第25話 新たな仲間

翌朝。


「じゃあ、グミエは王都で、奴隷の首輪を十個くらいと食料の買い足しお願いね。この魔動車乗って行っていいから」


 魔動車は、前に工場へ行った時、完成間近のやつを一台買っておいたのだ。少し改造は、した。


「わかったわ」


「その魔動車あんまり強くないから、気をつけてねー。あんまり、無駄使いするなよ」


「魔動車に強いって何よ、行ってくる」


「じゃあ、グエナちゃん行こうか」


「あの? 私がバイク運転してもいいですか?」


「ん? もちろん、でも、バイクじゃないよ。妹プロトタイプだよ」


「ん、もう、行きますよ」


「は、はい」


「あの、初めてなんで、ちゃんと掴まっててくださいよ」


「はーい」


 楽しいな。


「気持ちいいです」


「うん。サイコー、ヒャッハー」


「あ、ゴリラっぽいのいたよ、どうする?」


「あれは、あんまり可愛くないです」


「じゃあ、倒しちゃおう。その真ん中のレバーで狙ってトリガーを引いてみて」


 妹プロトタイプは更に改造している。前はパチンコ式だったが、今は警官の拳銃をヒントにガトリングのような物が付いている。もちろん衝撃吸収や遮音結界、ダイエット成功なども付与して、操作性も抜群だ。


「おお、上手い上手い『こっちにきなさい』」


 こっちにきなさい、『おいでおいで』の上位、物を引き寄せる。


「素材回収は任せて、どんどん倒そう」


「はい、楽しいです」


「あ、ウサギの群れだね、ガトリングでもいいけど、その横のやつで狙ってみて」


 どかーん!


「なんですかコレ?」


「ロケランに近いやつかなぁ?」


「ロケランって何ですか?」


「んー、まあ、気にしないで」


「なかなか、カワイイの居ませんね」


「そうだね、向こうの川の方行ってみようか?」


「ああ、見て下さい、アレ」


「ん、あ、カラフルキングスライム達じゃん」


「それもなんですけど、その真ん中」


「ん? おお、何だあれ初めて見た。あれ? 何で止まるの? カラフルキングくらい、ガトリングで余裕だよ」


「違います。あの真ん中のは、超超レアのレインボーはぐれスライムです」


「エンカウントするだけで、超レアですが、逃げ足がとても速くて、すっごく硬くて、おそらくガトリング撃ったら逃げられちゃいます」


「そうなんだ」


「はい。だからお願いします。慎重にですよ」


「了解」


『ただのビーム』


 辺り一面吹き飛んだ。グエナちゃんは固まった。レベルが俺でも3上がった。


「な、な、な、何なんですか今の?」


「ただのビームだよ」


「ただのビームなんて威力じゃないですよ」


「いやいや、ただのビームは魔法名で最強光線らしいよ」


 めんどくさいので、説明をやめた。

 

「ちょっと、何言ってるんだかわかりません。それよりカラフルキングの素材もレインボーはぐれの素材も全部消し飛んじゃったじゃないですかぁー」


「ご、こめん」


「なんか、ものすごくレベルが上がったんですけど……」


「ね」


「お姉ちゃんに言ったらすごく怒られますよ。たぶん」


「……さあ、気を取り直していこー」


 しばらく、ぐるぐるして、


「カズキさん、あれカワイイ」


「カワイイか? なんか臨戦体制だけど、とりあえず、降りて近づいてみる?」


 そこには、オオカミっぽい5頭がいた。


「どうします?」


「んー、5頭いるしなあ、全部連れて帰る?」


 近づくと襲いかかってきた。


『これるもんならきてみろ』(ちょっとした、透明な物理防御シールド)


「じゃあ、とりあえず、魔法やってみて」


「はい『結婚して下さい勘違いしないでよねまほ……』あ、動かれちゃいます。これ魔法名長すぎますよー」


「んーじゃあ、動き止めるから、その間にお願い」


「はい」


「あーでも、なんかペットにする子だから、ダメージ与えない方が良いよね? 使えそうなのが、ちょっと痛そうなやつしか……、あっ逃げてるやつの動きだけ止めるやつあった」


