官僚の世界には学閥が存在する?

——官僚の世界には学閥が存在する?


 これには、思わず耳を疑うことだろう。


 もしそんなことが本当なら、国民の意思が介在していない、かつ、ごく一部の集団が、法律の起案と成立を事実上牛耳っていると言えてしまうが……


 しかし残念ながら、それはかなり、妥当な推察であるようだ。


 例年、大量の法律を起案、成立させている高級官僚。


 ここでまず、高級官僚の中でも、特に熾烈しれつな出世争いを勝ち抜いたトップ中のトップ、「財務事務次官ざいむじむじかん」の方々に注目したい。


(ちなみに財務事務次官というのは、その名の通り、財務省の官僚のトップであり、当然、莫大な予算の動く案件での裁量権を持っている)


 注目するのは、その「学歴」だ。



【歴代財務事務次官(降順、敬称略)】

第十九代 

新川 浩嗣 東京大学経済学部


第十八代

茶谷 栄治 東京大学法学部


第十七代

矢野 康治 一橋大学経済学部


第十六代

太田 充 東京大学法学部


第十五代

岡本 薫明 東京大学法学部


第十四代

福田 淳一 東京大学法学部


第十三代

佐藤 慎一 東京大学経済学部


第十二代

田中 一穂 東京大学法学部


第十一代

香川 俊介 東京大学法学部


第十代

木下 康司 東京大学法学部


第九代

真砂 靖 東京大学法学部


第八代

勝 栄二郎 東京大学法学部


第七代

丹呉 泰健 東京大学法学部


第六代

杉本 和行 東京大学法学部


第五代

津田 廣喜 東京大学法学部


第四代

藤井 秀人 京都大学法学部


第三代

細川 興一 東京大学法学部


第二代

林 正和 東京大学法学部


初代

武藤 敏郎 東京大学法学部



 ご覧の通り、明らかに、「東京大学」それも「法学部」出身者のオンパレードである。


(私は、上記の方々に悪人のレッテルを貼りたいのではなく、事実を並べているだけである)


 そしてさらに、現職(二〇二四年十月末時点)の各府省の事務次官並びにその他事務次官級の方々(敬称略)の学歴も見てみる。


内閣府事務次官

井上 裕之 東京大学法学部


警察庁長官

露木康浩 京都大学法学部


金融庁長官

井藤英樹 東京大学法学部


消費者庁長官

新井ゆたか 東京大学法学部


こども家庭庁長官

渡辺由美子 東京大学文学部


デジタル監

浅沼尚 慶應義塾大学理工学部

※民間から


復興庁事務次官

宇野 善昌 一橋大学社会学部


総務事務次官

竹内芳明 東北大学工学部


法務事務次官

川原隆司 慶應義塾大学法学部


外務事務次官

岡野正敬 東京大学法学部


財務事務次官

新川浩嗣 東京大学経済学部


文部科学事務次官

藤原章夫 東京大学法学部


厚生労働事務次官

伊原和人 東京大学法学部


農林水産事務次官

渡邊毅 東京大学法学部


経済産業事務次官

飯田祐二 東京大学経済学部


国土交通事務次官

吉岡幹夫 東京大学工学部


環境事務次官

鑓水洋 東京大学法学部


防衛事務次官

増田和夫 慶應義塾大学法学部


 もちろん、「東京大学法学部」が、日本における最高レベルの頭脳集団であることは重々承知であるし、事務次官(級)に相応しい人物であることは確かなのだろうが……


 ここまでくると、この傾向は、偶然ではないと、考えざるを得ない。


 くれぐれも、再三の注意だが、「東京大学」や「東京大学法学部」の人たちが悪いなどと言いたいわけではないことを、ご理解いただきたい。


 東京大学は、日本が世界に誇る、最高峰の大学には間違いないし、そこで研究されている、されてきた方々には、この私という取るに足らぬ存在にできる最上の敬意を表したい。


 ただ、皆さんにこの事実を、認めていただきたいのである。




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青の書~青年たちに捧ぐことば~ 加賀倉 創作 @sousakukagakura

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