4.タケミナー商会
店と屋敷の工事も片付いたところで、使用人として4人の男女が母艦からやって来た。
アンドロイドではない。バイオロイドである。
バイオロイドは、身体は人間と同じ有機生命体。クローン人間と似ているが、こちらは完全オリジナルな遺伝子を持つ。
アンドロイドと比べると製造が非常に簡単で、何よりもこの世界に完全に同化してしまえる利点がある。
脳内にチップが埋まっていて、それで管制システムとの通信、制御が行われているが、それを切断すれば、全く普通の人間として生活していくことも可能である。
容姿は、ジジが各国の街角で適当に集めてきた人々の外観データを基にしている。あのデマ拡散の旅の時の・・・である。
いずれも20歳前後の男性2人、女性2人。艦内工場で高速成長させたものである。星間連合の標準基本知識パッケージに加えて、この世界の基本的な知識や常識を圧縮学習で記録済みである。また、不自然にならないよう、偽の生い立ちや適当な思い出が付与されている。
店舗も人材も揃ったところで、商品の準備である。
だが、その前にしておかねばならないことがある。
それは、各種手続きだ。どこの世界でもこういうのは必ずあるものだが、アストラでも例外ではない。
まず、物販をするなら商業ギルドへの加盟が必要である。
また、薬を扱うには薬師ギルドへの加盟と国の許可が必要になる。
商会名はタケミナー商会とした。商会主は孔明。私は未成年なのでなれないのだ。父上様と私が出資したことになっている。
商会名ま由来はもちろん「タケミナカタ」からであねる。
商業ギルドでは、先日の144面カットのダイヤモンドの件で、既に有名みたいで、いきなりギルドマスター直々の対応で手続きが終わった。
ちなみに、あのダイヤモンドは、この商会の初商いとして無事に売却できた。大量の現金輸送に、あの馬車が大活躍! いくらでも入るトランクルームの秘密は、今のところバレていないようだ。
薬師ギルドの方も、孔明の雰囲気がーいかにも・・・」という感じなので、特に障害はないものの、かなり警戒されているようだった。本当に治る薬を売られると困るのかも知れない。
国の許可は速攻だった。わざわざ許可書を届けてくれる親切さだった。
商品は、薬が中心だが、いくら何ても、カプセルとか糖衣錠とかは怪しいので、薬草を主体に、それを粉薬、煎じ薬、丸薬、水薬、軟膏、貼り薬などに加工したものにした。
ただ、薬草類も使い方を誤ると生命の危険があるので、孔明が問診や、場合によっては診察をして、診断結果に基づいて薬を処方することにした。要するに医者付きの処方箋薬局である。
ほかに、傷薬や目薬、風邪薬、水虫薬、湿布薬などは既製薬として販売する。
材料は、主に東方の山岳地帯などで採取した薬草を艦内で洗浄、乾燥させたものを店舗で保管して調合する形に下。既製薬は艦内工場て化学薬品も併用しながらそれらしく製造している。
雑貨類については、薬草を入荷した時に、ついでに手に入れた異国の物品・・・ということにしある。実のところは、私が艦内の製造装置を使って、退屈しのぎに津切った色々なものを売ろうと思っている。
とりあえず、開店用にガラス器と陶磁器、手鏡とかを用意した。この世界では陶器はともかく磁器は非常に珍しい。前世の記憶にある、正倉院の宝物のデザインをはクったようなものにしてみた。
あと、化粧品もいずれ売りたいけど、10歳のピチピチ肌にはまだ不要なようなので、これは将来の課題だ。
そんなこんなで商品の準備はできたが、店が少々大きすぎて何かスカスカな感じ。もう少し小さい店を貰えば良かったか、と少し航海した。
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