「驚かせて、逃がそうとしましょう」


「わかった、じゃあ、音でるから初めは耳塞いどいてね」


『ビックリしちゃうよ』


『ちょっとまってー』


「はい」


「ん? 早くグエナちゃん」


「ちょっとまってって……」


「いや、魔法名だからー」


「あ、『結構して下さい勘違いしないでよね魔法名なんだからね』ふぅ」


「お、大人しくなったね」


「1頭だけになっちゃいましたね」


「だね。じゃあ帰ろうか、俺が後ろで抱えて乗るよ」


「はい」


「イタッ……。なんかコイツ俺に懐いてないよ……」


「ガンバって下さい」


 帰宅した。

 楽しいデートだったなあ。

 犬小屋らしい物を作った。


「グミエおかえりー」


「あ、ただいま、そいつか」


「うん。名前は、妹のペットで【イモペ】だ。」


「カズキさん、そんなの聞いてないですよー、もっとカワイイ名前にしましょうよー」


「そんな事より、グエナちゃん、奴隷の首輪してみて」


「ほら、グエナ」


「うーん。ダメですね。まだ装着出来ません」


「そか。じゃあ、イモペのお世話よろしくね」


「イモペよろしくな。私はグミエ」


「ちょっとーその名前決まりなんですかー?」


「あ、グミエー、その魔動車あげるよ」


「いいのか?」


「うん。じゃあ、俺はそろそろ寝るよ」


「あー、私の事、無視してるー、じゃあ、お姉ちゃんに言っちゃおう。えとね、カズキさん、カラフルスライムキングとかレインボーはぐれスライムの素材全部、吹き飛ばしちゃったんだよ」


「レインボーはぐれスライムだと、あのレベルアップしまっくった時の、アレか。カズキー、あれ売ったらいくらになると思って……」


「おやすみー」


 それから十日後、順調に罠を仕掛け続けて10階層までが、終わった。


「カズキさん、何してるんですかー? ダンジョン行かないんですか?」


「ん? ああ、行く、行く。こいつ、俺に全然懐かなくて、妹に『壁ドン!』してるんだよ」


 壁ドン! たまにドキッっとさせて、少し好かれる。成功率10パーセント。


「いや、ホントに何してるんですか? それに、妹じゃなく、妹のペット略して、イモペちゃんでしょ」


「あ、壁ドン! 魔法だよ。グミエが『お友だちからはじめましょ』を、妹にかけちゃったみたいでさあ、同じ魔法は、使えないみたいなんだよね」


「だから、イモペちゃん」


「もう、20回くらい壁ドン! してるのにさあ」


 イモペはグエナちゃんに、飛びついた。


「こんなに、カワイイのに」


「んー……。そろそろ、奴隷の首輪、行けるんじゃ?」


「そうですね。もう、イモペちゃんと仲良しですもん。やってみますね」


 装着に成功した。イモペが奴隷になった。イモペが、俺に飛びつき抱きついてきた。


「おお、よしよし、妹よそんなに抱きつくな、カワイイやつめ、妹、そんなとこ舐めるなってー」


「おーい、二人ともーダンジョン行かないのかー?」


「あ、うん。行くんだけど、妹が急に抱きついて来て、困ってるんだよ」


「な、何ーっ!」


 グミエが家から出てきた。


「……遊んでないで、行くよ」


 イモペに、アイテムとクリスタルの回収を伝えたら、理解してくれたみたいだ。イモペの首輪に罠感知と『私を騙そうなんてそうはいかないわ』(宝箱を鑑定する)を付与し、アイテムバッグを付けた。エサは安全エリアに置いて、無くなったら小屋に戻って来れるように指定ワープの罠を安全エリアに設置した。まだ、安全エリアは、3階と5階にしか見つかっていない。ちなみに、アイテムバッグはレベル3である。この世界には、アイテムバッグレベル3は存在していない。なぜなら、付与できるステータスの持ち主が存在しないからだ。最大はレベル2である。グミエのアイテムバッグを一旦壊して『リペア』で修正してアイテムバッグレベル3を作った。バッグ屋で食べていけると言われたが、頭の声が黙ってなさそうなので却下した。俺のアイテムボックスはレベル5、MAXである。10キロ×10キロ実質何でも入る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る