第三話「メトロポリタソミュージアムに行くのよ・・・!」
そんなちょっとしたハプニング。
ディオバレ事件……
ディオ君への好意がバレたの略が起きてからその後、私達は1年生の群れがメトロポリタソミュージアムに入る光景を見ながら、その番を待っていた。
そしてついにその時が来た。
忌まわしき私のクラスの先生の声が路上で響く。
「ほら、次はお前達の番だ。無駄話するなよな」
ふん……!何よ!やな感じ。
私は目を瞑りツンとした態度を取って歩く。
それが気に障ったのか先生が何か言ってきた。
「おまえアリスだっけか?なんだ?俺に言いたいことでもあるのか?」
「べ、別にないです」
ふんっ!私はそうやって態度を貫く。
「ほぉ〜。君ちょっと来なさい」
すると、そう言って先生は私の腕を掴んできた。
「ちょっと!離して!!」
その力強さに抵抗は出来ず私はメトロポリタソミュージアムの薄暗い場所まで強引に連れてかれ始める。
ふとレッドとチャシャを見ると二人は失態を犯したような顔で私を見る。
見てないで助けなさいよ!!
思わずそう思ったけど無理もない。もし下手に動いて先生の気に触れば退学だってあり得る。
私って本当馬鹿ね……
そう思ったその時だった。
「離せクソ変態教師!!」
その低い声の次に物体が蹴られる様な鈍い音が私の目の前で起きる。
この声は……
「ド、ドン……!?なんで……」
そう、あの私のライバル……の様な奴。
ドン・ムニエルだった。
その大きな図体……というかオブラートに包まずに言えばデブ!
どうやらその体で先生を飛び蹴りし、地面に突き飛ばしたみたい。
そしてドンは私の方を向いて言った。
「お前は俺の
そう言って鋭い
「な、何よ!あんたのエゴなのね……でも助かったわ!」
「ああその通りただのエゴだ。ってかヤベェ!アリス後ろだ!」
私は素早く空を斬り振り返った。
その直後、鈍い痛みが走る。
「ふん……次はお前だ」
その先生の殺意のある声を私は真っ暗になった頭で聞いている。
そうか……先生に殴られて倒れ込んで今地面なのね。
そう自分の状況を分析する。そしてこのままだとドンが先生にやられるという場面が私の頭には浮かぶ。
(僕と……契約して)
この声は……学校の時からうるさいあの声……
気づくと私は黄緑色が広がる草原に横になっていた。
ハッとして起き上がる。
「ドン……は?先生は……?」
そう広い草原の空間の中、静かに私の声は響く。
そしてその存在に気が付く。
目の前に立つ桃色の兎の存在だ。
「やぁ。君の名前はアリスだよね。僕と契約して」
そう高い声で軽快に話し出すその兎はトゥーンを彷彿とさせる姿でそこにいる。そして何故か私の名前を知ってる……それは置いておいて思わず感想を溢す。
「まるでギャグアニメね……」
「ギャグとは失敬だな君。この世界……"ワンダーランド"に来てここまで冷静な人間は君で二人目だね……」
そう言ってやたら余裕そうな兎に私は突っ込む。というか二人目って……先客がいるのね。
「どう見てもギャグアニメよ!それよりワンダーランド……それってアリスインワンダーランドに出てくる夢の国?」
「僕はそちらの世界について詳しくはないけど……そういう本はあるらしいね……でも関係ないんじゃないかな?王様なら知ってるかも……」
「そうなのね……王様……?」
私は気になり兎に聞いた。
「うん。ワンダーランドは王国だからね……じゃあ王様に会いに行こうか。そして力を授かるんだ」
「急ね!そ、そんな暇はないわよ!今大変なんだから。ドンが……」
私は兎の不可解な案内に対して抵抗する。
なんたって今現実世界は大変なんだからね!
「そのための力を授かるんだよ。現実世界は時が止まってるから安心して」
「そ、そうなのね……もしその力ってやつを手にしたらどうなるの?」
時を止めるとサラッと言ったラビーに驚きながらも私は質問した。
正直時を止める力を持っているならこのウサ公がどうにかしてドンを助けて欲しいものだけど……
そう考えたあと兎が答える。
「君が強くなる」
「そんなあっさりと……し、信じられないわ!」
勿論だけど……
私は信じられない。そもそもこれ夢なんじゃ?
