第二話 あの頃から変わらることのない眩しい笑顔

 家電量販店で彼女を見かけてから遡ること四年。


 

 「私の実家も自営業なの」



 地元の友人二十人以上が集まる居酒屋へ向かう途中、僕の隣で彼女がそう話した。


 聞くと、水産関連の事業を行なっているとのこと。


 初耳だった。



 この当時、僕はフリーランスで執筆の仕事を受けていた。前年に事業を始め、まだ駆け出しの頃だった。


 そこでの、その話題。話を聞いた僕の心の中には「もしかして…」という思いが生まれた。


 しかし、この時既に彼女には交際相手がいたため、その思いは消え去った。



 居酒屋に到着するまで、僕は彼女と言葉を交わした。

 

 僕の目に映るのは明るく、やさしい彼女の笑顔。


 あの頃から変わらることのない眩しい笑顔だった。

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あの時の視線の意味を教えて Wildvogel @aim3

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