第22話 「四天王からの報告と復活儀式」
レイアが四天王の話をした直後に、城外の者から通信が入る。通信回線を開くと、二つのモニターがアクティブになり、それぞれに巨漢の魔族が映し出される。
「クライスライン様」
「ロイドか」
声の
「タクトよ、あやつはバロールのロイドじゃ」
「バロール?」
私は聞いた事のない魔物の名に聞き返す。
「バロールはデーモンの軍勢を
レイアはもう一つのモニターを指さし、私に教えてくれる。
「そしてもう一人が、ピット・フィーンドのガレウス。デヴィルを束ねる君主にして、地獄の底の魔物じゃ。彼もまた、わらわの四天王の一人である」
ピット・フィーンドはバロールと姿は似ているが、こちらは
「二人とも強そうだ」
私はモニターに映る二人を見て言った。
「二人とも、いいタイミングで通信してくれたな。先に紹介しよう。わらわの
レイアの言葉に
「ロイドよ、報告があるのじゃろ? 先ほどのリオリス側の通信の事じゃな。申してみよ」
「はっ! 失礼いたしました。申し上げます。先ほどの全土への通信の内容は
ロイドは
ガレウスもまた、
両名の報告は二十分程におよび行われた。レイアは彼らの報告に真剣に耳を
「ロイド、ガレウスよ。報告ご苦労じゃ。二人に軍をそのままに、一度我が元へ戻るよう命じる。できるだけ早く戻ってこい」
「かしこまりました!」
「直ちに
ロイドとガレウスは返事をし、通信を切る。巨漢二人が城に戻ってくるという事か。その後すぐ、レイアが私の方を向いて
「タクトよ。二人が戻るまでに、死んでしまった二人の四天王を復活させようと思うが、よいか?」
「ああ、もちろん。今から始めるか?」
「うむ。では移動しよう。まずはゲルミスから始めるか」
レイアはそう言うと、私を連れて第八階層にテレポートする。修復された大広間は、かつての輝きと
ここで私達勇者パーティーは、八つ首ヒュドラと四天王の一人、コルヌゴンと戦った。攻略に半日を要した難敵であった。
「よし、ではゲルミスの肉体を再生してみるぞ」
レイアはそう言うと、呪文を唱え始める。復活の時とは違う色の魔法陣が浮かび上がり、光を放つ。
三十秒ほどで呪文を唱え終えたレイアは、両手をかざして魔法陣の中央に念を込める。
中央から光の柱が上がり、コルヌゴンの肉体が出現する。戦いで付いたと思われるいくつかの傷が見えるが、五体満足の姿である。武器や防具、衣服も身にまとった状態で再生している。
「やはり時間はかかってしまうが、成功したようじゃな」
レイアが
先ほどの四天王の二人同様、巨漢だが、青灰色の翼に身体は大きめの
「あとはタクト次第じゃな」
「ああ、やってみるよ」
レイアが頑張ってくれたのだ。無駄にはしたくない。だが、まだうまくいくかはわからない。魔族に聖魔法が通用するか。
私はインベントリから一冊の本を取り出す。
復活の呪文はいくつか試したことはある。だが、魔族や魔物を復活させたことは無い。と考えている最中にある呪文を見つける。
「あ、これならいけるかも」
私は聖獣を復活させられるという呪文を試すことにする。多少の
私はインベントリから
「あまたの
呪文が発動し、コルヌゴンの身体を光が
「レイア、一緒に闇魔法でパワーを注ぎ込もう」
「わかった。やろう」
私とレイアは闇魔法でコルヌゴンの肉体に闇の力を注入する。恐らく今の状態は聖属性の力に
「おおおお!!!」
レイアが興奮した表情で叫ぶ。どうやらこの肉体の主の気を感じ取ったようだ。
レイアがコルヌゴンに駆け寄る。
「聞こえるか、ゲルミスよ!! わらわじゃ! クライスラインじゃ!!」
レイアの必死の叫びに肉体が呼応し、ピクリと動く。やがて、ゆっくりと両目が開く。
「お、俺は……」
意識を取り戻したコルヌゴンは、ゆっくりと上体を起こし、頭を上げる。私とレイアは互いを見て確信する。
「成功だ!!」
私達は満面の笑みで目の前の成功を
「ゲルミス、わらわがわかるか?」
レイアがゲルミスに語りかける。
「もちろんです、我が
「よくぞ申した!再び会えて嬉しいぞ」
「ということは、俺は死んでいたのか…… クライスライン様、申し訳ございません」
「よいのじゃ。またわらわを支えてくれるな?」
レイアの問いに対し、ゲルミスは改めてレイアのもとに
「はっ! このゲルミス、全身全霊をもって魔王様の力となり、忠誠を誓うものであります!」
「うむ。よくぞ申した」
かつての部下を復活させたレイアの表情は明るい。そして復活し、再びレイアに忠誠を誓うゲルミスの姿は、かっこよく映った。
ゲルミスは頭を上げ、私の存在に気づいたようである。
「クライスライン様、ここにおる人間は一体? 確か、我とも戦った敵であったはず」
「うむ。その事については皆が
「はっ! かしこまりました」
我々はもう一人の四天王を復活させるため、第九階層へとテレポートする。
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