第3話 まずは王都よりはじめる
1.調査と探査
帝国への意趣返しも終わって、ミニエとパラはタケミナカタで1週間ほど滞在した後、アストラ王国の王宮へ帰参した。
私の部屋のパブリックエリアの部屋を改装してもらって、二人の私室にした。これで、私の寝室で寝る!とは言わなくなったので良かった。
二人が滞在している間、艦内を案内して廻ったが、だんだん驚かなくなった。順応力が高いのか、それとも鈍感なのか?
一番感動してたのは、ジジが各国で収集した情報に基づいて艦内工場で縫製した、この世界の最新ファッションと、異世界のスイーツ。目の色が変わっていた。
帰りがけに、パラには超音波振動剣、ミニエには超音波振動短剣を渡した。
二人とも、パワードアーマースーツは既に着ている。帝国はかなり寒かったので、そっちの方で手放せなくなったみたいだ。
私も一緒に戻ろうとも思ったが、意識を移している間、生身の人間の方は意識不明状態になってしまうので、王宮の方は量産型ワタシに任せて、しばらくここにいるつもりである。
「それでは姫殿下、お名残惜しゅうございますが、お元気で!」
二人は名残惜しそうに、ミニエなどは涙を浮かべて、別れの挨拶をしたが、
「いいえ。私はあちらにもいますから。お芝居をするのを忘れないで下さいね。」
王宮に戻ったら、二人はもう一度、私と感動の再会をしなければならないのだ。もちろん、そのことは量産型ワタシに共有してある。
二人を見送った後、私は孔明と今後のことを話し合った。
まず、この惑星の環境と資源調査の報告だ。
この惑星の正確な地図は、既に測量は完了している。
ただし、地名とかは私の脳内データを参照しているため、アストラ王国とその周辺国に限定され、しかも非常に大雑把なものである。
今後は地道に情報収集を続けていくしかないだろう。
「この惑星には、アストラ王国のあるこの大陸の他に3つの大陸と、2つの大きな島が存在しています。」
孔明が続ける。
「いずれも人間が暮らしており、国家らしきものを形成しているようです。文明レベルは、一つはこちらより少し進んでおり、二つの大陸と島はやや遅れている、あるいはかなり遅れている…といった状態のようです。言語はいすれも異なります。」
「現在、言語解析を進めておりますので、まもなく、現地人との接触が可能になると思います。」
「次にこの惑星の資源探査の結果ですが...」
孔明がスクリーンに映るマップを指差しながら続ける。
「結論から申しますと、この惑星の埋蔵資源はほとんど手つかずのままで、露出している僅かな鉱物資源だけが利用されているに過ぎません。」
孔明が言うには、この惑星はやや寒冷なため人間の居住エリアが限定されており、結果として南北の高緯度地帯では採掘可能なスペースがたくさんあるという。
身近な場所としては、アストラ南方の大砂漠は「捨てる部分が何もない…」というぐらい、多様な鉱物資源に恵まれた場所らしい。
孔明が、この土地を巡って各国に紛争が起きないことを、しきりに不思議がっていた。
ただ、艦内工場を使用する場合は移送が少々面倒なので、効率を考えるなら、この惑星に何故か2つもある月や、近くの小惑星を使った方が良いらしい。
「恒星系探査はどうなっていますか?」
私は尋ねた。
「現時点で判明していることは、惑星が10個以上。本惑星は第4惑星です。特筆すべきことは、本惑星の少し内側に恐らく大気と海を持つ惑星が存在していることです。」
「えええっ? そこにも人間がいるのー?」
私は驚いて聞き返した。
「ただ、知的生命体が存在するか? 存在している場合、文明レベルの程度が不明ですので、慎重に対応する必要がありますので、それ以上のことは現時点では不明です。」
その後、自分たちのいる惑星の方をまず優先し、隣の惑星については慎重に時間をかけて調べていくことに決めた。
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