まあ、魔王の指輪十八個だもんな、これはもう……。
あー、ハルに何、お願いされるんだろ……。
「なんか、マイコさん、凄いですね」
……おお、かなり動きがいいなマイの奴、騎士団での稽古の成果か?
それは、本当に凄く、なんと言うか綺麗でカッコいいと言う闘い方だった。ビキニだけど……。敏捷に全く初期ポイントを振ってない、ハルに対して、敏捷にも、マイは振っているので、伸び率が全然違い大差が敏捷性だけなら大差がない。でも、やはり魔王の指輪の差でハルのが上だ。しかし、それをカバーする多彩なスキルや魔法で華麗に見える。観戦が楽しかった。そして、どれだけ殴りあっているだろうか、器用さも高いマイが、闘いに慣れてきたのか、瞬間移動やミラージュや分身などを使い押し始めた。相当な時間殴りあっている。
「カズキさーん、なんかギルマスさんも、お弁当食べてるし、食べません?」
「……う、うん」
弁当を食べながら、観戦した。すでに、ハルは防戦一方である。マイは本当に上手い感じにアイテムボックスから次々と高そうな武器を出し、ハルに弾かれ、武器がぶっ壊れる。何本壊れただろうか、ハルの腕には、魔王の小手が装着されている。
まあ、素手でもいけそうだが……。
かなり一方的な試合になっている。これには、本当に驚かされた。ハルが圧勝すると思っていたからである。しかし、HPが、化け物のハルは、全く倒れない。両者ヘトヘトだ。
「ハルちゃん、とっておきの魔法で、終わらせてあげる『マイちゃんスペシャル』」
マイがアイドルっぽいポーズをした。
なんだそりゃ……。ちょっと、ズームして、部分鑑定。
マイちゃんスペシャル、あまりの可愛さにメロメロになり、相手が戦意喪失する。かも? ダメージは無い。
備考、魔法の命名権は、勇者、鈴木麻衣子が買い取った。
「なんか知らんけど、そんなの効くかー」
「なんでよー」
いや、ちょっと、待て、ハルのやつ何で魔法使わないんだ……? まさか……。
「マイコ、あんたの弱点知ってるんだからね、こっちこそ、終わらせてあげる」
その時、ハルは、ムチを地面に叩きつけた。すると、ハルの後ろから、大量の巨大なGの魔物が、マイに一斉に襲いかかった。
「きゃーーーーー!!」
自軍の後ろまで、逃げてしまった。
「あーはっはっはー、私の勝ちね、マイコ」
「何よ、タイマンって言ったでしょ? 他の魔物に助けてもらうなんて、ハルちゃんの反則負けよ」
「違う、このムチの性能だ」
「カズくーん」
「カズ、どっちの、勝ちだ?」
「…………うーん。引き分け」
こうして、闘いは終わった。
俺は引き分けなので、どちらのお願いも聞かなくて済んだ。
「なあ、ハルー、お前さ、魔法使えないのか?」
「使える訳ないじゃない。私、英語の巻物読めないもん」
「…………」
「グエナちゃん、帰るよー」
寝ていた。
お弁当食べて、眠くなっちゃったかな? …………カワイイ。
「あ、そだ。ハルー」
「ん?」
「クラーケンの足、一本貰ってもいい? グミエのお土産、タコパするぞー」
「うん。私もいくー」
「ちょっとーカズくん。私もいくよぉ」
その日、タコパをした。グミエは、たこ焼きロシアンルーレットでも、マイコに負けて、更に凹んだ。
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