第15話 ニューヨーク
高校生の彩は夫となる浩一に無理矢理関係を持たされてしまった。「責任は取るからさ!」の言葉に、半ば諦めに似た境地と幾ら経済的に恵まれた男を捕まえたとしても絶対という事はない。だが、この目の前の「ケダモノ」だったら100%に近い確率で破産に追い込まれるようなことはない。
日本の自動車産業と言えば世界中の誰もが知っている大企業が何社もある。それこそ地球が滅びでもしたら消えてしまうが、まずそのような事は彩が生きている間はなさそうだ。
彩は父を見て来て安定こそ全てだと身に染みて実感していた。だから若くてカッコイイ男とかいう以前に、安定が第一と実感していたので、この中年男を夫にしたら苦労しないと直感して体を許してしまった。
だが……大変な事態が2人を襲ってきた。
その日は休日で夫と彩は家にいた。直美は休日は出来るだけ家族と過ごしたかったのだが、以前から約束していたレンジャーシリーズの映画を、子供たちも友達と一緒に観に行きたいというので出掛けて行った。
ママ友とその子供たちも一緒に映画に出かけていた直美だったが、思いの外早く帰ってきてしまった。本当は夕方になる筈だったのだが、ママ友に緊急の用事が出来て早くの帰宅となってしまった。
運の悪い事に子供達はばあばの家に行きたいと言ったので、帰り道がばあばの家だったので預けて、自分だけ先に帰宅して家の用事を済ませようと思って帰宅した。
一方の浩一は、まさかこんなに早くの帰宅となるとは思わなかったので、若い少女に溺れ切って夢中で若い体にむさぼり付いて夢心地となっていたので、物音に全く気付かなかった。また彩だって処女なので痛くて我慢するので精いっぱいで、物音に耳を傾ける余裕などどこにも残っていなかった。
休日はいつも1階にいる夫が、どこにもいないので、直美は2階の寝室にやって来たがいない。こうして彩の部屋のドアを開けた。
「キャ――――ッ!あなたたち何しているの!」
まだ高校生の少女と浩一がこんなふしだらな行為を行うなど想像もしなかった直美は、その場に力なくぐったりと倒れ込み思い切り泣き伏した。
「あなた達何てことしているのよ💢💢💢わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭彩あんた……もうこの家から出て行きなさい💢💢💢この家にいられると思ったら大間違い。(´;ω;`)ウッ…わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭浩一何て言う裏切り……私が子供のお付き合いで出かけている最中にこのようなふしだらな真似をするなんて……わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭離婚よ離婚!」
浩一もまだ幼子2人を路頭に迷わす訳にもいかずシドロモドロだ。
「ゆゆゆ……許して……許してくれ!!!」
浩一の家は母方の祖父母が資産家でファミレスチェーン店「ココア」を全国展開している資産家であった。そんな事情も相まって浩一はこの一大事に母に泣きついた。
※「ココア」名前の由来:ここはアジアの頂点のココとアジアの頭文字アで「ココア」、ここで逢いましょう。のココと会いましょうの頭文字アを取って「ココア」
本来ならば幾ら友達の娘と言えども、それだけの資産家ならお金で片が付くところだが、浩一は彩にゾッコンとなっていた。当然彩もまだ「うぶ」な男を知らない少女が初めて体を許してしまった男なので今更捨てられたくない。
こうして頭の良かった彩は家を叩き出される形で浩一の家を出て、借金だらけの母の元で高校を卒業した。
2人の気持ちは燃え上がる一方だが、直美の強い監視下の元会う事が一切できなくなってしまった。人間というもの引き離されれば余計に会いたい気持ちは募るもの。
