第13話 彩という女

 


 今までは散々謎のご婦人貞子様の話一色だったが、もう1人怪しい人物がいた。それはママ友3人組愛美と里奈と彩の中の1人彩だった。 


 愛美と里奈の人生は折に触れて紹介しているのでハッキリと解明できたが、彩は全く分かっていない。


 それにしても……どうしてあれだけプライドの高いコロンビア大卒の才女が、何故20歳も年上の、例え大企業「HOSINO」の専務取締役といえども、子持ちの中年オヤジと結婚などしたのか?


 それが実は……夫は最近心不全で突如亡くなり、現在は子供2人中学2年生の湊君と小学6年生の澪ちゃんの3人で生活している。更には何と夫には巨額の生命保険が掛けられていた。そして…彩には怪しい男の影がチラついている。

 

 これは一体どういうことなのか?


 ★☆


「直樹いつ結婚してくれるのよ。私あんなおじいちゃん……もうこりごりよ。あなたが、私に浩一を紹介してからプロポーズされて私は仕方なく結婚したわ。私が浩一との結婚を断ろうとした時、あなたは言ったわよね。『駄目だよ!2人の会社を興すために君は仮初めの結婚をして君を社長夫人にする為さ。それもこれも彩と結婚する為にだよ。妻と離婚するためには多額の慰謝料が必要だろう。その為には俺が稼げなくてはダメだろう。それもこれも彩と結婚するためさ』あなたがそう言ったからあんな20歳も年上の子持ちと結婚したんじゃないの。あなたの為に会社の機密書類を度々夫からこっそり持ち出し、その書類をコピーして貴方に渡したお陰で、あなたは機密書類を使って青年実業家となり成功できたのじゃない」


「分かっているさ俺は彩を世界中の誰よりも愛している。必ず離婚するからさ」


「本当に……💞💘😘私もよ。愛しているわ!ブチュ💋」濃厚なキスをせがむ彩だったが、キスが終わるとまたしてもお金の話。


「嗚呼……彩お前ご主人様と年齢が随分離れているじゃないか、後々の事を考えてご主人様にもしもの事があったときに備えて、多額の死亡保険金が受け取れる保険に加入させておいた方が子供たちだって路頭に迷わなくて済むよ」


「だって……夫は株券やら諸々の資産があるので大丈夫よ」 


「用心には用心をしておいた方が良いと思うよ」


「あなたまた私からお金を引き出させようと考えているのじゃない?」

 例え部品メーカーといえども時代の流れには逆らえない。当然倒産に追い込まれる企業は後を絶たない。


 

 ※2023年の自動車部品メーカーの倒産は35件(前年比66.6%増)で、前年の1.6倍に増加した。過去10年では、2017年の30件を上回り、最多を更新した。

 


 ※2022年の国内自動車生産台数は2018年(972万9,594台)から4年連続で減少、783万5,482台(前年比0.1%減)だった。自動車部品メーカーは、自動車メーカーの生産台数に変動があっても、規格・品質の維持のため継続的な設備投資を避けられない。

 2023年1-6月の国内自動車生産台数は432万3,975台(前年同期比19.0%増)と回復してきたが、過去の設備投資に伴う借入金が重荷となって経営破たんした自動車部品メーカーが増えている。



「いイヤ!そうじゃないさ💦💦君の事を思ってさ💦💦」


「それよりいつまで待てば良いの?」

 

「だって……俺だって妻との離婚が思うように進まなくて……」


「これじゃ私おばあちゃんになってしまう」


 ★☆ 


 何ともあっけない幕切れ20歳年上の自動車メーカー「HOSINO」専務取締役の夫は最近心不全で突如亡くなってしまった。それを良い事に、最近ではこの直樹は仕事が行き詰まっているらしく、夫の多額の死亡保険金を上手い手口で引き出させようと躍起になっている。


 直樹に夢中の彩は少しまた少しと渡す羽目になっている。でも捨てられたくないので彩は少しづつ直樹に渡している。その額は積もり積もって5000万円以上になっていた。



 実は……この直樹は大企業「HOSINO」自動車の関連企業星野産業の機密書類を彩から盗み取らせて、自動車やオートバイ等のエンジン部品であるシリンダライナ、バルブシート、カムシャフト等の製造及び販売を手掛けている企業なのだが、あれよあれよと従業員数300人を有する企業に成長していた。


 結局超一流企業の部品メーカー星野産業の機密書類ををコピーして酷似した部品を製造した製品は精密が良く安全性に富み。それを星野産業の2割引きで製造販売しているので、あっという間に有能企業へと成長を遂げた。

 だが時代は今後はEV「電気の乗り物(車)」対応時代に変革の時期だ


 ※世界市場では、電気自動車(EV)の販売台数がハイブリッド車(HV)を上回っている。2022年の世界市場における乗用車の新車販売台数は、EVが705万台、HVが421万台だった。それでも日本国内ではHVの販売台数がEVを上回っている。だが、いずれは近い将来EV車が躍進するであろう。


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