第12話 衝突事故の犯人


 キキ――――ッキキキッキキキキキキ――――――――――――ッ!


 グシャン\✕\⁄バシン\✕\⁄ドカーン✕\ドーン\✕\●~*バーン\✕\⁄\


「キャ――――――――――――――――ッ!」


 その時、歩道に一台の車が突っ込んできて舞ちゃんに正面衝突して、舞ちゃんは病院に緊急搬送された。何という事だ。その事実を聞かされ大慌ての寅さんと田宮。


「どういう事だよ。本人にあの日の事情を聴こうと準備していた矢先に交通事故とは、偶然にしちゃ出来過ぎた展開だ」


「本当ですよ。これでやっとあの日の状況猫騒動で右往左往している隙に、北村邸にお邪魔していた舞ちゃんが、ラーメン専門店Sugitaya社長夫人の宝石類を盗難したのではと、問い質そうと思った矢先の事故ですからね。一体どうなっているのでしょうね?」


「それこそ舞ちゃんが偶然にもひき殺されかかったという事は、舞ちゃんが犯人じゃなく、その時舞ちゃんの他に誰か別の真犯人が北村邸にいて、盗んだ事実をバラされたくないので、北村邸の隣に警察が聞き込みにやって来た事実を知っていて、舞ちゃんが生きていてもらっては全てバレてしまうので、口封じの為に舞ちゃんをひき殺そうとした可能性はあるなあ?」


「ひょっとして本当に貞子様の妹があの日来ていたのかも知れないですね。そして……舞ちゃんと妹は顔見知りだったという推理はどうですか?」


「嗚呼……あながち間違っていないかも?」


 ★☆

 翌日2人はある邸宅に向かった。 


「これは大変な事だ!オイ!急ぐぞ!」


「あっ!ハイ」

 

 多分北村邸にお邪魔していた女の子は舞ちゃんで間違いないと思った寅さんは、事故に遭った舞ちゃんの現状を聞き、これは只事ではないと思い急遽北村邸の隣の家に直行した。


 それにしても貞子様は何故警察に嘘の証言をしたのだろうか?「あの日目黒区の妹が来ていた」などと白々しい噓を、いけしゃあしゃあとよく言えたものだ。これでは完全なる偽証罪。捕まる可能性が大だ。だが、おとがめがなかったと言う事は、2人が推測する通り本当に妹が来ていたのかも知れない。

 

 

 だが、悪い事ばかりではない。北村邸の隣の邸宅に到着してから早速思わぬ収穫があった。

「もう一度お聞きします。あの日の夕方北村邸で他に、何か変わった事がありませんでしたか?」


「あっ!思い出しました。あの時別の人物も見かけました」


 謎のご婦人貞子様の隣の奥さんが言うには、若い高校生くらいの綺麗なお嬢さんが、北村邸にいたという事は聞いたが、更にはその後再度詳しく聞いたところ、なんと若い高校生ぐらいの女の子の他に、見た事もない人物の影がカーテン越しに見えて、更には微かに声が聞こえて来たというのだ。


「何かあったの?変なところ指差して……」という女性の声が微かに聞こえて来たというのだ。そして…舞ちゃんらしき女の子が「うううん……あそこに……変なものが見えたので……」そう言ったが早いか、一気にカーテンは閉められてしまったというのだ。当然カーテンを閉めたのは貞子様だった。全く意味不明な不気味な女性。だが、偽証罪に問われると悟ったのか?姿がパタリと消えた。


 舞ちゃんが指差した変なものとは何だったのだろうか?

 

 また貞子様はどこに消えたのだろうか?

 

 そして…もう1人の女性は誰だったのだろうか?

 舞ちゃんが回復して聞き出すしかない。

 

 もし……その女性が犯人だとしたら夕方の薄暗くなり始めた時間帯に猫騒動で右往左往している間に、こっそり侵入して盗み出した可能性は高い。


それでも……もし貞子様の妹が犯人だったら全く関係のないミュージシャン邸や、前田邸にどうやって侵入出来るというのだ?


 Sugitaya邸で窃盗事件が起きた夕方、猫騒動で右往左往している間に宝飾品が窃盗被害に遭い、折角犯人の目星が付き学校に直行中だったのも拘わらず、その重要参考人かも知れない、また犯人をその目で見ているであろう舞ちゃんに事情を聴こうと身構えていたにも拘らず、正面衝突という大事件に巻き込まれてしまい、振出しに戻ってしまったこの事件。


 窃盗事件には変わりがないのだが、一見金欲しさの単独犯にも取れるのだが、それだけではない何か……人間のどろどろした恨み怨恨などが入り混じった組織犯罪の様相も呈して来た。




 それでは……舞ちゃんが車で正面衝突されたのは過失なのか、それとも故意だったのかは今のところ判明しないが、もし……故意に衝突したのであれば舞ちゃんが犯人でない可能性が濃厚だ。もう1人の女性が盗み出した可能性は非常に濃厚だ。


 現場を目撃されて口封じのために命を狙った可能性は十分に考えられる。 


 ★☆


 一輝は舞ちゃんの事故の現状を聞きつけ現場に直行している。そして病院に到着して病室に直行した。だが、舞は意識不明のまま病院の集中治療室に運ばれ生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療空間でいろんな器具が取り付けられれ意識不明の状態が続いている。


「舞……舞……ウウウッ( ノД`)…わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭死なないでくれ……ウウウッ( ノД`)…わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭俺が無理なことを頼んだせいで、わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭わあ~~~ん😭」


 

 大変な事態になったものだ。それでも歩道に乗り上げた車の犯人は捕まったのか?

 

 何という事か、一時は怖くて逃走したのだが、ひき逃げ犯は1時間後に出頭した。それは若いカップルだった。某大学に通う同じ大学の22歳のカップルだったのだが、結局調べで分かった事だが、故意によるものではなく、薄暗い夕暮れ時にアツアツの2人は、彼女をアルバイト先のコンビニに送る途中軽くキスをしていた。この油断が事故を招いてしまった。こうして車を車道に乗り上げてしまったのだった。


 折角犯人が、目前に迫って来たというのに、またしても振出しに戻ってしまったこの一連の窃盗事件。寅さんと田宮はガックリと肩を落としている


 

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