そして私は少し考えついに違和感に気づく。
そう言えばチャシャはドンを謎の力で倒していたような……
しかもチャシャは冷静な性格。
まさか一人目の人間……つまり先客はチャシャ!?
私はさっきバスから降りた後の現象の謎が解けたと思った。
そして兎に聞く。
「もしかしてさっき言ってたこの世界に来て冷静だった一人目って……チャシャ?チャシャ・ブラウンのこと!?」
私の出した結論。それはチャシャがこの世界に来ていてここで私と同じように兎に出会っていたという推理よ!
兎はそれに答えを示した。
「ご名答!チャシャは君と同じ"
「やっぱり!!チャシャからした時計の音……おかしいと思ったのよ!っていうか"
「それもご名答!驚くと思うけど君は選ばれし勇者みたいな者さ。しかもチャシャの時計の音……その正体は……」
私が勇者……そんなドラショじゃあるまいし……
その話途中、私は兎の後ろに何やら気配を感じた。
見ると一メートルの長さのある巨大な鍵がこちらに歩いてきていた。
しかもその鍵は大きいだけでなく巨大な眼球が中央についていた。
私は驚いて兎に言った。
「ウサ公!!後ろに鍵の化け物がいるわよ!!」
「ん?なんだスペルキーの事か。っていうか僕はウサ公なんて名前じゃないよ。ラビーって名前があるんだからね。そうそうスペルキーのスキルとチャシャのスキルは似ているんだよ。時を止めるという点が共通しているね」
「情報量が多すぎるわよ……」
思わず私は頭を抱える。それとラビーって名前なのね。安直……
するとラビーがスペルキーと呼んでいたその鍵のモンスターが私に話しかけてきた。
「ラビー……ツネニ……ウルサイ。ワルイネ」
カタコトに話すそのモンスターは私に謝って来たみたいだ。
「ま、まぁいいのよ。ラビーのおかげで現実世界の時間は止まってくれてるんだし?このくらいはね」
「ラビージャナイ……オレの力……アト、ハヤク……オウノ場所イケ」
私はそのモンスターの意味するところが分からず首を傾げる。
そしてラビーは何やら気に障った様子で話し始める。
「五月蝿いとは失敬な!でも確かにスペルキーの言う通りだ。スペルキーの時間停止にも限度がある」
そう言って小型の時計を確認するラビー。
スペルキーが時間を止めていた……!ってことね!
私はラビーが時間を止めていたという認識を改める。
そしてラビーは少し焦ったように言った。
「もう後三十分ほどしかない。アリス!王の場所へ行こう」
「行くって言ってもどこにあるのよ!!」
その私の叫び声にラビーは草原から西の方に指を差す。
その先を見ると赤い大きな旗の付いた巨城が見えてどうやらそこに行けという事らしい。
「分かったわ……それじゃ行くわy……」
「ちょっと待って忘れてた!僕と契約してくれなきゃ!」
その言葉の後、ラビーは何やら呪文を唱え始めた。
何よ……忙しい兎ね!
「アブラ……ケタブラ……ブーラブラ!!」
何よこの呪文…………
そう思った次の瞬間、ラビーの目の前に紫色の魔法陣が現れた。
そしてその魔法陣からA4サイズの紙と黒いペンが排出される。
「この紙にサインしてね。本名でね」
ラビーが広げた紙を見ると名前欄が複数あり十ヶ所、記入されている。
その中でチャシャ・ブラウンと書かれている部分を見つける。
「チャシャ!」
思わず私は声を上げる。本当に来ていたんだ……
その声にラビーは「僕信用されてない……」と呟いていたがスルーしながら私は紙の名前欄に"アリス・スカーレッド"と記入する。
すると紙は突然青白く光を放つ。
「ま、眩しい!な、何よこれ」
そしてラビーの出した魔法陣に帰っていった。
「契約完了!あとは王の所に行けば……君は"
「ってかその"
私の質問にラビーは答える。
「なんか聞く順番がおかしい気もするけど……とにかく走りながら話そうか!」
そのラビーの言葉を皮切りに私達は巨城へ……王の元へ急ぐ事に。
なんかとんでもない事態になっちゃったわね。これもあの先生のせいよ!そうに違いないわ!
〜第四話へ続く〜
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