第4話 初戦闘

 

 仕方ない何かするか。何すれば良いかわからんが、とりあえず、ギルドへ行こう。現在のステータスは――

 HP732、MP540。

 だいぶ増えたな。

 筋力50、器用さ45、俊敏47、火12、風11、土13、水11、光10、闇10。

 これに勇者の指輪で倍だな。

 所持金は、8万円。

 使ってたものが少しずつ成長していく感じだな。魔法は使って無かったけど、少し上がっている。光と闇はどうやったら上がるんだろうな? そういえば、冒険者カードではレベル表示もあったが、レベルは上がってるのだろうか? カードの更新も出来るって言ってたな。


 よし、行くか!


 さて、今日の依頼は…….初討伐クエ行くか。武器も防具もないけど……、うーん。ダンジョンかなあ?


「あ、グミエさーん! ちょっと聞いても良いですか?」


「はい」


「今日は魔物の素材かダンジョンに行こうと思うんですが、オススメとかってあります?」


「珍しいですね。そうだなあ? やっぱりダンジョンの方が夢がありますかね? レアドロップとか宝箱とかで」


 上から下まで全身を見られた……。


「防具とかってありますか? ポーションやら毒消しやらいろいろ準備が必要ですが……」


「まあ、パーティーとか組んで、誰かが持ってたりすればカズキさんなら平気ですかね」


 正直めんどい……。


「あの、このブラウンベアーの強さとかってわかりますか? 推奨レベル3、になってますけど……」


 てか、ブラウンベアーって普通のクマでは? 図書館に魔物図鑑とか見に行こうかな?


「大体、筋力20、俊敏3、くらいと言われてますね。弱点は火です」

 

「なるほど、どーもです」


 弱っ!


「素材依頼にある魔物は少し高額での買取というだけで、どんな魔物の素材でも買い取れますよ」

 

「そうなんですね。あっ、カードの更新お願いします」


「はい。更新料千円でーす」


 …………。


「あれ? なんだかステータス落ちてませんか?」

 

「勇者の指輪忘れてました」


「では、装着してもう一度更新しますか? 更新料千円でーす」


「結構です……」


「魔物討伐行かれるんですよね? アイテム袋のレンタルもしてますよー! ブラウンベアー狙いならレベルニの袋ですかね? 袋は10メートル×10メートルの空間になります」

 

「じゃあ、それで」

 

「24時間で、1万円になりまーす」


 …………さて、行くか!



 うーん、丸腰で行くのもアレだよなぁ。まあ、防具はどうせ高いから無理として、何か剣の一本でも欲しいよなぁ。武器覗くか!


「カズキさーん! こんにちはー」


 んっ?


「ああ、グエナちゃん! こんにちは」


「どうしちゃったんですか? 勇者の指輪なんかして、カッコつけちゃって」


 勇者って、カッコいいのか?


「ちと、素材依頼行こうかと思って」


「珍しいですね」


 姉妹で同じ事を……。


「グエナちゃんこそどうしたの?」


「えと、今度、王都で闘技大会があるんですよ。そのポスター張りですね」


 手に持ってるポスターを見せて貰った。


 参加者募集! 優勝賞金一千万円! 副賞で、奴隷。


!!! 一千万に奴隷、奴隷だと……。


「カズキさんもどうですか?」


「いや、俺は……それより、奴隷って?」


「王国主催なので、かなり良い奴隷なんじゃないかなあ?」


「いやいや、奴隷制度ってあるの?」


「ああ、えーとっ、普通にありますよ。国民の半分くらいは奴隷なんじゃないかなあ?」


 マジか……。


「あっ! 私もういかないと。じゃあガンバって下さいねー」


 行ってしまったか……んー、今度また図書館に行くか。この武器屋でいいか。

 おっ色々あるな。やっぱり高い!


