議員立法と内閣立法の格差

——議員立法と内閣立法の格差。


 前者が政治家(=国会議員)が起案して法律を作る方法、後者が高級官僚が起案して(内閣総理大臣の名で)法律を作る方法、である。


 前項では、後者の「内閣立法」が圧倒的に多い、つまり格差があるという論調だったが、二〇二三年の実際の数字は、以下の通りである。



【議員立法(政治家)】

提出数95

成立数16

成立率16.8%


【内閣立法(官僚)】

提出数72

成立数70

成立率97.2%


 

 格差は、この年に偶然生じたものではなく、内閣法制局のデータを十年さかのぼっても、常に内閣立法は議員立法の二倍以上の件数が成立し、かつ、成立率も八五パーセント以上を維持している。


 もちろん、高級官僚は各省庁のトップ層であるから、財務だとか、経済産業だとか、外務だとか、当然それぞれの強みを生かすわけで、専門性が高くなり、法律が成立しやすいという理由はある。


 それを加味したとしても、これほどまでに立法が政治家(=国会議員)よりも高級官僚由来に偏ってしまっているのなら、どうして義務教育で我々国民は、「国民が選んだ国会議員からなる国会が、国権の最高機関である」と、教えられたのだろうか?


 実際には国民が選挙で選んだ政治家(=国会議員)でなく、国民が知らないところで国家公務員試験を受け、いつのまにかトップに君臨した高級官僚が、この国の舵を握っているのでは……


 と、まるで、騙されたかのような気持ちに、ならないだろうか?

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