第21話 店売却
いつもの日常に戻り、数日後。
「オイ、もっとダンジョン行ったり、面白い事しろよ」
…………。
「あ、みんな、おはよー」
「おはようございます」
「なんか、また、目覚ましの頭に響く声が、ダンジョン行けとか、言ってきて、なんか嫌がらせされたらヤダから今日もダンジョン行こうかと思って」
「カズキ、ダンジョン行くなら、私も連れてってよ」
グミエなら大丈夫か。
「わかったー、じゃあ、朝食食べたら行こうか」
「お姉ちゃん、ダンジョンはカズキさんとなら、大丈夫だと思うけど、盗賊とかには気をつけてよ」
「わかってるよ」
「えっ? 盗賊なんているの?」
「普通に居ますよ、国の外ですから」
たしか、国外は法律がないんだったか……。でも……。
「ここの人たち、悪い人見た事無いんだけど……」
「はい。悪い人なんていないですよ」
「ん? どゆこと? 盗賊はいるんでしょ?」
「はい。国の外ですから」
「ん? え?」
「師匠、悪い人は、法律を破る人です。盗賊は国外でしか居ません」
「盗賊は悪い人じゃないって事?」
「そうですね」
…………まじ?
「じゃあ、例えば、国外なら殺人しても悪い人じゃないって事?」
「何言ってるんですか、カズキさん、当たり前じゃないですかー」
「えーーー! ごめ、ちょっと意味がわからない」
認識の違いが、自分が異世界人である事を実感させた。
「カズキさん、夫婦喧嘩ってわかります」
「ん? もちろん」
「例えば、夫婦喧嘩をしたければ、合意して国の外でやるんですよ。まあ、大体はそこまでいかずに収まりますけど」
「マジか……。ここの人たちって怒る事あるのか」
「あるに、決まってるじゃないですか。あはは」
「だよね」
「カズキ、食べ終わった? そろそろ行く?」
「行こか……」
なんだか、腑に落ちない。
「今日は6階層からだよ」
「久しぶりだな、腕がなるよ」
「頼もしい」
二人で10階までクリアし、ワープから帰宅した。アッという間だったので、帰ってから自転車作りをした。それから、数日、いつもの日々を過ごした。
「だーかーらー、のんびり過ごすなよ。もっとダンジョン行くとか、面白い事しろって言ってるの、バーカ」
…………うるさ。
「おはよー、まただ、ゴメン。今日もダンジョン行く。グリーンフロッグの皮そろそろ取りに行こうかと思ってたんだけど……」
「おはようございます、師匠。それなら僕とグミエさんでカエル取り行きましょうか?」
「んー……、流石に二人だと、心配だから、ダンジョン行った後で行ってくるよ」
「そうですか。わかりました、師匠」
「ありがとう、ジョン君」
「カズキさん、今日ダンジョン私も連れて行ってもらってもいいですか?」
「お、デートか。喜んで」
「デートじゃないですよ。ダンジョンです」
「妹プロトタイプ(バイク)が火をふくぜぇ」
「もう」
そして、ダンジョンを15階まで、クリアして、グリーンフロッグを捕まえて、レストランで食事をしてから帰宅した。グリーンフロッグ探し中に初めてスライムに出くわし、
また、今更、初期モンスターか……。
でも、エンカウントは俺のせいじゃなくない?
と、言い聞かせて、帰宅。楽しかった。
それから、数日後。
「もう、あったまきた、今すぐ、自転車屋辞めろ! さもないと、どうなるかわかってるんだろうな!!」
えっ……! 今すぐ?
「ちょっ! すぐってのは……、わかった。自転車屋辞めるから、今すぐは」
返事がない……。
流石に焦った。
「みんなー大変、ちょっと集まって」
「おはようございます。どうしたんですか?」
頭に響いた声を、みんなに話し相談した。
「じゃあ、俺とジョン君は、すぐに王都に行くから、二人は、一応準備しといて」
「はい。気をつけて行って下さい」
「そっちも、気をつけてね」
急いで、王都に向かって、ジョン君の主人と話した。だいたい話しはまとまった所で、ジョン君は、準備の為と買い物に出かけ、主人と俺は話しを詰めた。いろいろと決めたので、話し合いは長時間になり、ジョン君が帰ってきた所で話し合いは、終わった。
「師匠、さっきデパート付近で、噂を聞いたんですが、妹サイクルの勇者じゃない勇者を見たという話でした」
「俺以外の勇者って事か……」
「そうなんです。あと、こちらはよく分からないのですが、魔王が、どうとか」
「えっ! 魔王!」
「魔王と言うのは、単語を聴いただけでして、すいません、師匠」
「ううん。ありがとう、ジョン君」
「とりあえず、こっちの話は、まとまったから、急いで帰ろう」
「はい、師匠」
帰宅。
「ただいまー、二人とも無事? 何も無かった?」
「そうね。大丈夫よ。特に変わった事は無かったわ」
「そう。良かった」
「で、カズキ、どうだったの?」
「うん。大体決まったよ」
「とりあえず、みんなの分も、駅弁だけ買ってきたから、食べながら話そうか?」
「で、お土産は駅弁だけ?」
「そんな時間無かったんだよ……」
「まあ、そうね。冗談よ」
「カズキさん、ジョン君、お茶入れたよー」
「うん。食べようか」
「はい、師匠、それと、お二人に今までお世話になった、お礼です」
ジョン君は、光のブローチを二人に渡した。
「ジョンー、あんた、いい男ね」
「ジョン君、ありがとう。て事は、決まったんですね」
「うん。快く引き受けてくれたよ」
そう、妹サイクルをジョン君の主人に、譲る事を決めたのだ。そして、俺とグミエとグエナちゃんは、ここを出ていく事に、ジョン君はここの店長になる事に決まった。でも、とりあえず、ジョン君は、王都の魔動車屋に指導係として行く事になった。ここの技術を利用して、バイクの開発と、妹サイクル二号店を出店するらしい。妹サイクルという名前も、変えて良いと提案したが、王都でも、妹サイクルのプレートの自転車が結構走っているらしく、ブランドとして、このまま行くそうだ。ちなみに、プラネタリウムは、売れなかった。
「じゃあ、ジョン君は王都に行く事になったんだ」
「そうですね、ここには、店長代理として『セバス様』に、しばらく来てもらう事になりました」
「ちょっと、セバス様って、まさか、この前、迎えに来てくれたあの人? セバスチャン?」
「はい、主人からも信頼が厚く優秀な方です」
「えーーーっ!!」
「どうしました? 師匠」
名前は、聞いていなかったのに、まさか当たっていたとは……。
「あ、いや、何でもない。こっちの事」
「で、カズキぃー、いくらで売れたのよ? この土地と権利」
「30億」
「やったわー。一生遊んで暮らせるじゃない」
「もう、お姉ちゃん……。でも、本当に凄いです」
「明日、お金用意出来るみたいだから、みんなで明日また王都行くよ。バイクの開発で聞きたい事もあるって言ってたし。でも、遊んでって訳にはいかないと思う」
「なんでよ!?」
「頭のアイツが、絶対黙ってない……と思う」
「そうですよね。どうするんですか?」
「考えたんだけど、ダンジョンに行こうと思うんだ」
「確か、ダンジョン行けーとかも頭に響く声に言われる事も多かったでしたっけ?」
「そそ、だからダンジョン付近で暮らす」
「えっ? 暮らすってどういう事よ」
「ダンジョン付近ってさ、何しても良いんだよね? 土地も誰の物でもないんでしょ?」
「そうね」
「だから、国外で、家建てちゃおうかな? って」
「家建てるのは、問題ないと思うけど、危険よ。盗賊にも魔物にも襲われるわ」
「ふふーん。その辺は考えてある。30億入るんだよ。それで明日王都でめっちゃ準備してー」
「私はカズキさんについていきますよ」
「ありがとう、グエナちゃん。グミエは?」
「もちろん、行くわよ」
「じゃあ、決まりだね。実の所、頭に響く声に結構ムカついてるんだよね。望み通り、めちゃくちゃしてやろうかなって」
「私も、グエナ攫った事、まだ許してないんだからね。やっちゃいましょ」
次の日、ギルマスや、街の住人たちに挨拶して、王都へ向かう事にした。
すっかり、この街に馴染んでしまったな。ギルマス、アフロ金髪にしてたな……。
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