『■■■■村のカミサマへ⑤』

 ちょっと待て。


 USBに収められたデータを見て、あることに気づいた。それは、収められたデータのうち、いくつかは後から追加された物であること。


 後から追加されたと思われる資料は『とある女性の遺品であるスマホから見つかった録音データ』『某コンビニエンスストアで働いている男性の証言』『とある女子大生の物語「レンタル彼女」』の計三つ。


 妙だ。どうしてこのファイルだけ後から追加されているのだろう?


 頭の中を奇妙な感覚がぐるぐると巡る。


 あぁ、やっと、ここまで来た。


 泣き猫石像、嘲り牛、くねくね君、柳沢さんが知った『鬼』の話は、もうすぐ無効化される。だって、ここまで脚色しながら話してきたのだから。

 柳沢さんは、もう帰ってこない。お姉ちゃんは、いつ目覚めるか分からない。今更、呪いを無効化したところで、もう遅い。

 そもそも無効化できるかも分からない。


 だけど、最後までやろう。

 あとは、私の知っている『鬼の話』だけ。

 黒宮怜の物語だけ。


 

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