第4話 冬の王都は話の花ざかり
1.アストラのカレンダーにはいまだに慣れない
シャルナが幼い頃、どうしても覚えられず、悪戦苦闘したことがある。それは、カレンダーの読み方である。
前世の記憶が覚醒した今となっては、それも腑に落ちる。元々あった前世の記憶が、潜在意識に作用していたのであろうと思われるからだ。
アストラ、というか、この世界の多くの国で使用されている暦は、地球のものとかなり異なる。
まず、1週間は6日で、1日目が「木の日」、2日目が「火の日」、3日目が「土の日」、4日目が「金の日」、5日目が「水の日」、6日目が「陽の日」となる。
そして、6週間で1ヶ月。14ヶ月で1年となる。
1年のうち、2、5、7、8、9、14月には最終週のみ7日となり、7日目は「月の日」と呼ばれる休日となる。
これだと、毎月の曜日は常に同じになるため、人々は毎年カレンダーを買い換える必要がなく、よって、年末にバカ高いカレンダーを販売するようなビジネスは、ここでは存在していない。
1年は510日で、5年に一度、1月にも「月の日」が増える。
本当は、さらに何年かに一度、秒単位の修正とかも必要なのだろうが、その辺りはテキト~にずれて行っているのだと思う。
また、休日は基本的な「陽の日」と「月の日」と1月1日。それと国毎に特別な休日が決められている。
そんなワケで、シャルナは今でもカレンダーで大きな勘違いや大チョンボをやらかすことが多い。
特に、許せないのが曜日の並び順で、これがどうにも覚えられないのであった。
ちなみに、公転周期は約510日、自転周期は約25時間であるが、1日の時間は8単位、朝1鐘(午前6時)、朝2鐘(午前9時)、昼1鐘(正午)、昼2鐘(午後3時)、夜1鐘(午後6時)、夜2鐘(午後9時)、夜3鐘(午前0時)、夜4鐘(午前3時)となっている。ただし、夜3鐘と夜4鐘は鐘は鳴らさず、呼称のみである。また、夜1鐘は夕鐘とも喚ばれることがある。
ただ、これでは、あまりにも大雑把すぎるので、シャルナたちの身内では24時間制を使っている。地球よりも若干間延びするが体感時間としては全く違和感はない。
1年が510日もあることからも分かる通り、この惑星は地球と比べて少し寒冷であり、人間の居住可能エリアは通常、北、南緯45度ぐらいまで。それより高緯度の地域は冒険者や寒冷地を好む家畜を飼う遊牧民の世界であり、それもせいぜい50度辺りまでで、それ以上の地域はもはや人界ではない。
そして、衛星画像を見る限り、非可住地域の面積はかなり大きく、赤道付近の密林地帯やミッドランド地域の南方に広がる大砂漠などを加えれば、この大陸の7割近くに達するようである。勿体ないことこの上ないが、人口が少ないため膨張政策をとる国や民族はそれほど多くないのが救いである。
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