6.無敵の王女と白銀の守護騎士(ガーディアン)- その2
一方、ラゴナス邸では。
シータが建物の外側を警備しているエンセルの私兵の無力化に取りかかった。
騒ぎになると面倒なので、一人ずつ声を出さないよう背後から忍び寄り、首の骨を握りつぶすか、口と鼻を押さえて窒息死させるかにした。
邸内に監禁されている国王と王妃の下には、ジジに手紙を届けさせて、騒ぎがあっても、助けに行くまでは、室内に立てこもるよう知らせてある。
ジジにはその場にとどまって、周囲の監視をするよう頼んである。
外の制圧が完了したので、戦闘ロボットと共に玄関から侵入、というか普通に訪問した。
ここで室内にいる者の性朝は戦闘ロボットに任せ、シータは国王と王妃が幽閉されている部屋へと向かった。
ジジが事前に動画とマップで邸内の情報を調べてくれているので、全く迷うことなくその部屋へ行き着くことができた。
見張りの私兵が3人いたが、不意を突いてガス弾で無力化した。
戦闘ロボットは残りの部屋の制圧を行っている。ここでは、事件とは無関係な者もかなり含まれると思われたので、筋無力化ガス弾という、これも暴動鎮圧用の化学兵器を使った。
このガスを吸い込むと6時間ぐらい身動きが取れなくなる。随意筋を動かす神経回路を遮断するものらしい。ガス自体は空気にふれるとすぐに中和され無効化される。
斬りかかって来る私兵が何人かいたが、戦闘ロボットのタングステン製ソードによって撲殺された。超音波振動させる必要もなかった。
こうして屋敷の中で動いている者は誰もいなくなった。不思議なことに死者はかなりいたのに血は一滴も流れていなかった。
「国王陛下、王妃殿下。シャルナ姫殿下の命により救出に参りました。さ、どうぞこちらへ。」
シータはそう言って部屋の扉を開き、二人に声をかけた。特に臣下の礼はとらない。
国王と王妃はシータに導かれるままに部屋を出て屋敷の外まで出た。
途中、何人かが横たわっていたが、血は流れておらず、生きているのか、死んでいるのか、よく判らなかった。
それに、助けに来たのがこの少女だけ、というのも何とも不可解だった。しかし、他に兵士らしき者はいない。屋敷の中の様子から察するによほどの手練れの仕業としか思えなかったのであるが。
(まあ、今は考えるのを止めておこう...)
国王はそう思った。
「ここでしばらくお待ち下さい。もうすぐ姫殿下がお迎えに参ります。」
しばらくするとシャルナが兵士を伴って駆けつけて来た。
「父上様、母上様、ご無事で、何よりでございました!」
「おおっ! シャルナか。そなたも無事で何よりであった。今回の働き、見事であった。父も母も心より礼を言うぞ。」
「勿体ないお言葉でございます。エンセル、グラドス親子ほか加担した者どもはすべて捕らえました。どうか王宮へお戻りください。」
「わかった! 王宮へ戻るとしよう。」
国王と王妃は用意された馬車に乗り込んだ。
一人残ったシャルナは。
「シータさん。ご苦労様でした。それでは手筈通りに...」
「シャルナ様、それでは私は一旦戻ります。また後ほど!」
シャルナは片手を軽く上げて馬車の方へ、シータは一礼してそれを見送った。
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