第11話 マイホーム
「バーカ、バーカ」
ん? 朝か……。
当初の予定では、窓ガラスは買おうと思っていた。
「グミエさーん」
「窓ガラスの大きさ決まったので、ギルドに発注して貰えますか?」
「ガラス買うの?」
「そのつもりですけど……」
「ガラスは凄く高いよ。ガラスは水の宝石なんだよ」
「どう言う事? どこの家もガラスありますよね?」
「ああ、あれは、ガラスじゃないよ」
知らなかった……確かに、鉄も木だし、ガラスは石を溶かして作るんだったよな? 知らんけど、んー……。現代日本でも確かガラスは厳密には、液体だった気がする。
「アレは、光魔法の盾だったか、障壁だったかを浄化して固めた加工品だね」
「ん? その辺詳しく」
「私も詳しくは無いんだよ……」
「お姉ちゃん、私が代わります」
おっ! 流石、妹。
「えと、アレは障壁窓と言って、ライトウォールに、クールを付与してから、クリーンも付与した物ですね」
「マジか。出来そうじゃん、足りないのは、ライトウォールと、クリーンのアップグレードか」
おそるおそる、グミエさんを見て、
「経費で落ちる?」
「じゃあ、みんなで魔法ショップ行きましょう」
ゔっ……嫌な予感しかしない……。
「その前に、ギルドに寄るわよ」
「いいけど、何で?」
「決まってじゃない。お金借りるのよ」
「え? この前のカラフルなオークのお金は?」
「もちろん、残ってるわよ。でも、クリーンをMAX5にするだけでも、240万かかるのよ。わかってる?」
「はい……」
今の俺のクリーンのレベルは3だ。アップグレード事に、倍々に必要数が増えるのだ。付与はMAXレベルの魔法しか出来ない。
クソ仕様め……。
「それでも、足りるのでは?」
何を言ってるんだコイツと言うのが、表情でわかる。
「私たちの分が、足りないじゃない」
「ごもっともです」
お金を借りたようだ。いくら借りたかは、怖くて聞けない。
「アイテムショップから、行くわよ」
もう、ついて行くしかない。
「じゃあ、グエナどのバッグにする?」
「えっ? お姉ちゃん?」
「そろそろ、私たちにも、アイテムバッグ必要よね? カズキさん安心して、グエナの分だけよ」
「はい……」
「いいんですか?」
「も、もちろんだよ」
選んだバッグは、とても可愛らしく、グエナちゃんには似合いそうだ。値段は可愛らしくない。
「じゃ、次、魔法ショップいくわよー」
グミエさんは、元気いっぱいだ。
「あの、カズキさん、ありがとうございます」
「うん。必要な物だしね。とても似合ってるよ」
俺は予定通り、クリーンをMAXレベルにし、ライトウォールを手にいれた。
ライトウォール、中級光魔法、必要ステータス、光18、土2、闇1、水1、確かに所持者は少なそうだ。
500万円。
「すいませーん『ドレイン』ください」
ドレイン、生活魔法、ちょっと吸い込む、必要ステータス、闇1、風1、水1。
「ドレイン?」
「あ、お掃除とかで、役に立つかなって、大丈夫です、お小遣いで買います」
なんて、ええ子や……。
「それは、経費で買おう。必要経費だよ、てか、グエナちゃん、闇持ち? アクセ?」
「闇のアクセサリーなんて、高くて買えないですよ。闇持ちです」
少しドヤってるのも、かわいい。
姉妹で光と闇か優秀なんだなぁ……なんか逆の気もするけど……。
「カズキさん、ついでに、アイテムボックスも、レベル3にしちゃいなさい」
「えっ? いいの? めちゃくちゃ高いんじゃ?」
「大丈夫よ、借りてきたから。アイテム袋のレンタル代が、バカにならないのよ」
「あざーす」
太っ腹だなぁ。
「で、グミエさんの、お目当ては?」
「ファイアーアローよ」
「ちなみに、何でか聞いていい?」
「そうねぇ、受付も辞めたし、また戦う事もあるかなって、ファイアーボールでもいいんだけど、折角、風4、にしたし、どうせならって」
「ファイアボールとどう違うの? 同じ初級だよね?」
「ファイアボールより、火力が高いわね。発動までの時間と消費MPがかかるけど、遠くまで届くわ」
ファイアーアロー、初級攻撃魔法、必要ステータス、火7、風2、器用さ8、300万円。
「なるほど」
「すいません。ファイアーアロー二つください」
「二つ!?」
「そうよ。風4、って言ったじゃない、ファイアアローレベル2で、風4、なのよ」
「もう、お姉ちゃん……」
「流石です。アネゴ……」
「じゃあ、ご飯でも食べて帰りましょ」
「リーズナブルな所で、お願いします……」
食事を済ませて帰宅。なんだか、ドッと疲れたので、ガラスもどき作りも気になったが、就寝。
ん? 目が覚めた。頭に声が聞こえない。
借金が増えただけなのに、あれで満足なの……?
