第2話 最後の普遍

11月1日 朝7:25

 青い空に向けてはぁーっと息を吐く。息は空に浮かぶ雲に何一つ届かず消えていった。マフラー持ってくれば良かったと後悔しながら葉原陽人は自転車を漕ぐ。雨の日以外同じ時間に家をでる。本当は電車通学であったがバスや電車などの比較的狭い場所で多くの人がいる中は避けたいというため約1時間かけて自転車で通学している。ルーティン化した生活リズムを彼は今日も過ごせると思えた。

 こんな平凡な、普遍的な、奇跡的な、幸せな、絶望的な、不安な、日常を誰もがそう感じていた。

 それが最後と知らずに――――――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る