第7話 ミュージシャン「Mr. Tigers」のリーダー高沢圭佑邸
「寅さん最近港区元麻布の高級住宅地で相次いで窃盗事件が起きていますが、何かめぼしい情報でも……」
「最近は2022年5月から2023年1月にかけて発生した日本全国における同一グループによる連続強盗事件「ルフィ強盗事件」と呼ばれる事件、更には2024年8月以降、闇バイトを実行役とした強盗事件が首都圏を中心に相次いでいる。10月には横浜市青葉区の住宅で男性が殺害され現金が奪われた。また千葉・市川市では住宅にいた女性が暴行を受けた後に連れ去られるなど、その手口は多様化している。「ルフィ強盗事件」などはフィリピンからSNSなどを通じて指示を出し、アルバイト感覚で応じた若者が実行犯という場合もあるから闇が深い。そして…今度は東京屈指の高級住宅街での窃盗事件だが、最初の窃盗事件は、大物ミュージシャン邸の現金やキャッシュカード更に1本1㎏の金のバーが3本、そして次が全国展開するラーメン専門店Sugitayaの社長夫人の宝石類が根こそぎ盗まれたのだが、犯人は家の事情に詳しい者と思われるのだが……そして…今回は4800万の「奇跡の宝石サファイア」が盗まれたんだよなあ」
「そう言えば寅さん 現金、キャッシュカード、クレジットカード、預金通帳、貴金属金・銀・プラチナなどは盗まれていないのですよね?」
「オイ!このバカが💢💢💢大物ミュージシャン邸は現金やキャッシュカードそれに、金のバーが3本が盗まれたって言っただろうが、何聞いてんだよ💢💢💢」
「アッ!すみません😂それにしても……可笑しいですよね?大方は宝石やブランドバックなどが盗まれているのに、ましてやミュージシャンの妻は元モデルで宝石やブランドバックは窃盗被害に遭われたご婦人方以上に多く有ったにも拘らずミュージシャン邸だけは現金やキャッシュカードだけだとは納得がいかないですね……ぅうううん?」
「更にはセレブ御用達の老人ホーム「やすらぎ苑」に入居なさっているご老人がいる家庭ばかりが被害に遭っているというのだが、その話はどうなんだ?」
「はあ!そうですが、でもミュージシャン邸にはご老人はいない筈ですが?」
「じゃー先ずそのミュージシャン「Mr. Tigers」のリーダー高沢圭佑宅に急行しようじゃないか!」
警視庁の刑事で田中獅寅(たなか しのぶ)は、小太りでごっついトラのような風貌なので同僚から寅さんと頼られている。父親が一風変わった男で獅や寅のような狂暴なものが大好きで、そのせいなのか父親自身も獅子やトラに負けず劣らずの狂暴そうな男で、息子を獅子とトラのような強い男にと名付けた名前だった。
一方の相方は新人でモヤシのようなひょろりとした男で、いかにも頼りなさそうな男だ。名前は田宮二郎で田から始まるので「田コンビ」と呼ばれている。
あれ?田宮二郎ってどこかで聞いたような名前だが?
そうなのだ。白い巨塔でお馴染みの名優田宮二郎だ。若い方には聞き覚えがないかもしれないが、80代の祖父が大ファンで、それに感化された頑固な父が、頑として同姓同名にすると言って聞かないので田宮二郎となった。
母はあれだけ有名な俳優さんなので、見栄えも全然違う凡人なので学校で虐めの標的に遭うかも知れないので渋ったのだが、頑として聞かず田宮二郎となった。
それでは母が恐れた虐めはあったのか?