直美の嫉妬に悩まされて、会うこともままならぬと悟った2人は、東京では彩の厳しい目が光っているので会うことが出来ないので、会える方法を模索した。そこで考え出されたのが、東京の大学ではなく地方の大学を受験する事だった。こうして……国立筑波大学に入学した。
まさか忙しい浩一が地方の大学に行ってまで会う時間はないだろうと、安心した直美だったが、茨城県なので2人は直美に隠れて暫くの間2人の蜜月は続いた。
だが、それも長くは続かなかった。嫉妬深い直美に悟られてしまい、どうにもならなくなってしまった。これでは本当に永遠に会えなくなってしまうと考えた2人は、大胆な発想を思い付いた。ニューヨーク州に支社がある大企業「HOSINO」だが、浩一は仕事で月一回の出張があったのを思い付き、そこで2人の愛を育もうと考えた浩一は彩に提案した。
「彩海外に留学したくないかい」
「わあー海外の大学に留学出来るなんて夢のよう!」こうして決まった。
それというのも直美が2人がまた続いているのではと嫉妬の鬼と化して、浩一と彩は直美の監視に疲れ切ってしまっていたのだ。
こうして……とうとう交換留学生という形で行くことになったのだ。その留学費用は破格の1年間で500万円にも上る金額だったが、金持ちは違う、可愛い息子浩一の為にポンとお金を工面してくれた。
ニューヨークでも2人の愛は途切れることなく続き、卒業から3年後に2人は結婚した。だから……彩は父親の借金で地獄を見たので例え年齢が違っても間違いのない安定を選んだのだ。
これだけ苦労を乗り越えて結婚したにも拘らず、彩は何故若い男に走ってしまったのか?
★☆
「直樹いつ結婚してくれるのよ。私あんなのおじいちゃんと……もうこりごりよ。あなたが、私に浩一を紹介してからプロポーズされて私は仕方なく結婚したわ。私が浩一との結婚を断ろうとした時、あなたは言ったわよね。『駄目だよ!2人の会社を興すために君は仮初めの結婚をして君を社長夫人にする為さ。それもこれも彩と結婚する為にだよ。妻と離婚するためには多額の慰謝料が必要だろう。その為には俺が稼げなくてはダメだろう。それもこれも彩と結婚するためさ』あなたがそう言ったからあんな20歳も年上の子持ちと結婚したんじゃないの。あなたの為に会社の機密書類を度々夫からこっそり持ち出し、その書類を貴方に渡したお陰であなたは機密書類を使って青年実業家となり成功できたのじゃない」
「分かっているさ俺は彩を世界中の誰よりも愛している。必ず離婚するからさ」
「本当に……💞💘😘私もよ。愛しているわ!ブチュ💋」濃厚なキスをせがむ彩だったが、キスが終わるとまたしてもお金の話。
「嗚呼……彩お前ご主人様と年齢が随分離れているじゃないか、後々の事を考えてご主人様にもしもの事があった時に備えて、多額の死亡保険金が受け取れる保険に加入させておいた方が子供たちだって路頭に迷わなくて済むよ」
「だって……夫は株券やら諸々の資産があるので大丈夫よ」
「用心には用心をしておいた方が良いと思うよ」
「あなた……また私からお金を引き出させようと考えているのじゃない?」
これは一体どういうことなのか?彩は浩一とは13歳の頃から身内のように接していたのに、どうして……このようなばかげた話になるのか?
彩はニューヨークで浩一を持ち詫びながらも寂しさも手伝って、こんなしょうもない男直樹に引っかかってしまっていたのだろうか?
誰もいないニューヨークで心寂しい彩は、浩一と一カ月に一度しか会えない寂しさも手伝って、ふっと近づいて来たやさ男直樹に騙されてしまったのだろうか?
いくら処女を許した最初の男と言えど若くて綺麗なお嬢さんで、おまけに優秀ときたら、どんな男でも周りに寄って来る。そんな時に一か月に一度会いに来てくれる浩一に、「こんな筈ではなかった?」と疑問を感じ、徐々に幻滅を感じていったとしても不思議はない。
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