第30話 スキル


「ああああ、明日、王都行こう」


「カズキさん、昨日、お休みしたばっかりですよ。昨日は、ハルカさんと、サンドボードとか言って、砂漠に遊びに行ったばかり、じゃないですかー」


「いや、違うんだよ。料理だよ、料理。二人ともスキルの事忘れてない?」


「あ………………」


「カズキと居ると、新しい魔法とかで、スキル忘れてたな……」


「でしょ、俺ら、めっちゃレベル上がってるじゃん、今ならスキルとり放題だよ。料理スキルとかも取ろうよ」


「ちょっと、待ってて下さい。スキルリストの本持ってますんで」


「俺は今レベル186なんだけど、グミエは?」


「私は、138だね」


「ありましたよー。私は、136です」


 グエナちゃんは、スキルリストの本を持ってきた。


「えっ? 二人ともそんなに、上がってるの? 二人は俺の25パーだよね?」


「そうですね。レベル上がるほど、必要経験値増えますから」


「こりゃもう全員チートじゃん」


「ですかね? レベル40くらいの人が41にするのに、サンドワームを一ヶ月とか二ヶ月、倒し続けるって聞いた事ありますよ」


「カズキが、一番チートだけどね。基礎が違うから伸び率が全然違うんだよ。それと勇者の指輪だろ? この超チーターめ」


「で、確認なんだけどさあ、レベル1上がる事に、スキルポイント10だったよね?」


「ですです。ギルドでポイント確認しないとわからないですが」


「そこは、カズキも一緒なんだな。安心したよ」


「じゃあ、みんなこの本で、どれ取るか決めましょうよ。私、千里眼レベル1しかとってないから、えーっと、1340ポイントもありますよ。たぶん」


「俺も付与MAXにしてから、忘れてたからなあ」


 それから、三人で相談して、取得するスキルを決めた。奴隷やパーティーとして、使えるスキルには制限がある。ステータスなど、条件が整っていないと使えないのだ。例えば俺のスキル付与はグエナちゃんはレベル4まで、グミエは、レベル3までしか使えない。ただ、レベル3あれば、一流の付与師としてやっていけるくらいらしい。なので、鍛治師MAXレベル10まで取れるスキルポイントが有っても、筋力や器用さなどが足りないなんて事も多々ある。超一流の鍛治師は腕っぷしも一流である。スキルの申請は、奴隷は出来ない。主人がやるものらしい。


「じゃあ、明日カズキは王都だけで、王都だね。私らは、ダンジョン進めとくよ」


「えーっ! さみしい……。それに明日は30階のボスだよ。二人だけだと、心配だよ」


「大丈夫ですよ。私達も強くなってますし、心配しないで下さい」


「いや、ダメだよ。だって、今までの冒険者の最高到達階層27階なんだよ」


「カズキ、一人だと、さみしいだけだろ? 30階層のザコも余裕あったじゃない」


「どんなボスかわからないんだよ。心配なんだよ。さみしいとかじゃないんだからね」


「魔族図鑑によると、30階層のボスは巨大なカマキリ型らしいです」


「いやいや、最高到達が、27階層なのに、何でわかるの?」


「さあ、何ででしょう?」


「あ、そうだ! スキルは越竹でも出来るよね? だから、みんなで、ジョン君に会いに行かない?」


「んー、そう言う事なら、まあいいか。マスターのアフロが何色になってるか気になるしね」


「ジョン君、大きくなってるかなぁ? 楽しみです」


「いや、そこまで、時間経ってなくない?」


「アネッキーちゃんの餌もそろそろ補充しないと」


「アイツ、好き嫌い激しいんだよな、何でも食わせとこうよ。贅沢は敵だ」


 …………。


 翌日、越竹に到着。


「先に、ジョン君の所行きます?」


「そうしようか」


 元、我が家に到着。


「ジョン君、久しぶりー元気?」


「お久しぶりです、師匠。はい、元気にしてます」


「ジョン君、ちょっと、大きくなったー?」


「いえ、変わってないと、思いますが、おふたりも、お久しぶりです。お元気そうで」


「ジョンー、聞いたよ。あの軽そうな自転車もあんたが作ったんだってね。凄いじゃない」


「あはは、ありがとうございます。ウチでは、師匠みたく、簡単に加工出来る人いないので、鉄をたくさん使うとなると、伐採やらも人を募集しないといけないですし、コストがかかっちゃうので、鉄より強度は落ちるんですが、軽いものを使ってるんですよ」


