第25話 「タクトvsフィナーン」
レイアの思わぬ提案で、私とフィナーンは決闘する事となる。私としては思ってもみない展開となった。
フィナーンは思わぬ形で転がり込んだ
「では、わらわから戦いのルールを説明する」
レイアは私とフィナーンに部屋の両サイドに移動するよう指示する。私達はそれに
「まず、制限時間はなしじゃ。武器、魔法の使用も自由に行ってよい。どちらかが戦闘不能か、
レイアが言うルールを聞きながら、私とフィナーンはそれぞれ配置につく。
「この部屋の中で対決する事。城外はなしじゃ。もし外に出たなら、先に出た者の負けとする。あと当然じゃが、他の者の加勢は反則とする。召喚した者の加勢とかもなしじゃ、よいな」
レイアの説明に対し、私とフィナーンは
「レムナムグルス様、このような機会を頂き、感謝いたします」
自信に満ちた表情でフィナーンが
五十メートル以上は離れているが、それでも身体の大きさは実感できる。彼女は
「双方、戦闘準備はよいな」
「ああ」
「いつでも!」
「では、これより決闘を開始する。双方、はじめ!!」
レイアの開始宣言が告げられる! 魔王の間の
「
私はまず、自分にバフをかけることに専念する。
「行くよ!」
フィナーンが腰と背中に
私は
「
手のひらサイズのつむじ風が私の頭上に三十個ほど出現し、それぞれが相手に向かって
向かってくるフィナーンも相当早く、私との距離を詰める。フィナーンと私の魔法がぶつかる!
フィナーンは器用に六本の剣を
魔法の威力に手こずっている間に、私はフィナーンとの距離をさらに詰めるべく走り出す。
「くそっ! 思ったより重い攻撃……」
フィナーンがそう叫んだ直後、最後に到達するつむじ風の一団が六本の剣を手から
「よし、いける!」
私がそう思った直後、地面のレンガの
「おわっ!」
体勢が崩れるが、そうはさせじと何とか反対の足で踏ん張り、その
「な、何だと!?」
よろけた私を見て一瞬
次の瞬間、私はフィナーンの胸に頭をうずめ、両腕を身体に巻き付けるように突進していた。無抵抗のフィナーンはその勢いで、頭から後方へと倒れていく!
私はすぐ意識を取り戻し、胸の感触に思わず上体をフィナーンの身体から起こす。
互いの速度が乗っていただけに、すごい
そして、フィナーンの身体の硬さに驚いていた。あれだけの
「タクト、一旦離れよ」
レイアの言葉に私は完全に意識を取り戻し、フィナーンから離れる。
「うむ。これは気絶しておるな」
レイアが状況を確認した後、フィナーンに
「う、うーん。私は……」
フィナーンは気絶前の状態を思い出そうとしているようである。
「そうか、私は気を失ったのか」
「うむ、この決闘、タクトの勝利とする! わらわ達の名において、これにて終了とする!」
レイアの終了宣言が
「ダークヒール!」
私が発動した魔法の光が、フィナーンを包み込む。彼女が受けた体の傷が、
「おおお! これは!」
「人間が私にヒールだと? 信じられない……」
身体を確認するフィナーンに、レイアが近寄る。
「どうじゃ? これでもタクトを認めぬと申すか?」
「魔王様、とんでもないことでございます! 完全に私の負けでございます」
フィナーンのすっきりした表情にレイアが微笑む。
「うむ。
レイアの
「レイア様、一つよろしいでしょうか?」
ロイドが何か進言しようとしている。
「どうした、ロイドよ」
「はっ! しかしこうなると、やはり進めて頂き事がございます」
「何じゃ、申してみよ」
「それは、お二人の結婚式でございます」
「結婚式!?」
レイアと私が思わず叫んでしまう。
「
「しかし、戦争準備の
「そうだなあ、それに結婚の儀式は二人で
私は思わず口にしていた。
「では、結婚
ゲルミスがロイドに助け船を出すように進言する。
「なるほど、それはいい考えだな」
ガレウスが同意する。
「決起パーティーなら、戦争前でも大義名分になります。やってみてはいかがかと」
フィナーンがレイアを見て説得する。
「うーむ、じゃが、時間が無いしのう」
「装飾などは必要ございません。
ロイドがまとめに入り出している。このまま決まってしまいそうな
「うむ、皆がそう言うなら仕方ないのう。では、三日後の
皆の熱意に折れてレイアが決断する。
「おおお!! 感謝いたします。では、私どもは皆に伝えて参ります! これにて失礼」
血気
「まったく、仕方のないやつらじゃのう」
「いいじゃないか。彼らに認めてもらえて、私は嬉しいよ」
私の言葉にレイアの顔が少し赤らむ。
「そ、そう思うか。ならば、わらわも問題ないぞ」
決まり悪そうにしながらも、まんざらではない事が伝わってくる。
「じゃあ、部屋に戻るとするか、タクト」
「そうだな。レイア、ありがとうな」
私とレイアは魔王の間を後にし、私室へと戻るのであった。
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