第3話

男性に連れてこられたのは、大きなお城だった。

煌びやかで大きなシャンデリアが天井から吊り下がっている。

「ここでマスカレード・パレードが開かれる」

そこには、仮面をつけた人たちが大勢いた。

子供も大人もドレスやスーツを着ている。

みんな頭からはネコやウサギのような耳を生やしていた。

「あの耳は飾りなんですか?」

男性に尋ねた。

「本物だ。お前まさか、人間か?」

え?

この人何言ってるの?

「ここはな、人間がくる場所じゃない」

そう言った男性の耳にはオオカミのような耳が生えていた。

私は思わず後ずさった。

「心配するな。俺はお前に危害を加えるようなことはしない」

そのとき、音楽が流れ始めた。

今まで談笑していた人々は、ワルツを踊り始めた。

「周りに合わせろ。怪しまれないように」

曲が終わると、一人の男性がステージに現れた。

「皆様、ようこそお越しくださいました。マスカレード・パレートへ。退屈な日々を忘れ、今宵は楽しんでください」

それは、私に声をかけてきたステッキを持った男性だった。

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