障壁窓作りは順調に行った。ライトウォールに付与さえ出来れば、形を整えるのは、お手のものだ。それを応用し、反射を付与して、二枚重ねて、鏡を作るのにも成功した。それからは、もくもくと家作りに没頭した。それから、何日かも、家作りに没頭した。
さらに、数日後、問題が発生した。ローン返済日だ。そう、ウチには、金がない。
「狩りに行こうと思うんだけど、オススメの場所ある?」
「そうですねぇ、やっぱり森林じゃないですかね? 砂漠のサンドアームは、みんな狩るから、安くしか売れませんし……」
「なるほど」
「森林のかなり奥の方になるんですが、川が流れてるんですけど、レアな魔物は水がある所によく出るらしいですよ」
「了解。行ってくる」
「ピンクピッグ居たら、よろしくです」
あ、豚肉か……。
狩りは順調だ。いつも通り、投石無双。カラフルなのも、何体か倒した。タイヤに使うグリーンフロッグも発見できた。
ブレーキどうするかなあ?
それから、数日は、狩りと家作りを交互に繰り返して、戦いたくないから、商売しようと思ったのに、とか考えが過ぎりつつも、充実した生活が出来ている。そんな時は、当然、頭に声も流れる。そんな日々の、狩りに行った、とある日、カラフルな巨大なハリネズミの群れに出くわした。カラフルのは全長2メートルを超す。たくさんいるやつは、10センチくらいとかなり小さい。そのハリネズミの攻撃手段は丸まって突っ込んでくる感じのようだ。
小さいやつが突っ込んで来た。かなりスピードはあるが、投石したら、命中し、弾け飛んでしまった。
んー、これ倒せるけど、素材として持ち帰れないなぁ……。あっハンマーにするか!
強く殴りすぎない様に、野球のバントの様に倒した。
よし、死体は残ったな。
小さいのがピョンピョン飛んでくる中、赤いのは火を纏い、青いのは水を、緑は風を、茶色は土を纏い、突っ込んでくる。これはバントでは倒せなく、打ち返して、倒した。死体回収中ふと、思った。
こいつら、体に魔法を付与してるみたいだったな。
小さいやつを手にしてファイア付与を試してみた。しかし、出来なかった。
魔物には、付与出来ないのかぁ。投石の玉代わりに出来るかと思ったんだけどなぁ……。あっ鉄なら出来るじゃん。そして、この小さなやつの肌触り。
試したい事が出来たので、帰宅した。まずは、鉄の木の枝を、石ころサイズにして、大量の投石の玉をゲット。石ころよりは、攻撃力が上がったはずだ。さらに、ブレーキの、お試しだ。ハリネズミのハリは予想より柔らかく強度はある。これをブレーキサイズに加工して、毛の部分をアソビとして、採用した。そして、試作二号機が完成した。早速、乗ってみる。
おお、いい感じだ。
前のブレーキはアソビがなく、急ブレーキになってしまって、いたのだ。補助輪も付けた。
グミエさんは、バイトに行っている様だ。
「グエナちゃん、試乗お願いしていい?」
「はい。もちろんです」
「ブレーキも試してー」
「いい感じですね。これなら歩くより早く移動出来そうです」
少し難しそうな顔をしている。
「何でも言って」
「んー……でも、これって、走るより疲れないですかね?」
「慣れれば、走るよりは、疲れないと思うけど……」
電動アシストならぬ、魔動アシストとかも、考えてみるか。
それから、ギルドに素材を売りにいき、豚肉もゲットしたので、今日は、二人の念願の豚肉でバーベキューだ。
それから、数日後、遂に、家が完成。現代知識を利用した、かなりの力作だ。簡易な風呂も凄く喜ばれたので、風呂は檜風呂風の豪華な物にした。エアコンも完備、キッチンは、IHコンロ風、家具は、まだ制作中である。ソファーやベッドの為に、肌触りの良い魔物を模索中である。
「遂に、完成ですね。ホントに凄いです。凄すぎです」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます