第20話 「疼き、抑えきれず」

 私は儀式ぎしき中のレイアに対する興奮がうずいていて、我慢がまんできず、どうしても解消させたくなってしまう。


「レイア、すまない」


「何じゃ?」


「その、お、お願いしていいかな」


「どうしたのじゃ?」


 レイアは全然気づかない様子だったので、辛抱しんぼうたまらなくなり、レイアに抱き着いてしまう。


「お願いします! レイア!」


 私はそう言うと、少し身体を引いてレイアの顔を直視する。レイアの顔は赤らんでいる。


「そ、そんな目で見るな!わ、わかった。タクトがそこまで言うなら……」


 私は歓喜し、レイアの身体をお姫様抱っこすると、私室のベッドまで疾走しっそうする。


 レイアの身体を丁寧ていねいにベッドに移し、私もベッドの上に乗り、レイアの隣に横向きになる。


「どうしても、頼む!」


 私がレイアを求めるのは別に珍しくも無いのだが、今回の懇願こんがんぶりはレイアを戸惑とまどわせているようだ。


「余程なのじゃな、来てよいぞ」


 レイアが着衣を脱ぎながらそう言った直後、私はレイアの身体に手を伸ばしていた。私もまだ着衣したままであったが、お構いなしにレイアの豊満な胸に顔を寄せる。今までにない私の積極ぶりにレイアも当惑とうわくしているようである。


「あぁっ! やはりちょっと待て…… あっ!」


 レイアの制止も耳に入らず、私はひたすらレイアの身体にすがる。脱衣途中のドレスを丁寧ていねいがしていき、あらわになる肌にむさぼり、感触かんしょくを手で感じながら、下着も丁重ていちょうに取り去っていく。


「ま、待ってくれ! そなたもまだ脱いでおらぬだろうが!」


 レイアの必死の叫びにやっと我に返った。


「ご、ごめん……」


 私は顔を真っ赤にし、そそくさと自分の衣服を脱いでいく。レイアも私からぎとられなかった衣服を脱ぎ、脱衣された衣服をベッドの下に置く。


「そんな焦らずとも、わらわは逃げも隠れもせぬわ。もう夫婦なんじゃからな。それに、求められるのは悪い気はせぬ。タクトの望むまま、わらわを味わうがよいぞ」


 レイアのこういう気づかいが本当に好きだ。興奮しすぎていた私の心がほんの少し落ち着くのを感じる。


「ありがとう、レイア。愛してる。レイアの事、味わせてもらうよ」


 私はそう言うと、レイアの豊満な胸に顔をうずめ、乳頭を指ででた後、両手でみだす。レイアも触られる感触かんしょく敏感びんかんに感じ、あえぎ声をあげる。


 私とレイアは何度も重なり合い、一つになった。途中、何度かレイアが積極的に私を求めることがあったが、以前のように鼻血をき散らし、気絶する事はなかった。これもレイアが私に寿命じゅみょうをくれた恩恵なのだろうか。

今までの私では考えられない変化である。


 私はうずききが収まるまでレイアを求め続けた。レイアの恍惚こうこつの表情が、全身に渦巻うずまく快感が、私のうずきをがしていく。


 うずきが収まると、私は満たされつつも、レイアの美しく柔らかい身体を丁寧ていねい愛撫あいぶしていく。不思議とそれまで使用した体力が戻るのを感じる。


 エレノーラ様との様々な修行のお陰で、確かに私の体力は人間の時より格段に上がっていたが、さすがに精力やまぐわいに関してはド素人同然であった。それは最初のレイアとのまぐわいでも明白である。


 だが、これだけは言える。今は少しそちらの力もついたのかもしれない。こんなものが成長といえるかどうかはわからないが。




「満足したか、タクト」


 レイアの満たされた笑顔は、まさに女神そのものに映る。


「ああ。ありがとう、レイア」


「それはよかった。わらわも満足したぞ。これからも、望むなら求めてくるがよい。もっとも、部下達がいる前では自重じちょうしてもらわねばならぬがな」


 部下達か…… そうだ。レイアは魔王だ。数えきれないほどの魔族を従えているのだ。私はこれから始まる復活の儀式ぎしきに向け、気を引きめようと思った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る