第23話 「四天王、集結」
第九階層に移動した私とレイアは、もう一人の四天王を復活させるべく、準備に取りかかる。同行したゲルミスは、我々と少し
「タクト、始めるぞ」
「ああ、頼む」
レイアと私は、ゲルミスを復活させた手順通りに魔法を発動していく。そして五分後には、四天王最後の一人、マリリスのフィナーンが目を覚ます。彼女の肉体と共に、武器や鎧、衣服も再生することができている。
マリリスは上半身が人間、下半身が大蛇のナーガととても似ているが、腕が六本あるのが
彼女は魔王軍最後の
「我が
「おお! 気が付いたようじゃな。もう大丈夫じゃ」
「私は一体!?」
「勇者達によって倒されたのを、今わらわ達が復活させたのじゃよ」
「何と!?
「よい。過ぎた事じゃ。それより、もうすぐロイドとガレウスが戻ってくるのでな、
「ははっ! かしこまりました!」
レイアの指示を聞き、フィナーンは立ち上がり、ゲルミスの存在に気づくと、彼の方へ
約十分程して、城外が
程なくして、我々の目前に、二人が転送されてくる。
「二人とも、早かったのう。よく戻ってくれた」
レイアが二人をねぎらう。
「
バロールのロイドが代表して
実際目の前にすると圧倒される。
「うむ。ご苦労じゃった。これで四天王が全員
横に待機していた二人が、ロイドとガレウスのもとへ行き、四人が横並びにレイアと私に対面する。
「うむ、皆が
レイアはゆっくりした口調で四天王に
レイアが救われた事までは、四天王は顔色一つ変えずに聞いていた。ところが、結婚の話を聞いた時、皆驚きを隠さなかった。
「クライスライン様! なぜこのような者の結婚を認めたのですか!?」
ガレウスが思わず口に出してしまう。そうなると、他の者も
「このような人間など、殺してしまえばよかったのです!」
ゲルミスが進言する。
「この人間が魔王様を助けたなど、信じられぬ」
ロイドもレイアの言葉に疑問を投げかける。
「魔王様がこのような軟弱者になびくとは、何をお考えなのですか!?」
フィナーンは他の者とは異なり、どうやら私に対して不信感を抱いているようだ。
四天王から意見が出
「お
レイアはそう言うと、まずゲルミスを見る。
「まずゲルミスよ。人間だから殺すというのは
ゲルミスの表情が硬直する。
「わらわは死にかけたのじゃ。それなのに、こうして復活できた。それをやったのはここにいるタクトじゃ。この意味が分かるか、ゲルミスよ」
「はっ! ですが、人間ごときに……」
「それをやってのけたと言っておる。人間が魔王の命を救ったのじゃ。これは事実じゃ」
「魔王様…」
「命を助けられた存在を、殺す必要がどこにあるか。それがお
レイアはロイドへ視線をやると、ロイドも何も言えないという表情をして
「次にフィナーン」
「はっ!」
「お
「そ、それは……」
「お
「確かに戦いましたが、確かこの男は
「なるほどのう」
レイアはフィナーンから視線を
「ではもう一つ、この魔王城を今の状態に直したのは、このタクトなのじゃ」
レイアの言葉にフィナーンの顔が引きつる。
「お
「くっ……」
フィナーンは
フィナーンの様子を確認してから、レイアはガレウスに目を向ける。
「最後にガレウスよ」
「はっ!」
「実によい質問じゃ。ゆえに答えは最後に取っておいた。なぜわらわがこの人間との結婚を認めたのか」
ガレウスはレイアの目を
「どうじゃ? 今までのわらわの答えを聞いていて、こやつのやる事、面白く思わなかったか?」
レイアに聞き返され、ガレウスはしばし無言になる。やがて、ガレウスが口を開く。
「確かに、人間とは思えぬ
彼の言葉を聞いて、レイアの目が輝く。
「そうじゃろう、そうじゃろう。わらわはな、タクトに復活の
四天王一同
「魔王のこのわらわにじゃぞ! こんな面白き男、魔界にもおらぬわ!! この人間の申し出を断る理由がどこにあるというのじゃ、ガレウスよ!」
レイアの発言に、四天王達は抑えていた笑いを
「ブワァッハッハッハッハ!!」
しばらく皆の笑いが止まらなくなってしまう。私だけが笑うことなく、顔を真っ赤にして
「げに
先ほどまでとは打って変わり、ガレウスがレイアに
「一本どころか百本取られてしもうたわ! こんなすごい奴、結婚して
レイアも笑いながらガレウスに返事する。私はレイアにそう思われていたのか。
嬉しいような恥ずかしいような気分にさせられる。
「よし、これでガレウスの問いにも答えられたな。皆よ、少し静まるのじゃ」
レイアはそう言って、四天王の笑いが止まるのを待つ。皆が落ち着いた後、話を続ける。
「皆の意見に対し、わらわの見解を述べたが…… ときにフィナーンよ」
レイアに指名され、一瞬驚く。
「お
「そ、それは……」
「ほかの三人はすでにタクトの実力を見定めているようじゃが、お
「魔王様……」
レイアはフィナーンに対して
「よい。わらわは責めているわけではない。どうじゃ? お
「それはどういうことでございましょう?」
「ここでタクトと戦って実力を知ってみてはどうじゃ?」
レイアから意外な提案がなされ、四天王達が驚く。私も当然驚いた。
「本当に、よろしいのでございますか?」
「ああ。わらわが
不意にレイアから視線を向けられる。皆の前で言われた以上、断ることはできない。
「わかった。いいよ、レイア」
「よし、では決まりじゃ」
こうして、私とフィナーンの決闘が決まってしまった。この後、私はフィナーンと少なからずの
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