第10話 自転車作り


 朝食を、終え、昨日の小虎の皮を何匹か剥ぎ、敷物を作った。小虎の肉は食用として使えるらしく、道中で倒した、ホワイトラビットと一緒に少し置いてギルドへ向かった。魔物の素材を換金し、ゴミを捨て、家に帰る。

 家から作ろうと思っていたが、プレハブが予想以上に好評だったので、作業場から作ることにした。しかし、作業場を作るには欠かせないスキルが足りない。それは、付与である。資料によると付与はスキルポイント50必要なので、レベルがあと1足りないのだ。なので、今日も狩りである。今日の狙いは、自転車のタイヤで、使用するためのグリーンフロッグと、グリーンフロッグ生息地である、湖の道中にある、砂漠の砂である。砂漠に出る魔物が、経験値オススメらしく、それだ。あと、出来れば、豚肉が食べたいらしく、豚だ。

 越竹砂漠に到着。

 砂を袋に回収中に、ズゴゴゴと、少し窪んだ地面からサンドワーム出現!


 やっぱり、砂の魔物と言えば、コイツだよな。うんうん。久しぶりに定番キターって感じだな。


「ヨッと!」


 投石で余裕だった。それから、湖目指しながら、サンドワームを狩続けて、レベルが上がった。


 よし、次は、カエルだな。


 湖に到着。しかし、中々見つからない。そんな中、奥の森から、カラフルな色が見えた。


 湖に水でも飲みに来たのか? アイツらは、たぶん強いしなあ……。うーん……。まあ、俺も強くなってるし。


 湖の対面から、思いっきり、投石した。何回投げただろうか? 寄ってきた仲間も全滅出来た。


 あらら、楽勝……。


 倒れてるカラフルなやつらの回収に向かった。遠くからじゃわからなかったが、コイツらはオークだ。


 よし、豚肉ゲット!


 カラフルじゃないやつも含めると20体ほどもいた。大量だ。忘れていた頃に、湖から、グリーンフロッグ達も現れた。まあ、コイツらは楽勝である。


 あれ? カラフルなの倒したのにレベル上がらなかったなあ……。まあ、上がったばかりだし仕方ないか。


 そして、帰宅。


「ただいまー、お土産あるよー」


「おかえりなさーい」


「ほら、大量の豚肉」


 笑顔だった二人の顔が曇った。グエナちゃんが、図鑑を持ってきて、指を指していた。


「今度は、こう言うの持ってきて下さいね」


 俺の知ってる豚にそっくりの生き物だった。それから、ギルドに向かい、カラフルなオークは、めちゃくちゃ高く売れた。カードの更新とともにスキル『付与』をスキルポイント50を使い覚えた。初スキルである。


 次の日。

 基礎工事に取りかかった。勇者のハンマーなども使いつつ順調だ。それから、何日も工事をもくもくと進めた。そんな、ある日、また、始まった。例の声だ。


「なんか違ーう、バーカ」


 もちろん、無視して、工事を続けた。たまに、グミエさんとグエナちゃんは、銭湯に行ってるみたいなので、スキル付与も試してみたかったので、簡易的な風呂を作ってあげた。タイヤに使う予定のグリーンフロッグの、お腹の皮(白い部分)を使い、生活魔法のホットとクールを付与し、シャワー付きだ。とても、喜ばれた。

 それから十日ほど工事を進めて、作業場は完成し、自転車の試作品を作り始めた。鉄の木を大剣やナイフで、削り、チェーンの部分はグリーンフロッグのタイヤで使わない硬い皮でとりあえず代用した。器用さチートの俺には楽勝だ。見た目は、日本の自転車に近いものにしたが、カゴなどは付けず、とりあえずただ走れるだけの物にした。

 試し乗りだ。


「ヨッ、おっ! いけるいけるっ」


 でも、少し重い感じか。鉄使い過ぎかな? もう少し軽くしないとな。


「カズキさん、出来たのか?」


「うん。とりあえずは、走れるけど、まだ改良かな? ちょっと、試しに乗ってみて」


 グミエさんは、やはり、見るのも初めてらしく、ぎこちない。


「んん、これ難しいな」


 なんとか、走り出したが、


 ガタッ!


「あっ! 大丈夫?」


「ッーー。大丈夫」


 でも、結構痛そうだ。


 転んだ時の、鉄剥き出しも危険だな。あとはブレーキだな。ゴムがないから、滑りづらい皮を使ってみたけど、遊びがないな。うーん……。


「お姉ちゃん、カズキさん、ちょっと、休憩にしませんかー?」


「そだね。休憩にしよう。グミエさん、ごめんね。もう少し詰めてから、試乗して貰えばよかったよ」


「いや、気にしないで、その為の試作でしょ?」


「まあ、そうだけど……」


「私も、試乗のお手伝いしますよ。お姉ちゃんは、元冒険者だし、私のが、普通の人に、近い気がしますし」


「そか、二人とも、ありがとう」


「はい。お茶どうぞ」


 ひんやりしている。


「汗だくで、やられていたので、冷たいお茶にしてみました」


 覗いてみると、シャーベット状の氷が中に入っていた。味はしないが、とても美味しく感じた。


「ありがとう」


「カズキさん、あれは難しすぎるよ。自分で言うのもだけど、私そんなに運動神経悪くない方だと思うんだよね」


「そか。俺の世界ではさ、みんな子供の頃から自転車乗るだよね。もちろん、初めてはみんな乗れないけど、練習してほとんどの人が、乗れる様になるんだ」


「みんな、カズキさんみたいに運動神経いいんですか?」


「いやいや、違うよ。こっちの人と、同じくらい。むしろレベルアップがあるから、こっちの人のが、運動神経いいくらいだよ。俺の世界じゃレベルアップなんて無いからね」


「そうなんですか!? じゃあ能力は生まれつき変わらないんですか?」


「んー、それもちょっと、違うかな? こっちの世界でもレベルアップしなくても、力仕事とかしてたら、少しずつ筋力上がるでしょ? そんな感じかな?」


「なるほど、そうなんですね」


「よし、やるか」


 まずは、軽くするか。本体に使ってる鉄の中身を空洞にするべきだな。

 鉄の木を『ホット』で温めてから勇者のハンマーで叩き、鉄板を作った。それを大剣とナイフを使い、程よい大きさにして、丸めて、溶接。角も取れて、転んだ時の危険度も下げれた。だが、色々試したが、ブレーキが、上手くいかない。頭を悩ませ、この日は終了。良いアイデアも出ず、先に家を建てる事にした。作業場を作ったので、土台作りに手間取る事なく、三日で終えた。



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