第28話 釣り
「なあ、マイも、同じ感じなのか? 記憶とか」
「そんなの、わかんないよ。マイコじゃないもん」
そりゃ、そうか……。
「ありがとう。話し聞けて良かったよ。じゃあ、そろそろ」
「カズ、何言ってんの? 私もここに住む」
「いやいや、ダメでしょ。四天王連れて帰ってくれなきゃ」
「えー何でー、恋人同然の私がだめなのー? グミエさんも、グエナさんも一緒に住んでるんでしょ?」
「うん。恋人じゃなかったんでしょ?」
「ハルカさん、私達は奴隷ですので」
「奴隷? 奴隷って、カズの?」
「そうですよ」
「えーっ! 何やってんの?カズー、この変態、スケベ」
「あー、違うんだよ。奴隷って言ってもハルの思ってる様なやつじゃないんだよ」
「何も違わないよ! この、スケコマシー」
「そうだな、カズキは、スケコマシだ」
「カズキさんの、スケコマシー」
グエナちゃんまで……。
「カズ、私も、カズの奴隷になる」
「は? ハルは魔王なんだよ? そもそも、魔王って奴隷になれるの?」
「どうなんですかね?」
「ハル、とりあえず、今日は帰って、四天王も可哀想だよ。また、遊びに来ていいから」
「うーん……。わかったよ。また、来るからね」
そう言って、さりげなく、キスされた。そして、四天王と、共に帰って行った。
とんでもない事実が、盛りだくさんだったな……。
「どうする? まだ、早いし、みんなで、釣り行こかー」
「そうだね、カズキの言う、タコパっての気になるし」
「はい。お弁当出来てますよ」
「レッツらゴー」
そして、妹プロトタイプで、海へ向かった。今日は、グミエの運転で後ろにグエナちゃん、俺はサイドカーだ。
「グミエー、そのガトリング狙わなくても、敵だと思うやつに、自動的に当たるから」
俺は、ガトリングの玉、アイテム袋の中身、全てに『誘導』を付与していた。
「うわー、本当に当たった。もう何でもありだな」
今度、サイドカーにも、何か武器付けるかなぁ?
海までの道のりで、結構魔物に出くわした。おそらく、四天王が移動してしたせいだろう。もちろん、全ての素材を回収し、海へ到着。誰もいない砂浜である。王都からの海ならば、船などが出ているが、ここはギリギリ国外だ。
「さあ、みんな大きな声で、ご一緒にー」
「えっ? 何?」
「バカヤロー!!!」
「なっ! 何だカズキ急に大声出して」
「日本人は海に来たらみんなこう言うんだよ」
「何の為に?」
「それかぁ、俺とグエナちゃんなら、砂浜を、あははは、って言いながら、追いかけっこしたり、水をかけあって、やったなこのーって言って、キャッ! て言うんだよ。やる?」
「いや、だから、何の為に?」
「やりませんよ。濡れちゃうじゃないですかー?」
「大丈夫だよ。グエナちゃん『ドライ』MAXでしょ」
「いやいや、だから、何の為に?」
「もう、お姉ちゃん、カズキさんの冗談だよ。日本人がそんな意味ない事やるはずないじゃない? それより、カズキさん。どうするんですか? 船も無いですし、こんな浅い所じゃ釣れないですよ」
「そうなの? 浅い所でも釣れると思うけど……、じゃあ、沖にいこか」
「どうやって? まさか、泳ぐのか?」
「まあ『全集中、水の呼吸』ってのもあるけど、まずは、この鉄板を俺にロックして、この鉄板に乗ってみて」
余っていた鉄板に浮遊を付与した。
「乗れたね。まあ、その上で寛いでよグミエの『どっこいしょ』とか使って。で、俺はー『そ〜らをじゆ〜に飛びたいな』これで行くよ」
「カズキ、もう、人間辞めてるな……」
「いいなぁー空飛べるの。私も飛びたい」
「もう少しでステータス足りるんじゃないかな? 飛ぶのって結構ステータスキツかったっけ?」
「光属性がたくさん必要なんですよ。私、浮遊もまだです。その上はまだまだ足りないですよ」
かなり、沖まで、飛んできた。ん? 先が暗い? 夜ないのに……。
『ズーム』
「ねぇ、あの先何?」
「果てですね。この世界の終わりって言われていますよ」
な、なんだって……太陽二つで、夜の無い世界なのに、果て? ん? あんまり、詳しくないけど、時点してないの? んんん……?
「カズキさん、引いてますよ…………」
何かが釣竿をしならせていた。
「あっ……バレた……」
「どうしたんですか? 考え事ですか?」
「あ、うん。まあ、のんびり、やろう。ここからは、魔法禁止で、つまらなくなるから」
「カズキ、お前、自分に言えって」
俺は、果てという言葉が、引っかかってしょうがなかった。
海の水はどこへ……?
「わーい。釣れましたよカズキさん、見てください」
「ん? おお、てか、デカッ!」
「やりました。大きなカジキです」
4メートルは、あるだろうか? あんな大きいのを軽々と、グエナちゃん、筋力ついたなぁ……。なんか、カジキから手が生えてるけど……。
「おめでとう」
「そうだ。弁当食べよう」
海の上で、浮遊しながら、ご飯を食べ、しばらく、釣りを続けた。
「釣れなくなりましたねー」
「そうだね」
「キ、キタ。デカいよ、コレ」
グミエの竿がしなる。かなりの強度で作ったはずの竿が、引っ張られている。今のグミエの筋力は相当なものだ。
「ガンバって、お姉ちゃん」
「おおおおーー」
ザバッと水面に巨大なイカが現れた。数えきれないほどの腕がある。
触手プレイし放題じゃないか……。
「ダイオウイカじゃないか!?」
「これ、流石に魔法禁止は……」
「うん、任せて。鉄の玉に魔法を付与すればいけそうだけど、試したい魔法があるから。今日は、タコパじゃなくて、イカパになりそうだね」
「カズキ、早く、引っ張られるぅぅぅ」
大丈夫かな? 近すぎる気がするけど……、一応、遠めに、
『虹アタック』
ド派手な特大攻撃魔法だった。
「おい、カズキ、全部何もかも吹っ飛んだじゃないか」
「あはは、やっぱりね……」
「でも、キレイだったね。お姉ちゃん。ほら、虹も出てるよ」
「カズキ、イカパも、中止だな」
「だね。帰ろか」
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