第39話 「リータ国の魔族システム改変」
私とレイアは魔王の間の中央に移動し、儀式の準備に取り掛かる。
「最終確認も
「レイア、わかっていると思うけれど、この国の魔族だけに有効にするんだよ。でないと意味無いからね」
「そうじゃな。危うく忘れるところじゃった。テヘッ」
「レイア、
「そ、そうだな」
レイアは持ち出した書物を再確認する。危なかった。テヘで
「よし、確認した。これより儀式を始めるぞ」
レイアは目を閉じ集中する。呪術を高速
レイアは目の前にモニターを出現させ、何やら表示したものを目で追って確認している。
「タクト、どうやら成功したようじゃ」
「おおお!!! ありがとうレイア! これはとてつもない前進だよ!」
「そんなに
レイアはまんざらでもなさそうだ。
「レイア、ごめん!」
私はレイアの身体を抱きしめ、
「先に言ってなかった私が悪かった! なのにきつく言ってしまって…… 本当に
「案ずるな、タクト。わらわがうっかりしておったのじゃ」
非を認めるレイアをさらにぎゅっと強く抱きしめる。言葉が出ず、そうするしかなかった。
「もうよい、離すのじゃ」
レイアのお願いに私は両手を
「わらわはタクトの役に立てて
「それはこっちのセリフだよ…… 一つでも多くレイアの役に立って、
私はレイアの女神スマイルを
「そうだ! レイア、もう一つ頼みたい事ができた」
「ほう、それは何じゃ?」
「ゾンビやマミーのような速度の遅い魔物の設定を逆転する事はできるか?」
「可能じゃが、それには
「どんな
「そうじゃな。そなたの両腕を頂くというのはどうじゃ?」
腕だと? 相当重いな。まあ再生すればいいか。
「わかった。やってくれ」
「うむ。ちなみに、遅い種族すべてにもできるが、いががする?」
「そうだな、虫以外でお願いします」
足の遅い虫が早くなるのは
「あいわかった。では、はじめよう」
「レイア、少しだけ待ってくれ」
私は魔法を唱え、神経
「よし、準備はできた。いつでもいいよ」
レイアは
「よし、うまくいったようじゃ。大丈夫か、タクト」
「神経
「ああ、会ったら驚くかもしれぬがな」
「そうか。じゃあ、この両腕を直すとするか」
私はハイヒールを唱える。両腕が元に戻ったと思った矢先、また指から消滅していく。
「えええ!!!? 何で??」
「
スピード逆転はそんなに大変な事なんだな。私は気を取り直し、意識を集中させる。
「よし、今度は片腕ずつ再生する」
アビスでもこんな事は経験した。エレノーラ様との修行の日々は
「秘術、エクストラヒーリング!」
私の右腕部が
「おおお!! すごいなタクト!」
「回復に関しては、まだまだ引き出しがあるからな」
続いて左腕の再生も行う。私は両腕の感覚を確かめるため手を動かすが、以前より
「これでよしと。そうだ、レイア」
「どうした、タクト」
「このポーションの成分なんだけれど、魔界に素材ってあるかな?」
私は残ったポーションを
「すぐにはわからぬな。術師に回して
「ああ、助かる」
これで私の計画を実行する準備は整った。
「レイア、あとは実際に彼らに会って訓練してもらうだけなんだが、他の種族についてはレイアの方で課題を与えてやってもらえないか?」
「何をすればよいのじゃ?」
「ミノタウロスやキマイラ、サラマンダーやヒュドラなんかの強い魔獣と順々に戦わせてほしい。実戦経験が重要だからな。でも死なないように回復で調整してあげてほしい」
「あいわかった。
レイアは地獄の使いを呼び、私の渡した
「タクトよ。アンデッドだが、まず、リッチとレイス、ヴァンパイアに接触してくれ」
「どういう事だ?」
「アンデッドの中でも力を持つのが彼らなのじゃ。じゃが、わらわの国に所属している数は少ない。リッチとレイスは一人、ヴァンパイアは二人しかおらぬのじゃ」
「そうなのか」
「ああ。人間界やリオリス、タルタロッサにはもう少しおるが、ほとんどはアビスや地下深くに存在するからな。数が少ない分、まずはやつらから強化するがよい」
「わかった。そうするよ」
私が
「ああ、そうじゃ。その前に、わらわと部屋に戻ってくれるか?」
「え? ああ、いいけど……」
私は特に何も考えずに
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