残念ながら今の子供たちは田宮二郎は誰も知らないのでそれはなかった。
★☆
ミュージシャン「Mr. Tigers」のリーダー高沢圭佑宅の前に到着した「田コンビ」寅さんと田宮だった。
都会にいながら緑溢れる自然に囲まれて過ごしたいという憧れ。和の要素をふんだんに取り入れた池には湧き水のように溢れ出した水が小川のようにせせらぎ、庭の散策路では枝葉のこすれ合う音や、葉の間からきらきらと光が洩れ、地面にはその陰影が揺らめく。インテリアは庭とコーディネートした木のぬくもりを感じるナチュラルモダン。住まいに一歩足を踏み入れれば、都心にはないゆったりとした時が流れ、豊かな庭に抱かれる住まいは、正に誰もが夢見る邸宅。
”ピンポン” ”ピンポン”
「どちら様ですか?」
「嗚呼……警察の者だが……」
「お待ち下さいませ」
「さあさあお上がり下さい」元モデルの凛々子が向かい入れてくれた。
「随分ハイカラな豪邸ですね。さすがミュージシャンと元モデルさんの家だ」
「ありがとうございます!」
「嗚呼……ところで……キャッシュカードと金のバーと現金が盗まれたとのことですが、その時の状況について詳しく説明して下さい」
「あの日は主人は当然仕事で留守で、私もこの年でも年齢相応のモデルの仕事がございまして……引退したと言っても時々モデルの仕事が入りますので、あの日も留守でした。アッ!お待ち下さい。その日はお手伝いの紀美子がおりましたので……チョッとお待ちを……紀美子チョッとこっちに来てくれない?」
「は~い奥様今コーヒーとケーキをお持ちします」
「どうぞケーキとコーヒーお召し上がり下さい」
「紀美子さんにも伺いたい事がありまして……こちらに座って下さい。紀美子さんキャッシュカードや現金が窃盗被害に遭ったあの日何か変わった事、例えば空き巣被害とか……それか……来客はありましたか?」
「その話は最初にもお話ししましたが、確かに一輝お坊ちゃまがバンド仲間や女の子たち10人くらいですかね、お連れになり朝方まで地下室でバンド仲間は演奏の練習をしていました。だが……その内練習も中断して彼女たちと羽目を外しておられましたが……」
「羽目を外すとはどのような事ですか?まさか……薬物とか……」
「いえいえカラオケです。バンド仲間はきちんとした家庭の坊ちゃまたちばかりですので、そんな薬物に手を染めたり、盗難なんてするようない子たちではありません。同じ業界のミュージシャンのお坊ちゃまたちが3人と、あと1人は大物女優さんのお坊ちゃまです。だから……金銭的に困っているお子さんはいませんから……あり得ません。只女の子たちはチョッと分かりません。嗚呼……1人このご近所のサラリーマンのお子様がいらっしゃいました。舞ちゃんというボーカル担当の女の子です。一番若い子で18歳でお父様は三友UFJ銀行の支店長様ですから、ちゃんとした家のお嬢様ですし、きちんとなさっていらっしゃいました。後の2人は同じ大学の後輩だと言っておられました。だから……それ以上の事は分かり兼ねます」
「本当にうちの一輝のお友達は業界でも指折りのお金持ちのお坊ちゃまばかりです。疑うのもいい加減にしてください💢💢💢只私が夜帰って来た時に2階の窓が開いておりました。これには紀美子もちゃんと鍵をかけておいたのにと不思議がっていました。そして……息子もキャッシュカードの仕舞ってある場所は知らない筈ですから、息子たちの筈は絶対にあり得ません。ですから……全く犯人が分かりません!」
だが……実は……あの日どんちゃん騒ぎした中の1人に、ブルジョアご婦人のグループの1人と親戚関係にある者がいた。あの日松茸の食事会を楽しんだご婦人方と親戚関係の子供は誰だったのか、そして親戚と目されるご婦人は誰だったのか?
だが……誰も知らないキャッシュカードと現金が保存してある場所から、盗まれるとは、この家の内情に余程詳しい者の犯行に違いない。
あっ!それから忘れてはならない肝心な話。この家に確かに老人は住んでいないが、妻で元モデル凛々子の母がセレブ御用達の老人ホーム「やすらぎ苑」に入居していることが分かった。
ここに何か突破口が潜んでいるかも知れない。
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