・〈赤軍〉とは(2025/1/4に追加)

〈王国〉では昔から国王の力が強く、国王と議会が対立することが度々あった。


 民衆はまるで羊飼いに従順な羊のようだったが、光が強く眩しくあれば、それだけ影は濃く暗くなる。十九世紀末に産業革命が起こり、民衆が政治というものを多少は理解するようになると、民主化を求める運動が知識人を中心に広がりはじめた。


 この運動の一部は過激化していき、流血をいとわない様から〈赤軍〉と呼ばれるようになった。暗殺や破壊工作を手段としていたこの運動は、民衆からは恐れを、当局からは憎悪を向けられていた。


〈赤軍〉が壊滅したのは〈大戦争〉中のことだった。戦時下における治安維持を目的に行われた当局の摘発は、「この大義名分を得るために参戦したのでは?」と後世の歴史家たちに疑われるほどに大規模で徹底的なものだった。


 開戦の二年後には、〈赤軍〉の幹部のことごとくは逮捕された。けれども地下に潜った一部のメンバーは、いまだに捕まっていない。

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