「なるほど、でも、本当に凄いよ」


「ありがとうございます、師匠。それで皆さんはなぜこちらに?」


「スキルの更新にね」


「何言ってるんだ、ジョン、お前の顔を見にきたに決まってるじゃないか」


「でも、ホント、ジョン君、立派になっちゃって、お姉ちゃんは嬉しいよ」


 グエナちゃんが姉だとぉー。


「な、何言ってるんだ、グエナちゃん。グエナちゃんは、俺の妹!」


「何言ってるんだは、お前の方だ、カズキ。グエナは私の妹!」


「私は、ジョン君のお姉ちゃんの、つもりなんですぅー」


 そして、俺達は、プラネタリウム(フリースペース)の集金に。

 無人料金所に入りきらなかったお金が外に石のおもりをされて、置かれていた。

 これで、盗まれないのか……。


 ギルドへ行き、


 受付のグミエの元同僚「グミエ、久しぶりー」


「あー、久しぶりー、スキル更新お願い。じゃあ、カズキこれ」


 俺は、グミエとグエナちゃんの冒険者カードを受け取った。更新は主人である俺が、行い。昨日の相談で、誰が取ってもみんな使えるんだから、同じだろう。私たちを捨てる気なの? みたいな口論があったが、俺は、それぞれに、合う様なスキルを選んだ。グミエには、瞬間移動、三連突き、潜伏、感知、ヘイト、スキルリキャスト短縮。グエナちゃんには、料理、裁縫、自動活性化、集中、透視、千里眼のレベルアップ。俺は、鑑定、鍛治、魔法リキャスト短縮、重複詠唱、テレポート、ディスペル、合成。これら、全てを、グミエとグエナちゃんは、ステータス状、まだ、途中までしか使えないものもあるが、全てを、MAXでとった。

 スキル更新中、奥から、ギルマスが出てきて、


「おー、カズキー、グミエ、久しぶりだなぁ」


「あ、ども」


「カズキ、HPポーションとか、MPポーションとか、余ってないか?」


「沢山余ってるけど、上級までなら、いくらでも」


「いくらでもって……、そいつらを売ってくれ。依頼書見たか? ダンジョンでドロップするアイテムが不足してるんだよ。最近は、ダンジョン品の依頼ばかりだ」


 あ、もう少しこまめに、売りに来た方がいいのかな?


「なんでも、ポーションとかだけじゃなくて、王都でも、属性石などが、高騰してるらしいぞ」


「……へ、へー。とりあえず、要らないの出すよ。どこに出していい? 沢山あるからスペースが必要だな」


 グミエが、小声で話しかけてきた。


「それ、売らないでとっておいた方が、のちのち、もっと高く売れるんじゃないか?」


「あはは、まあ、そうだけど、お金に困ってないし、やめとこうよ」


 不服そうだ……。


「じゃあ、カズキ。こっちで出してくれ」


 別室へ連れていかれた。


「ちょっ、おま、何だこの量!」


「あはは」


「あはは、じゃねえ、ちと待ってろ計算するから」


「じゃあ、俺は向こう行ってるね」


「おう」


「カズキ、このスキルの透視やばいな。ここからでも、アイテム出してた部屋覗けたぞ。私はまだ、レベル3までの透視しか使えないけど、カズキはMAXだろ、悪用するなよ」


「カズキさん、エッチなのは、ダメですよ」


「しないって、確かに、コレMAXだといくらでもいけるな。これにズームを足して、と……うわー、ここから森林のサイみたいな魔物みえたぁー」


「カズキさん、森林ってどれだけ離れてると……」


「カズキー、計算終わったぞー。だけど、これ全部買い取る金が今無い。明日にでも、冒険者カードに振り込んでおく。それでいいか?」


「オッケー」


「ちなみに全部で、23億と8千……いくらだっけな? まあー振り込んでおくよー」


 ちょっ! そんなデカい声で……。

 ギルドにいた全員からの視線と歓声? を浴びていたたまれなくなり、


「今日は、俺のおごりだーーー!」


 そして、そこにいた全員とご飯を食べに行った。なんか、ギルドに居た人数よりも増えている気がしたが、まあ、一生に一度は言いたかったセリフを言えた気がした。ギルマスは、少し大きくなった真っ赤なアフロになっていた。


 その翌日。30階層制覇完了。新しく覚えたスキルを試しながら、グミエだけで、ボスも余裕であった。特に合成が凄かった。アクセサリーを統合出来るのだ。属性値アップのは上限が10でそこまでしか合成は出来ないのだが、グミエの見た目はかなりスッキリして、もう成金とは言われないくらいには、なっただろう。そして、ナント、勇者の指輪の性能も合成出来てしまったのだ。なので、勇者の指輪シリーズを勇者のネックレスに合成して一つにした。ちなみに、勇者の指輪シリーズは11個持っていたので、元のステータスの、2048倍なのだ。今までは、王都で買い占めた分は持っていたが、特に必要なく、邪魔なので装備していなかった。31階層からは、かなり地形も厳しいものになってきたが、裁縫スキルなどで、作った装備に体温調節などを付与しながら、まあ、順調に、進めた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る