・斜陽(2025/1/4に追加)
〈大戦争〉とその戦後世界の中で〈王国〉はよくもわるくも変わったのだが、貴族の力が衰えたことは、少なくとも当人たちにとっては“わるい”変化だった。
それぞれに領地と軍隊を持っていた貴族たちには、派兵による膨大な戦費の負担がのしかかった。そして戦後にはじまった経済成長にも、古くて保守化していた貴族たちは取り残された。困窮した多くの貴族が、坂を転げ落ちるようにして没落していった。
そんな貴族たちは家財や所蔵の美術品を売り払い、中には爵位と領地を返上する者まで現れだした。
「《大戦争》のために《赤軍》が滅んで、《大戦争》のために《王国》に民主化が訪れた」
と、新聞各紙は一面で皮肉った。
ソハの町も同じだった。この辺りを治めていた子爵家は、山地の利権を戦争成金に奪われ、爵位を返上して一般市民となってしまった。
ソハの町の高台にある別荘などは早々に町役場へ売り払われて、いまでは町民の集会所となっていた。
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