リアーナの怒り
正式に婚約が結ばれて、一ヶ月が経った。
私とロイド様は15歳になったら、学園に入学しなければならない。
ヴィルナード国の高位貴族は、14歳までの中等部までの学習は基本的に家庭教師に教わる。
そして15歳から高等部に入学をするのだ。
私は、学園への入学の準備と学園から事前に出されている課題で忙しくしていた。
「リアーナ、今日の分の課題が終わったのだけれど、良かったら一緒に紅茶でも飲まないかしら?」
久しぶりにリアーナの部屋を尋ね、そう問うた。
リアーナが私の顔をじっと見つめる。
「・・・嫌ですわ」
ロイド様の婚約が決まってから、リアーナは私にさらに冷たくなっていった。
リアーナに断られ、部屋を出て行こうとした私をリアーナは呼び止めた。
「ねぇ、お姉様。お姉様は、ロイド様のことを好きではないのでしょう?」
リアーナは今にも壊れそうな程、苦しそうな顔で微笑んだ。
「私はロイド様を愛していますわ。格好良くて、理想の王子様ですもの・・・何故、ロイド様を愛していないお姉様が婚約者に選ばれるの?」
「リアーナ・・・!」
私は慌てて、リアーナに近寄る。
「近づかないで!お姉様なんて大嫌いよ」
リアーナはそう言い放つと、近くに置いてあった花瓶を床へ投げつける。
花瓶はガシャンと音を立てて、粉々に砕けた。
「私が求めているロイド様からの愛も、お父様からの愛もお姉様は全て奪っていくの。平気な顔で」
「私の欲しいものを奪うお姉様なんて大嫌い・・・だから、奪い返してもいいでしょう?」
リアーナが昔のような可愛らしい愛嬌のある笑顔を私に向けた。
そして、床に散らばる割れた花瓶に手をかざした。
淡い光に周りが包まれ、花瓶が元通りに戻る。
リアーナが、自身の能力を使ったのだ。
リアーナは今まで「無能の聖女」と呼ばれる自身の能力を
「壊れたものは、元通りに戻しましょう?」
そう述べて、微笑むリアーナはまさに「聖女」であった。
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