「いらっしゃい、お客さん、何を使うの?」


「えーと、まだどの武器も使った事なくて、あと予算もあまりないので何か安いやつありますか?」


「んー初心者か、そうだなあ……あっお客さん勇者だよな? ついてきな」


 店の奥へ――


「この辺のどうだい? お客さんなら装備出来るんじゃないか?」


 勇者の剣、勇者の槍、勇者のカマ、勇者の短剣、勇者の杖、勇者の大剣、勇者の弓、勇者のハンマー、勇者のナイフなどの勇者シリーズが、雑に並んでいた……。


「あの? 勇者の剣だけなぜ100万もするのですか?」


「オブジェ用だな。なんか剣カッコいいだろ? 金持ちがたまに買っていくからだな」


 なるほど、他は10万づつだな。やっぱり商売はこうだよな。需要と供給だな、魔法ショップはおかしい。でも、10万でも今の俺には買えないな……。また借金でもするかなあ? んっ?


「あの、この勇者のナイフはなぜ安いのですか?」


 勇者のナイフ5万。これだけ安い。


「んー。なんとなくだ! そこに短剣があるだろ? 明らかにそっちのが良さそうだろ? ワシの鑑定レベル2、では勇者シリーズは鑑定できなくてな」


「このナイフ下さい」


「おう。この街にはソイツを研げる鍛治氏はいないから気をつけて使いな」


 いざ、越竹森林へ――


 この辺りから、魔物がでると言われてるところだな。普段の生活から、自分が他の人達より身体能力が高いことは、わかっているが、なんせ初戦闘なので、少し緊張する。動物っぽいのも、ちらちら見かけるようになった。この世界では動物も魔物扱いだ。動物の肉も売れるので、余裕があれば、後で狩っていこう。ブラウンベアーは、ギルドの資料によるとまだ先である。そんな時、鹿っぽいのを3匹発見!

 んー、見た目は鹿だが、かなり鋭いツノをしている。魔物なのかなあ? もう少し魔物について調べてくれば良かったなあ。

 試しに石ころを拾い、とりあえず、


 ビュッ!


 全力で投げて見た。


 おおおっ!! 凄っ! てか、エグッ!


 投げた石は、二匹を貫通し、後ろの木にめり込んだ。残った一匹は逃げていった。想像以上だった。

 俺凄すぎない? おっ! 鳥発見ッ!


 ビュッ!


 また一発で落とした。

 おお! これヤバいな! 器用さの関係かな? これ投石だけでいけちゃうのでは?


 少し戻り石ころを拾い集めアイテム袋へ入れた。もちろん鳥や鹿っぽいのも入れた。


 それからは奥に進みながら、手当たり次第、石を投げまくった。


 しかし、このアイテム袋の重さが変わらない不思議さは、ファンタジー感あるなぁ。


 あっ! コイツ、ブラウンベアーでは?


 すでに投石で倒していた……。


 依頼はかなり早く終わってしまったな……まだ、アイテム袋に余裕あるから、もう少し進むか。


 ちょっとした山の削れた、開けた場所に出た。洞窟でもありそうな雰囲気だ。ここで、少し休憩をとる事にした。

 そういえば、ナイフを使って無い事に気付いた。


 相変わらず、同じ様な木が並んでるなぁ。てか、ほぼ同じだよね? 遺伝子強ッ!


 ヨッと!


 さくっと木が切れる。楽しくなってきた。俺は、この同じ様な木を利用して、ちょっとした罠を作る事にした。単純な落とし穴に剣山の様に木の枝を敷き詰めて、開けた場所の周りを囲う。おそらく器用さが、ぶっちぎりの俺には楽勝だ。

 そして、腹ごしらえに、さっきとれたホワイトラビットの肉を。ここで、小料理屋でのバイトの経験が生きる。ササッと解体して、ナイフに『クリーン』と、集めた小枝に『ファイア』昼食はウサギ肉だ。

 焼ける肉の匂いに誘われてか、野犬かオオカミっぽいのが、近づいてくる。まあ、投石しても良いのだが、少し身を潜めて罠にかかるのを待つ事にした。

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